jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ゼレンスキー大統領の発言に違和感--クリミアまで取り返すことに言及するとは意外

プーチン集団によるウクライナ侵攻から3ヶ月も経ってしまった。マリウポリの製鉄所でのウクライナ兵士の投降により,平和的な道に進むかと思ったが,残念ながらプーチン集団による攻撃は続き,さらにウクライナ軍による反撃も続いている。平和交渉が始まる気配がなく,また多くの人の命や街が犠牲になるという懸念がある。

 その中で,2022/5/24にウクライナのゼレンスキー大統領へのNHKの単独インタビューに応じた ゼレンスキー大統領「まずは領土を侵攻以前の状態に」 NHK単独 | NHK | ウクライナ情勢。家族の話などでは穏やかな表情を浮かべて答えていたが,戦いの話になるといつもの厳しい表情に変わった。その中で,侵攻された領土を取り戻すまでは停戦交渉はない,と語ったのが,非常に違和感を覚えた。今回,侵略された東部,南部を取り戻すだけでなく,先に侵略されたクリミアも取り戻すというのである。

 日本の第二次世界大戦終結のことを考えると,単純に見れば「広島・長崎に原爆が落とされるという最悪の被害が出て,国民のこれ以上の犠牲を出さないために昭和天皇が敗戦条件を飲んだ」という構図になる。

 ウクライナの場合も,製鉄所の制圧で戦火が収まり,平和交渉へと入ると思っていた。東部,南部はもともと親ロシア派が多い地域だし,さらにその西側の黒海へのルートを確保できることで輸出産業へのダメージも少ない状態で妥協できるのではないかと考えたからである。

 しかし,現状はウクライナの軍事援護をNATOが進めていて,ウクライナ軍への欧米の兵器供給が進んできたことで,停戦,敗戦を受け入れるという姿勢から転じて,士気の乱れや武器供給に陰りの見えてきたロシアを軍事的に押し戻そうという不屈の姿勢が見て取れる。

 取られたら取り戻すとは,何だかヤクザの抗争みたいに見える。その抗争の間にまた,多くの軍人と民間人,特に今度は親ロシア系の元ウクライナ人が戦火に巻き込まれることになる可能性が高い。また,NATO対ロシアの対立構図もますます先鋭化してしまう可能性がある。ここでプーチン大統領を追い込むと,いよいよ核兵器の使用の危険性が高まってしまう。

 世界的な食糧不足,エネルギー供給不安のことを考えると,ゼレンスキー大統領はここでさらなるゴリ押しをするのではなく,停戦提案,平和交渉の提案をロシア側に提案するのが,格好いいやり方だと筆者には思える。これ以上の戦死者を出さないことが,まず今すべきことだと思うのである。