マイナンバーカードを健康保険証として使い、これまでの保険証を廃止することが決まった。マイナンバーカードに保険証機能を持たせることに同意すると、ポイント還元するというエサまで付け、手続き期間も3回ほど延長し、いよいよもう最後で受け付けを締めた後も、まだだらだらと作業が続いていた。それでも国民の8割にしか登録が済まなかった。
そこに発覚したのが、保険証情報の登録間違いである。
もっとひどかったのは、住民票をコンビニのマルチコピー機で取れる機能で他の人の住民票が出てくるケースが先に発覚したことである。
ところが前者の保険証情報との関連付けは、健保組合などの民間組織が手で登録したために起きたものだという。開いた口が塞がらない。
新型コロナウイルスがまだ二類の全員把握が必要だった段階でも、感染確認の報告がすべて手で入力しなければならなかった。この段階で少なくともマイナンバーで運用していれば登録の合理化になっていたはずだし、さらにマイナンバーカードがあれば、電子的な読み取りが可能になっていたはずである。健康保険証情報とのリンクも、この段階で十分確定できたのではないか。
結局は、自営業やフリーランスなどの登録がアナログ的に人の手で行われたのではないかと推察する。
データベース同士の突き合わせは,厳格なリレーションのルールを組むことで間違いをかなり防ぐことができる。名前だけを比べていては,同姓同名の場合の取り違えが出てくる。さらに「斎藤」「斉藤」「齋藤」ではないが,登録した漢字の違いなども含めてまず第一段階での照合ミスは防ぐことができる。
結局,おそらくあるデータベースで住民が網羅されていないようなケースがあるのだろう。少なくとも,マイナンバーは生まれたての赤ちゃんから番号が発行されているはずなので,もれなく管理されているはずだからである。
しかし,その前段階である年金登録にも不備があった。本当に政府がやっていることがお粗末すぎる。そしてこれをまた,業者丸投げでその業者に責任まで押し付けようとしていることに,さらに反発を覚えるのである。
筆者は,マイナンバーやマイナンバーカードを強く支持してきたが,ここに来てその自信が揺らぎ始めている。カードデザインのダサさ,写真の不鮮明さ,そして書いてある文字が細くて読みづらく,背面のマイナンバーには網掛けが掛かっていて,これも読みにくい。中のICカードのコピーはできないが,見た目でのニセカードを作ることなど,それほど難しくないように見える。
人力での入力と照合作業がなくなるような仕組みづくりを早急に確立するよう提案したい。そしてマイナンバーカードと保険証の両者の突き合わせも人の目だけでなく,コンピュータによる照合ももっと活用すべきである。それがデジタル庁なのではないのか。結局,掛け声だけかけて,残りは民間に丸投げ,ということでは,いつもと同じパターンではないか。
大急ぎで,両方のデータの正規化(1対1対応ができるように,ダブりや不足がない状態にすること)を進め,しかる後に両者を完全にリンクさせる方法を採用すべきである。いわゆるリレーショナル・データベースの考えである。