増税ありきで防衛費の財源確保が議論されている。岸田文雄政権の最大の汚点となるかもしれないと心配している。
2022/12/16現在,上がっているのが,法人税・たばこ税の増税,復興所得税の継続と,いずれも国民の負担を求めている。
5年間で43兆円を充てて防衛の増強を図るとしているが,ほぼすべてが海外からの武器の輸入とその訓練経費に充てられるだろう。つまり,8割が海外におカネが流出して海外の軍事産業を潤し,そして日本のGNPには貢献しないことになる。
アメリカでも韓国でも,国内に軍需産業がある。いずれも攻撃力・防衛力の増強のために保持している産業である。日本には軍需産業がない。また年々高度化する技術に対して,研究開発する仕組みもない。日本学術会議も「戦争を目的とする科学研究は絶対に行わない」と繰り返し発言している。研究どころか,モノづくりの仕組みも疲弊している。唯一,ロケットを開発する企業に転用できる関連技術があるぐらいである。
増税すれば,経済はますます停滞するだろう。これは逆効果だと考える。経済をまず活性化することを考える必要がある。経済が活性化し,企業の収入が増えれば,法人税は増える。その増加分を防衛に回す,という考え方を提示すべきだろう。技術立国,観光立国はいずれも破綻している。筆者が何度も提案している「水素エネルギー立国」「陸上養殖・植物工場などの工業化農水産業立国」に,ただちに軸足を移すことが,経済活性化と日本の世界での立場の復権につながる。
その上で,以下を提案する①農地への税制優遇,宗教団体への税制優遇を撤廃し,ここから税を得ること。②国会議員,官公庁職員などを削減し,人件費を削減すること。③1億円の壁と言われる高額所得者からの適正な税負担を求めること。
行政に関わる議員の不正が跡を絶たない。議員の活動を支えるという政治献金は,企業や個人の収入から献金されたものである。いわば,経済の一部を食いつぶしていることになる。本当に700人もの議員が必要なのか。議論が一向に進まない。議論のつぶし合いだけ,揚げ足取り,そして過去の不正の暴露ばかり目につく。
地方の意見が中央に反映しない,という問題がある。地方選出の議員の仕事が,地方活性化のためのおカネを地方に持ち帰ることだけに終始しているから,国全体の行政に対して関心がなく,「賛成・反対」と数合わせに動員されるだけなのではないか。
筆者は,新しい方法として,各都道府県知事が国会で議論する方法を提案してみたい。知事は,地方の行政の長である。地方を活性化させる責任を持つ者として選出される。その責務を持って国会で議論することで,本当に必要な議論ができるのではないか。国会での多数派の多数決による強引な行政ではなく,50人でじっくり議論すると建設的な意見がどんどん出るのではないか。
人件費も,選挙の費用も削減でき,献金という私欲を肥やすだけのカネの動きもなくなる。そもそも,献金は怪しいカネではないだろうか。
もちろん,年金の不正受給者もなくさなければならないし,脱税も取り締まらなければならない。さらに,GDPにいっさい貢献しないお笑いやYoutuberなどのローカルなエンタテインメント系の収入に対する税率を大幅に引き上げなければならない。また,多大な税金を使って国立大学を卒業した上でGDPに貢献していない人の税率を大幅に引き上げなければならない。国家財政を食いつぶした上に,国を弱体化させている張本人でもある。CMでさらに企業のカネを使って疲弊させている。本人はなんとも感じていないのだろうか。
それにしても,2011年3月11日の東日本大震災から11年も経過するというのに,まだ復興しないのだろうか,という思いがある。1995年1月17日の阪神淡路大震災からは,10年以内に完全復興したと思われるのだが,やはり福島第1原発の影響が尾を引いているのだろうか。復興税を引き伸ばすことで,さらに復興が遅れるのではないかという懸念もある。まず経済復興,そして不正の除去を考えてほしいというのが,筆者の考えであるが,これを実施する行政が腐っている状況で,自己浄化の機能も働かないのでは,期待は薄い。