ロシアの「ウクライナ侵攻」が、日本に突きつける“残酷な現実”とは? (msn.com) 2022/3/1 中野剛志氏という評論家のコメントを読んだ。なるほど,日本は次は我が身の状態にあり,それがウクライナとは違うストーリーをたどる可能性があるのだということを認識した。
ウクライナに対するロシアの関係が,日本の尖閣列島や台湾に対する中国の関係にあり,中国が侵略の意図で行動を始めたときにアメリカがどこまで介入するか,ということを考えると,ウクライナ情勢ほどの経済制裁も情報戦への関与もないだろうとされており,要は日本も台湾も見放されることになるようだ。
ウクライナは自国に軍事力を持ち,NATOの最前線となる可能性があることから,欧州各国やアメリカによるバックアップも期待できた。これによって,今回のウクライナ侵攻がロシアのプーチン大統領による勇み足で終わる可能性が出てきている。止まらなければ,核戦争にまで発展してしまうが,さすがにそこまではバカではないかもしれない。
一方,台湾も日本も,アメリカの軍事力に頼らざるをえない。しかし,アメリカにとって台湾や尖閣諸島,さらに日本が中国の手に落ちたとしても,太平洋という物理的な距離を置いた中国とまともに戦う必要がない。つまり,台湾や日本が消えても,それほど痛手ではないということである。ロシア,欧州と陸続きのウクライナの場合は,そのまま欧州への侵攻を許す可能性があり,ウクライナを死守する必要があった。台湾や日本とは事情が違うのである。
これまで数回の侵攻を受けているウクライナは,自国を自分たちの手で守る,という意識が高く,今回のウクライナ侵攻においても軍隊だけでなく,市民からも積極的に予備軍に志願する人が多いという。
一方,日本はどうだろうか。自衛隊の予算も限られている。防衛のためのレーダー施設すら作れない。中国軍艦が毎日のように領海侵犯を繰り返しても,手の挙げようもない。すでに尖閣諸島は中国が実質的支配をしている。竹島は韓国が占拠している。北方4島はロシアの住民が居住している。さらに北朝鮮からは日本は完全にミサイルの標的とされている。
いずれも,日本侵攻を企てられた場合,守りきれるとはとても思えないし,アメリカのサポートも期待できない。サポートが入るにしても,本土が壊滅的な被害を受けるのを防ぐことはできない。さらに,日本人が「自分の国を守るために立ち上がる」といった愛国心があるとも思えない。
日米安保条約によってアメリカの軍事力の傘の下にいるという安心感が,日本を平和ボケにしてしまっている。すでに,アメリカが世界各地から軍隊を引き揚げており,世界の秩序を守るという使命を放棄している今,アメリカにとって日本が直接的な利害関係にあるということもなくなっている。守ってくれるとも思えない。
ウクライナのアパートには,標準で地下シェルターが備えられている。トイレも完備している。地下鉄の駅もシェルターとして使われている。ウクライナ侵攻が始まって,毎日数回はシェルターへの避難指示が出ていたという。
竜巻やハリケーンに毎年のように襲われるアメリカでは,やはり地下にシェルターを作る家が多い。上モノは飛ばされても命は助かることはできる 激甚台風が連続して発生--太平洋がメキシコ湾化 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/9/30。
一方,日本はどうだろう。自然災害に対するシェルターもなければ,ミサイル攻撃に対するシェルターもない。災害の避難所すら,建築基準に合格していないケースもある。防衛力も限定的である。どうやって国民の命の安全を守ることができるのだろうか。災害に強い家を考える--最終案は鉄筋コンクリートのシェルターか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/12/27。できれば地下にシェルターを作りたいが,第二次世界大戦当時の焼夷弾ぐらいには耐えられても,ミサイルや原爆,水爆に耐えられるシェルターなどは作れそうにない。せめて,津波シェルターぐらいだろう かなり実用的な津波シェルター「ライフアーマー」 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/5/4。
防災に対する備えもまだ十分ではない。まして,軍事侵攻など「起こるわけない」と思い込んでいる自分の気持ちが恐ろしい。マンションにミサイルが突っ込む映像を見て,2001/9/11にニューヨークの貿易センタービルにテロによって突っ込んだ航空機の映像と重ね合わせてしまった。次にミサイルが打ち込まれるのが「日本のどこか」でないことを祈りたい。