まさか,この段階で,核兵器使用の可能性が出てくるとは思わなかった。このブログを書いているこの瞬間にも,追い込まれたロシアのプーチン大統領が,核兵器の発射ボタンを押さないとも限らないという憶測が飛び交っている。
自国を守り抜こうという目的のあるウクライナ軍の士気が高いのに対して,「平和維持」として招集された若いロシア軍兵士が,実際はウクライナ侵略のための戦争だったと聞いてやる気をそがれている中,プーチン大統領が唯一自分の自由になる武器は,もはやボタン1つで発射できる核兵器しかない。
世界各国が,プーチン大統領とラブロフ外相の資産を凍結しつつある。SWIFTという銀行間取引の枠組みからもロシアを外そうとしている。輸出入もストップしつつある。物理的にも金融的にもいわば兵糧攻めを進めている。
昔の城攻めにおける兵糧攻めでは,無血開城で決着がついたり,城主が割腹して解決したり,さらには一気に飛び出して討ち死にするかで,いずれにしてもいい結果は待っていない。
しかし,現在のパワーバランスでは,兵糧攻めしても核兵器という最終兵器がある。リーダーの側近がきちんと機能していれば,ボタン1つで世界を破滅に追い込むことができる。広島県のページに 世界の核兵器保有数(2021年1月時点) | 国際平和拠点ひろしま〜核兵器のない世界平和に向けて〜 という資料があったので,そのまま掲載させていただく。
国名 | 配備核弾頭 | その他核弾頭 |
核兵器数 2021年 |
核兵器数 2020年 |
米国 | 1,800 | 3,750 | 5,550 | 5,800 |
ロシア | 1,625 | 4,630 | 6,255 | 6,375 |
英国 | 120 | 105 | 225 | 215 |
フランス | 280 | 10 | 290 | 290 |
中国 | – | 350 | 350 | 320 |
インド | – | 156 | 156 | 150 |
パキスタン | – | 165 | 165 | 160 |
イスラエル | – | 90 | 90 | 90 |
北朝鮮 | – | [40-50] | [40-50] | [30-40] |
合計 | 3,825 | 9,255 | 13,080 | 13,400 |
広島に1945年8月6日に落とされた原子爆弾ですら,死者14万人(市民総数35万人)。単純計算すれば1万発の原爆とすれば14億人が消えることになる。
「核による抑止力」が働くのは,お互いに理性があり,駆け引きができる場合である。ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領になったとき,彼は核のボタンをいつ押してもおかしくないと感じていた。中国の習近平国家主席との関税戦争ではハラハラしたが,いずれも立場的に追い込まれることはなかったので,核戦争の危機は感じなかった。交渉相手が北朝鮮の金正恩最高指導者だった場合,追い込まれた金正恩氏は核のボタンを押す可能性があると思っていた(いや,彼の場合は今この瞬間にもボタンを押す危険性を持っている)。
核の可能性をチラつかせるプーチン大統領に対して,西側各国は対抗する段階にはない。ただ,今やプーチン大統領は,ロシア国民からも突き上げをくらいつつあり,四面楚歌の状態にある。「窮鼠猫を噛む」という追い詰められたネズミだとすると,行き場のなくなったプーチン大統領が核のボタンを押してしまう可能性はある。
最後にロシア人の良心に賭けるならば,核弾頭を付けず,核ミサイルが発射できないように,ロックをかけてほしい。そして,プーチン大統領を拘束してほしい。ロシア国民が戦争を望んでいないと信じたい。