jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

日本人はなぜ「○○人」を攻撃するのだろうか--国や政権との混同意識に失望

筆者一家は,10年前から民間の国際交流団体に参加して,いろいろな見知らぬ国の人との国際交流を楽しんできた。最初に我が家にホームステイに来たのは,韓国の女子大学生。翌年はアフリカのエリトリアのお医者さんがホームステイに来た。中国黒竜江の男性,ロシアの高校生,パキスタンのお医者さん,マレーシアの高校生も来た。パーティーだけの交流だったが,チリのお医者さんとも仲良くなった。

 筆者自身の海外経験は,旅行で行った西ヨーロッパ各国,仕事と留学で行ったアメリカ,そして直近で仕事で訪れた中国と台湾ぐらいだったが,この国際交流で初めて韓国でホームステイを経験した。英語で話す以外に,相手の母国語を教えてもらって楽しんだり,一緒に料理をして楽しんだ。

 第二次大戦後の最も経済成長が著しい時期に生まれ育った筆者にとって,日本がお手本とする国は基本的にアメリカとヨーロッパ諸国だった。NHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」と同様,小学校6年生から朝のラジオ英語講座を聞き始め,英語は好きになり,得意になった。初めて海外旅行をしたのは社会人になってから。大学時代も論文の文献調査をいくつかした程度で,外国の人と会うことも話すこともなかったが,仕事で海外に行くときも通訳なしだったし,国際電話がかかってきても特に不自由なく応対できていた。

 言葉が通じることはコミュニケーションにとって便利だが,まず相手を受け入れる気持ちでオープンハートな心を持つことが,国際交流には不可欠だと思っている。展示会で海外企業の話を聞く際も,巨大な相手に向かって真っ直ぐ向かい合い,相手のでかい手に負けないように力強く握手をすると,その後はビッグハグにつながる。ここで一気に心が打ち解けて,その後は何でもスムーズに話が進んだ。家族の国際交流も,家族一丸となって招き入れる気持ちで取り組んできた。子どもたちは,小学生から幼稚園ぐらいの小さい頃から海外の人が家に来ることを普通だと受け取ったのだろう,その後,韓国,ロシア,アメリカ,ドイツ,スペインに短期,長期の交換留学に旅立って行った。さすがにアメリカ以外の国はなかなかハードルが高かったようだが,いい経験ができたと思っている。

 その後,中国の男性とは天皇制のことを巡って意見が対立してしまったが,年賀状のやり取りは続いた。政治的な問題は,こうした個人的な国際交流であってもできれば触れない方がうまく行くのかもしれない。我が家はロシアからの受け入れは途絶えているが,仲間の中にはずっと交流が続いている家族もいる。国が基本にあるのではなく,人が基本にある,ということなのだと思う。

 今回のプーチン集団によるウクライナ侵攻も,確かに大統領としてのプーチンとその率いるロシア軍が,ウクライナという国に対して侵略を企てているのだが,「ロシアが戦争を仕掛けている」わけではない,と認識すべきところを,多くの日本人が間違って認識していると思う。さらに「ロシア人が悪い」と思い込んでしまっている日本人がかなりいると思うのである。

 それは,ロシア料理店への嫌がらせや,在日ロシア人に対する嫌がらせがリアル,あるいはネット上で無差別に行われていることからも明らかである。

 実際,ロシアに住むロシア人の多くは,今回の軍事侵攻に疑問を持ち,反対行動を取っている。これに対して,いわゆる「当局」が規制をし,弾圧をし,拘束を図っている。つまりこれは,ロシア当局,つまりプーチン政権が自国民を自分の理屈で拘束しているということである。戦時中の憲兵制度と同じである。

 今,ロシア料理店やロシア人というだけで誹謗中傷している日本人は,地球の人ではない。ただの日本語がしゃべれるだけの悲しい人であると思う。

 そういう意味では,各国の政府関係者は大変である。個人の立場と国の立場を使い分けなければならない。プーチンと親交の深いという習近平やインドのモディ首相も,ひょっとしたらプーチンのこの愚行を諌めたいと思っているのかもしれないのだが,なかなかそれを言い出せないのかもしれない,逆襲を恐れているのかもしれない。

 ぜひ,とにかく会話の機会を作ってほしい。何か解決策があると思われる。西側が経済制裁を強めれば強めるほど,プーチンも意固地になるだけである。