jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

マイナポータルへのアクセスに不満--毎回カードをPCカードリーダーやスマホで認識する必要があることが不便【追記-いずれもカードなしで使える方法にアップデート】

確定申告直前である。社会人になってサラリーマンとして1社のみに勤めている間は,年末調整だけで済んだ。それでも毎年,保険料支払い票を提出するための作業が面倒だった。

 自宅を作り,それまで住んでいたマンションを人に貸すなど,給与以外の収入ができるようになり,確定申告をするようになった。その後,個人事業主になったり,複数の給与収入ができ,毎年確定申告をしている。

 今のようなe-Tax国税電子申告・納税システム)が登場する前は,税務署から送られてくる書類に手書きで書き込んで郵送していた。ご存知のように膨大な数の空欄を埋めて行く作業は,面倒の一言であり,しかも計算がまた面倒だった。

 表の中の項目と項目の関係を1つずつ確認し,計算式をExcelの中に組み込み,自動計算するテンプレートを自作した。複数のシートを使って個別の案件を計算し,最後にそれをまとめて1シートで表現する。表計算ソフトの素晴らしさに改めて感謝したものだった。

 e-Taxは,この作業をオンライン上でやってくれる。ただ,Excelと違って作業する順番がいちおう決まっている。途中までの結果を保存しながら,何回も使えるのはありがたいが,計算の中身がブラックボックスなので,本当に正しく計算されているのかどうか実は怪しんでいる。天引きされない収入があるので,毎年必ず納税するのだが,その額が今のところ適正範囲なので,細かい検証はしないことにしている。

 ただ,イギリスの郵便局で会計システムの設計ミスによって計算が合わず,職員が横領したとされる冤罪事件が明らかになった(あまりに理不尽な冤罪事件...イギリス「郵便局スキャンダル」に怒り再燃(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース)。国のシステムと言っても,しょせんは人間の作り物である。どこまで信頼できるかは,そのメリットとデメリットを天秤に掛けて判断するしかない。

 実際,e-Taxは便利というメリットの方が先に立つ。最初はシステムで計算した結果をプリントアウトし,郵送していた。そのうち,子供の学校の手続きなどで,確定申告の受領票の提出が求められるようになったため,会社を休みにして税務署に出頭し,受領印を押してもらって提出していた。やがて,電子申告で受領証に日付が入ったPDFを受領票として提出してOKということになり,現在は「e-Taxで電子申告」を自宅から行っている。提出書類も受領票もすべて1連のPDFになっているため,管理も楽だし,コピーもプリントアウトで済むからである。

 そこにマイナンバーという巨大なシステムが登場した。国民すべてを番号で管理し,そこにあらゆる情報を電子的に紐づけしようという計画である。個人番号は,無機質にも自動的に発行され,どこかで管理されている。この番号を使わざるを得ない。自分の勝手に変えるわけにはいかない。クレジットカード番号と同じである。

 その個人番号をカードとして持ち歩けるようにしたのが,マイナンバーカードなのだが,まずこのカード発行でつまづいた。最初は,発行申請のハガキと個人の写真を自治体に郵送し,1ヶ月後に自治体窓口に出頭して,そこで顔の確認を窓口の担当者が行い,カードを使うための暗証番号をその場で設定し,その情報をカードに書き込むのにまた10数分待ち,やっと手渡されるという流れだった。

 次の段階として,顔写真をデータで送信できるようになったが,相変わらず,取得手続きは自治体の窓口への出頭である。

 そこからさらに暴走が始まった。国民全員が持つのだから,ほかの証明証をすべて代替できるだろうと,健康保険証機能を持たせるということになった。しかし,医療機関でこの機能を使うには,医療機関側が読み取り端末を設置する必要がある。この端末が数十万円もするため,導入しない医療機関も多く,なかなか普及しない。そこで,既存の健康保険証を廃止する,という暴挙に出た。しかし現時点で,公務員のマイナンバーカードでの健康保険証利用が4%にとどまるという結果が出ている。公務員すら使わないものを一般国民が使うだろうか。いや増して,国会議員は健康保険など利用せずに自由診療だろうから,健康保険証のありがたみなど分からないのではないか。

