2022年12月に入り,日本にも本格的な冬がやってきたようである。この冬は都心でも積雪があるかな,という勝手な予測をしているほど,急に冷え込んだ印象がある。
不況が続いている様子で,ファッション界でよく言われるように,黒っぽい服が多いように見える。かつてはビジネスマンはコート姿だったが,最近のビジネスマンはダウンコートも普通に使用しているため,黒いクマがノソノソと歩き回っているようなイメージを受ける。筆者も以前は黒いウールのダッフルコートを着ていたが,ここ10年以上はベージュの明るめのダッフルコートを着ている。気持ちまで沈んでは働く意欲も失われるので,気分は高めている。
新型コロナ禍でマスク着用が当たり前になったが,コロナ禍以前は春の花粉の季節にはマスクにメガネ,帽子という姿の人を多く見かけた。現在は,ウイルス対策か,マスクとメガネ,帽子の組み合わせで歩く人がかなりの数に上る。
これに加えて目立つように思えるのが,コートのフードを被って歩く姿である。たしかに風も冷たくなっており,フードは効果的なのだが,正直言って周囲への圧力は強い。
個人的には,雨の日にイヌの散歩をするときに,レインコートにフードをつける。イヌには傘を差し掛け,自分はレインコートで凌ぐためである。しかしいつも思うのだが,フードをかぶると視界が一気に狭くなる。首を振ってもフードが邪魔になって視界が開けない。ほかの歩行者やクルマなどの動きをキャッチするのに苦労する。
おまけに,耳の上にフードがかぶるため,耳たぶをこする音がするほか,フードによる遮音効果により,周りの音が聞こえにくくなる。これも困ったものだといつも思っていた。
街中でフードをかぶって背中を丸くして歩いている人を見ると,自分の存在には気づいていないだろうな,と想像し,ぶつからないようにあえて避けるようにせざるをえない。また,ひょっとしたら良からぬことを考えていないか,という警戒心も起きてしまう。
犯罪者の多くが,帽子をかぶったり,メガネやマスクで顔を隠す。ドラマでも逃げる犯人はフードをかぶって視線を下げて足早に立ち去っている。やはり周囲から見て怪しい姿というのはパターンとしてあるのである。
東京都立大学で宮台真司氏が刺された事件では,ニット帽をかぶっている姿が防犯カメラに写っているのが犯人とされている。大きな犯罪を犯した割に落ち着いた歩き方なので,本当に犯人なのかどうかわからないが,ニット帽にマスク,上下黒い服装,というステレオタイプで怪しいとされている。一般の人は,やはりできるだけ怪しげに見えない恰好をすべきであろうと思うのである。