jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

筆者的自民党総裁選予測

2020年8月28日,安倍晋三総理が辞意表明し,9月14日,自民党総裁選挙で,菅義偉氏が総裁に当選,9月16日に第99代内閣総理大臣に任命された。それから1年,菅氏は総裁選への出馬を断念し,2021年9月17日に自民党総裁選挙が公示される。

 総裁に立候補しているのは,岸田文雄(8/26),高市早苗(9/8),河野太郎(9/10),野田聖子(9/14)の4人。前回の総裁選挙と同様,前任者が立候補しない。

 前回は,新型コロナウイルスの蔓延に対して打つ手がなく,東京オリンピックパラリンピック2020も1年延期,ワクチンもまだできていない段階での総裁選挙で,圧倒的多数で菅氏が総裁に選ばれ,内閣総理大臣に任命された。しかし,感染拡大を抑えきれず,切り札のワクチンも供給が混乱,1年延期で開催したオリンピック・パラリンピック期間での感染者数激増など,成果を出せないまま,退陣となった。

 今回は,ワクチン接種が50%完了,感染第5波が減少傾向となっており,予想される第6波をどう抑えるか,ワクチン接種を進めながら経済回復をどう成功させるか,など,前向きな政策が期待される中での自民党総裁選挙となる。

 菅政権が運営される中,総裁選挙で闘った岸田氏も石破氏も何の提案も批判もなかった。野党も同様であることは,2021年初頭に筆者がコメントした 火中の栗を拾いたくない中央の政治家の皆さん,どうぞ国会議員をお辞めになってください。 - jeyseni's diary 2021/1/16。実務的には,菅内閣行政改革大臣とワクチン担当大臣を担った河野氏が,COVID-19に対する具体的な成果を上げた。ワクチン供給の交渉が切り札だった。その後のワクチン供給の乱れ,ワクチン接種の拡大,モデルナ製ワクチンの異物混入など,さまざまな問題を乗り越え,なんとか軌道に載せてきた実績がある。

 今回の自民党総裁選挙は,このCOVID-19対応に加えて,経済再生とSDGs地球温暖化対策などに指針を示して,次の総理大臣を目指すという,前向きな考え方が示せるチャンスである。しかし逆に争点がボケてしまっているような気もする。

 安倍内閣のときはCOVID-19は未知の敵,菅内閣のときは何とか手は打ったのにデルタ変異株の登場で抑えきれなかった。次の内閣は,デルタ株を抑えて第6波を防げるかどうかが1つのポイントになる。各国と同様,感染者数はまた増えることが予想されるが,ワクチンと抗体カクテル療法などの治療法,そして特効薬の開発により,重症者や死亡者はインフルエンザ並みに抑えられる年になるだろう。その中での経済再建もポイントとなる。

 そういう意味では,COVID-19対策では前回,「火中の栗」を拾わされた菅氏は貧乏クジを引いた形であり,今回は野戦病院構想,一般病棟への展開,健康パスの導入,ブースター接種など,前回まったく動かなかった構想が具体化してきた。

 ただ,COVID-19対策と経済再生以外に,海外各国との困難な交渉がすぐに立ちはだかる。米国,中国,英国,そして韓国,北朝鮮などのリーダーとのタフニゴシエーションにも立ち向かわなければならない。それほどいいタイミングでの総裁選挙ではない。

 さて,筆者の予測だが,最初の投票でいずれの候補も過半数の得票を取れる可能性はなく,決戦投票で組織票で岸田氏が当選する,という大方の予想と同じである。野田氏が昨日,立候補を表明しなければ,河野氏が初戦で票を集めて過半数の得票を得るだろうという予測を立てていた。

 野田氏の立候補が,正直言って嫌な雰囲気を醸し出している。野田氏の綱領は「弱き者奮い立たせる政策」。SDGsへの答えはあるかもしれないが,COVID-19や地球温暖化,エネルギー政策については二の次に見える。筆者は,SDGsを否定しないが,優先順序はCOVID-19と地球温暖化に対するエネルギー政策であり,それが一服してからSDGsが本格的に出てくると考えている。今は,世界に通用する強力なリーダーシップが必要なタイミングである。最初の投票で勝てる自信もない選挙に立候補するのは,自ら泡沫であることを認めることであり,選挙戦を混乱させる意図を持っての立候補と思わざるをえない。世の中で言われる「河野崩し」に加担し,決戦投票に持ち込んで岸田陣営に付く,という戦術としか見えない。

 女性候補という立場も,高市氏に対する当て馬のようにも見える。圧倒的に自信があるのなら出馬もあり得るだろうが,これも票の分散を狙ったようにしか見えない。

 政治は駆け引きである。しかしこういう行動に出るということは,ウラに何らかの密約があるようにしか見えない。結局,こうなるのね,と諦めて,決まる日を待ちたいと思う。