カバンの角が当たる、カバンで押される、カバンのヒモが当たる--など、数々の事例を取り上げてきた。まったくなくなる気配がない。
ということで、新たに「カバハラ(カバンハラスメント)」という言葉を作ることにした。ニモハラ(荷物ハラスメント)でもいいのだが。
なぜ、これほど周囲の人への迷惑を感じなくなったのだろうか。そこにスマホが最も大きいと思う。
かつて、ウオークマンが流行ったとき、ヘッドホンで音楽を聞く若者は、自分の世界に入ってしまっていた。それでも、歩くときは前を見ていたので、人にぶつかったりすることはなかった。単に音漏れがひどい人が迷惑なだけだった。
しかしスマホは、画面を見ることが前提なので、まず周囲を見ない。人間の五感のうち視覚は情報の9割を占めるので、ここがスマホに乗っ取られているとほぼスマホの奴隷状態である。そのことに本人は気づかない。
かつて、デイパックを背中に背負ったままスマホやゲーム機に集中している人が後ろの人に迷惑を掛けているということが話題となった。筆者は、荷棚に載せたり、足下に置くのが当たり前だった。
ところがどこでどう誰が勝手に判断したのか、デイパックを前向きにして背負えばいいではないか、という輩が現れた。
後ろに背負おうが前に背負おうが、幅を取るのは同じである。背の低い人にとっては、顔の前に荷物が来ることになる。
しかも、前に荷物があるのだから、他人に対する状況は見えるはずで、迷惑そうにしていれば向きわ変えるとかできるはずである。しかし、スマホに集中しているので周囲にはまったく配慮しない。
同様に,カバンの角,カバンについている紐にも無頓着だなと思うのである。
これをカバハラと呼ぼうと思うのだが、次々とハラスメントが出てきて、正直、この国の将来はもうないなと思うのである。