jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

貧乏も一興--外食や旅行がなくても,ストレスなし

筆者は,もともとは大手の出版社に約30年勤めていたが,会社の業績悪化に伴う早期希望退職に応募して退職した。約1年を失業保険で食いつなぎ,その後ようやく再就職したが,年収は1/3となった。その企業からも退職勧告があり,仕事を受託しながら約3年間,個人事業主としてアルバイトとの掛け持ちで過ごした。3年後に契約社員として戻り,社会保険料は半分負担してもらえるようになったが,相変わらず貧乏暮らしである。

 かつては日本各地にある会社の保養所を使ったり,関西の実家にたびたび戻ったりしていたが,一気に貧乏生活になり,旅行などもってのほかになってしまった。もっとも,子供たちも高校から大学に進む時期となり,家族で一緒に旅行することもなくなった。実家の親もこの世を去り,実家と呼べる場所もほぼなくなったので,関西に行く理由もほぼなくなった。あとは,子供たちの学費を払い切って,それぞれが仕事を持ったり家庭を持ったりすれば,年金で細々と暮らす生活になるのだと思うのだが,そこにこの新型コロナウイルス禍である。

 2020年1月からコロナ禍が本格的に始まったとして,筆者は2020年2月というかなり早い段階でテレワーク宣言をした。当初は完全テレワークで,2020年8月からは週1日は連絡のために出社することにした。その後,2021年6月にワクチンの2回接種を終えて7月から通常出社に移ったが,1ヶ月もしないうちに緊急事態宣言で再度テレワークに入り,宣言解除の2021年10月末まで続けた。それから1ヶ月で今度は感染力の強いオミクロン株の蔓延が世界で進み,12月には日本でも感染確認者が出,さらに半月で市中感染が全国に広がりつつある。

 子供たちが学校に弁当を持参してきたので,筆者も会社の昼食は基本的に家から持ってきた弁当である。コロナ禍の出社時も基本は弁当。月に数回は夜に取引先と飲みに出かけていたのがなくなったが,それ以外は自宅で夕食を取っていた。

 ということで,コロナ禍当初からの飲食店の営業制限に対しては,申し訳ないがほとんど影響を受けていない。飲み会はなくなったが,もともと出費の多い飲み会からはなるべく逃げ回っていたので,これも影響はほとんどない。むしろ自宅でゆっくり飲んだ方が,すぐに寝られるので快適だった。

 仕事の打ち合わせで,年に数回は国内出張はしていたが,これもメールと電話,そしてzoomによって十分に目的を達している。たしかにこの2年間で新しくもらった名刺は数枚しかない。

 ちょうど1年前,「Go Toトラベル」「Go Toイート」で,費用の半額を政府が補助することで,旅行業,観光業,飲食業に顧客を戻すというキャンペーンが行われた。枠が一斉に埋まったが,補助分をより高級な宿に行くなどのシフトが起こり,最も困っていた一般旅館などがほとんど恩恵を受けなかった。さらに,緊急事態宣言でキャンペーンが中止になると,一斉に旅行のキャンセルをする客がほとんどで,旅行業界はキャンセル料の返還などの作業に追われるだけになった。

 筆者的には,まだ十分に市中感染も下火になっていない,医療態勢も逼迫しているという状況下で,ノホホンと旅行に行ったり,外食したり,という行動を取る気がまったく起きなかった。オリンピックの後,地元自治体が飲食店補助クーポンを発行し,また年末にかけて同じようなクーポンが発行された。家族のメンバーで節目を迎えたことをお祝いするのに,これらのクーポンは使うことにしたが,それぞれ外食1回ずつで終わった。残念ながら,飲食店や観光業,旅行業への貢献は,我が家はほぼ皆無である。

 それでも,オミクロン株の最初の確認を報告した南アフリカとの間でも,まだ人の行き来はあるし,年末にかけて帰省のための交通渋滞が起きているという。感染力がデルタ株よりもさらに高まっていることと,無症状感染が多いというのに,この人流の激しさによって全国に一気に感染が拡大すると筆者は想像している。無料のPCR検査が実施されることによって,安心した人と,「陽性と確認されても無症状なのでまあいいや」と思った人の人流によって,感染が拡大するという副作用も起きていると思われる。

 筆者は貧乏生活をしているので,外食も旅行もなしでもほとんどストレスがなく,当分は過ごせそうだと思っている。子供たちには不便な生活を押し付けて申し訳ないと思ってはいるのだが,時々ちょっと贅沢するというのが楽しい,という程度の平和な人生を送ってほしいと思っている。

 残念ながら,GDP世界第3位という経済大国の日本において,食事も教育もまともに受けることができない子供が7人に1人の割合でいるという。ひとり親世帯の場合は,その半数が貧困だという。幸いなことに,筆者の家庭は最低限以上の食事と教育を与えることができている。それだけに,世の中で必要以上に華美に“食をもてあそぶ”風潮には苦言を呈している。次から次へと流行を追って消費者を翻弄し,食材を無駄にしている。何人分もの大盛り食をイベントにしたり,何倍もの辛さをイベントにして,汚らしい場面を公共の電波で流し続ける民放局は,本当に下劣だと思っている。同じ局が,SDGsや貧困救済キャンペーンを恥も外聞もなく展開しているのが信じられない。