jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ロシアとの国境1300kmのフィンランド--地続きの国境って何だろうともう一度考えてみた

ウクライナ侵攻を受けて,NATOへの加盟を検討していることを明らかにしたフィンランドスウェーデンノルウェーを含めた北欧3国は,いずれも南北に長い国土を持つ。

 フィンランドはロシアと接する国境の長さが1300kmもある。日本の本州の長さが約1500km。本州の隣にロシアが隣接しているようなものである。検問所が9ヵ所あるが,自由に行き来ができるような状況だった。NATOに加盟する可能性を表明した段階で,フィンランドとロシアの関係は一気に悪くなり,この長い国境線の接触状況が,フィンランド国民にとっての脅威になってしまった。

 アメリカとメキシコの国境線は3145kmある。トランプ前大統領は,メキシコからの不法移民を阻止するために,この国境線上に壁を作った。万里の長城は約20000kmあるようである。

 フィンランドはこのロシアとの国境線をどう守れるだろうか。すでに,ロシア軍のミサイル部隊が,このフィンランドとの国境沿いに配備が進められている。NATOに加わった場合,このフィンランド国境をいかに守るかがNATOにとって大きな課題になりそうである。

 日本で,県境を見てみると,愛媛県高知県の県境が約220km,岩手県秋田県が210km。いずれも山脈の頂上が県境になっているから,取り合いにはならないが,もしケンカを始めたとしたら,大変なことだろう。フィンランドとロシアの国境は,こうした危機が明らかになってきている。

 海に周囲を囲まれた日本は,陸続きの国境線を持たない。安全保障上は極めて有利な場所にある。江戸時代に鎖国ができたのも,新型コロナウイルスの水際作戦ができるのも(実際には失敗しているが),海外からの難民が無条件で押し寄せないのも,すべて島国という利点があるからである。北朝鮮のミサイル実験のいい練習台にされているのも,海という緩衝地帯に囲まれているからである。

 物理的な線を引き,場合によってはそこに壁を作らなければならない国は,やはり大変である。EUというグループができる前は,一歩越えるだけでもパスポートが必要だった。EU域内は自由に行き来できるようになり,交流も盛んになったが,その他の行き来には,パスポートによる検問通過が必要になる。顔パスというわけにはいかない。

 フィンランドは,経済的にロシアに依存していた。もともと,ロシアとの戦いに何度も破れ,属国状態となっていたという。今回,NATOへの加盟検討を発表したことで,ロシアとの関係は一気に悪化している。再び攻め込まれることもあり得る。もはやNATOに救いを求めるしかない状況になっている。

 日本は,中国や北朝鮮,そしてロシアの行動に対してこれまでもストレートに抗議をしてきた。しかしそれは,アメリカとの日米安保条約があることと,国境線を接していないという安易な安心感があるからだろう。しかし,誘導ミサイルを使えばピンポイントで攻撃されうる。北朝鮮のミサイルの命中精度は未確認だから,何となく安易に安心しているようだが,少しずれたとしても一般国民への影響は計り知れない。まして,ロシアや中国のミサイル攻撃に対しては,なすすべもない。迎撃ミサイルのPAC-3もおそらくほとんど役に立たない。

 戦争敗戦によって,島国という安心感と日米安保条約という核の傘の下にあるという安心感によって,武力を持たないことが最も正しいことだ,といった平和ボケ意識を日本人に植え付けてしまったようである。江戸時代が400年近くも鎖国によって維持できたのと同じような平和ボケ状態である。

 2022/4/19 ウクライナのゼレンスキー大統領は,ロシアがドネツク戦争を開始した,という認識を示した。これにより,ロシアとの交渉も打ち切るという宣言とイコールと思われる。これで次にどこがどう攻撃を仕掛けるかによって,次の展開が変わってくるかもしれない。

 このままウクライナプーチン集団で戦闘が進めば,残念ながらウクライナ軍とウクライナ国民にさらなる人的被害が出てしまう。そしてウクライナが降伏するまで,プーチン側は戦いを自らやめることはない。侵攻にてこずった場合は化学兵器の使用の可能性も出てくる。ただし,核兵器の使用までは進まないと思われる。

 一方,どこかでNATO軍が関与してくると,これはもう世界大戦に発展する可能性を否定できない。NATO軍がロシア軍を直接攻撃する可能性があり,対象範囲はウクライナ国内だけでなく,ロシア国内の戦力,特にミサイル発射施設に対しても攻撃が始まる。すると,プーチン側はNATO国家,特にポーランド,ドイツ,フランス,イギリス,そしてアメリカや日本に対しても同時多発のミサイル攻撃の可能性がある。それも軍事施設ではなく,一般市街への無差別攻撃の可能性である。これに対抗するNATOの手段は,核兵器しかないのではないか。しかし,ロシアはすでに複数の主要都市に対してターゲットを設定済みだと思われる。それが1発や2発ではなく10数発が同時に発射される可能性がある。いかにNATO側がモスクワをターゲットとしようとも,プーチン大統領を殲滅することは容易ではない。全世界が同時に核攻撃のターゲットとなり,それぞれ100万人単位の被害者が出る可能性がある。

 いやこれはもう単なる可能性の問題ではなく,ボタン1つで起こりうる事態である。

 筆者がこのブログを発信して,単なる杞憂に終わってほしいのだが,明日2022/4/20が世界の歴史に残る日にならないことを祈りたい。