jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

コンピュータウイルスと魔女狩り--「メタバース」の無秩序への懸念

筆者がパソコンウイルスに感染したのは,もう20年以上前のことになる。Windowsもない時代で,データを運ぶメディアはフロッピーディスクだった。外部から受け取ったデータが入ったフロッピーにウイルスが入っていて,それが筆者がデータ転送用にオフィスで使っていたPCに感染,また同じフロッピーを手渡した関連会社のPCに感染した。

 当時は,社内ネットワークに接続されていたが,すぐに切り離し,ウイルス除去ソフトで処理を進めたが,感染したPCの台数は増えなかったものの,なぜか何度でも復活してきて,毎日のようにウイルスアラートが出て,その都度,除去対策をしたものの,自分のPCだけでなく,関連会社のPCでも繰り返し出没し,最終的に収まるまでに約1ヶ月を要した。

 ウイルスの特徴は,本体のシステムをどんどん肥大させて処理スピードを遅くし,そのうち動かなくするというタイプのものだった。特に感染力が強いわけでも,悪質さも低く,目立たない動きをしていた。除去ソフトをかければ処理はできたように見えたが,なぜか再発する現象が続いたのである。

 感染ルートの解明も急がれた。順番からすると,関連会社から受け取ったフロッピーディスクのファイルではなく,システム部分にウイルスが潜んでいたと見られ,ウイルス除去ソフトが十分に対応できなかったことでウイルスの根絶ができず,繰り返し発現したと考えられた。

 関連会社にも出向き,ウイルス除去の手助けもしたが,繰り返し発現するウイルスに現場も嫌気がさしてきて,筆者に対する個人的な信頼も下がっていった。関連会社は最終的にウイルスが除去できたことで問題なく業務を続けていただけたが,筆者の社内からは,事あるごとに嫌味を言われるようになった。

 当時は,ウイルスそのものが少なかったが,ウイルス防止ソフトもウイルス除去ソフトも稚拙なものだったようだ。ウイルスの存在に対する知識も一般的ではなかった。現在のPCは,ほぼ最初からウイルス防止ソフトが試用版で入っており,1ヶ月ぐらいで有償化して使い続ける人が多いと思われるが,おそらく現在もウイルスに対する関心はそれほど高くないのではないかと思われる。特に,個人のPCでの感染の可能性が高いほか,個人のネットワークのルーターが感染するケースもある。企業側も,使用するPCの台数分の契約をすることに抵抗がないわけではないだろう。

 現在のパソコンウイルスは非常に高度かつ悪質になっているようだ。さすがに感染すること事態がほぼ物事の終わりになりそうなので,最新のウイルス防止ソフトを導入しているが,その抜け穴がないとも限らない。

 データを運ぶメディアは,現在はUSBメモリーにほぼ限られてきた。ここでもウイルスチェックはもう当たり前になっている。しかし,メールに添付されてくるさまざまなファイルに乗ってくるウイルスは,日々何通も届いている。到着の都度,ウイルス防止ソフトがチェックして駆除している様子が知らされる。恐ろしい。しかも,同じメールを他のPCやスマホなどでも開く可能性があり,すべて同等のウイルス防止効果があるかどうかについてはチェックしきれていない。

 ウイルスソフトによって,企業や政府機関の機密情報が漏洩したりするだけでなく,システムを破壊してしまうこともできるようになっている。情報戦と言われる陰の戦争が日々繰り返されている。直接攻撃もあれば,個人のPCを乗っ取って複数台で攻撃をかけるという手法もある。時限爆弾式に効果を発揮するウイルスソフトもある。

 今回の北京冬季オリンピックでは,選手や関係者,マスコミに対してインストールと登録を義務づけているスマホアプリに,情報収集のための仕組みが組み込まれていると予想されている。世界の9割以上のシェアを持つドローンの運用ソフトにも,情報収集のための仕組みが組み込まれている可能性も指摘されている。これが単に,中国に対する脅威から出た噂なのか,あるいは本当の話なのか,さらに第三者による策略なのか,についても,早急に明らかにする必要があるだろう。かつて筆者がウイルス感染の当事者として不用意に悪人扱いされたことが,世界の中で起きるべきではない。

 いずれにしても,心底から悪意のある人たちがこの世にいることが,残念である。ゲームの世界が現実の世界と融合し,国際機関も国も超えて無秩序な世界が作られつつある。仮想通貨もその1つである。これらを含めて「メタバース」というきれいな言葉で語るのは,非常に危険だと筆者は感じる。すでに,数十億円分の仮想通貨を盗んだ国についても報道されている。リアルな世界における経済制裁が何の効力も発揮しないような状況を作ってはならないと思う。