 今後,運転免許証やパスポートなど,あらゆる証明証を飲み込んで行くのだろうか。

 さて,確定申告の話に戻して,タイトルの話題を追及してみたい。何でも紐づけするための窓口として,マイナポータルというサイトが提供されている。健康保険証をマイナンバーカードと紐づけする手続きや,年金をマイナンバーカードと紐づけする作業などがマイナポータルでできる。そのほかにも,まだまだいろいろな機能が盛り込まれているようである。筆者の場合はまだ,健康保険証と年金手帳の紐づけしかしていない。

 このマイナポータルに新しいお知らせなどがあると,登録したメールアドレスにメールが届く。

 ところが,このお知らせの内容を見ようとマイナポータルにアクセスするのに必要なのが,「マイナンバーカードの読み取り」である。

 筆者の場合,住基カード時代から使い続けている古いカードリーダーをパソコンにUSB接続してマイナンバーカードを読み取らせているのだが,正直,単にお知らせを見るだけの目的のために,財布からマイナンバーカードを取り出し,ビニールカバーからカードを取り出し,パソコンにカードリーダーを接続し,カードを差し込んでからパスワードを入れる,という一連の作業が,実に面倒なのである。お知らせを読んだあとは,カードを抜き取ってまたビニールカバーに入れ,財布に戻す。カードリーダーを取り外して引き出しにしまう,という作業が必要になってくる。

 「確定申告をスマホでしましょう」というキャンペーンをバンバン打ち出しているが,筆者の懸念は「スマホ手続きでマイナンバーカードの読み取りはもっと面倒」だということである。

 筆者は唯一,格安キャリアでマイナンバーカードが読み取れるスマホを使用している。現在は同じキャリアでも複数のスマホが対応するようになったが,最初は2機種しかなかった。現在でも最新機種にはマイナンバーカード読み取り機能は搭載されていない。

 しかし,何度かやってみたが,スマホでのマイナンバーカード読み取りが実に微妙だと感じている。スマホの読み取り位置とマイナンバーカードの位置が少しでもずれると読み取らないし,読み取り中に少しでも動かしてしまうとまた読み取りエラーになる。確定申告の作業中,マイナンバーカードから住所などの情報を読み取ったり,情報を保存したりするたびにマイナンバーカードの認識が求められる。そのたびに,微妙な読み取り操作をしなければならない。筆者のスマホの場合,スマホに対して直角に支えなければうまく読み取れないし,再度読み取りをするためにはいったん離してから再度読み取り位置にカードを固定するという動作をしなければならない。これを片手で行うことや,屋外で行うことに非常に不便を感じるのである。

 パソコンでカードリーダーでマイナンバーカードを読み取る場合は,カードリーダーに最初にカードをセットしてしまえば,読み取りが必要な場合は勝手にカードにアクセスするのでカードに触れる必要がない。筆者がスマホ申告をしない理由は,ただそれだけ手間とストレスがないためだが,それでもカードリーダーをセットする作業は面倒である。

 さまざまな手続きを行うためのパソコンとカード,あるいはスマホとカードを,MACアドレスで紐づけすれば,いちいちカード認証しなくてもIDとパスワードでマイナポータルなどにアクセスできるのではないかと思うのである。

 銀行カードは,ATMでリアルなお金を引き出す時には物理的なカード認証が必要だが,通常のオンライン取引ではIDとパスワード,スマホでの二重認証まですれば本人確認ができ,大きなお金を動かすこともできる。オンラインショッピングでも,登録したクレジットカードを選択するだけで,物理的なカードを財布から取り出して確認することも読み取りをすることもなく,使用できる。デビットカード交通系ICカードなどは,タッチ一瞬で認証される。スマホでカード情報を読み出すときにカード認識が面倒だが,それほど頻繁にカード情報を読むこともない。むしろ,交通系カードからスマホアプリに乗せ替えようという動きすらある。

 これほどスマホの二重認証に移行させようというのが主流の中で,マイナンバーカードがカードリーダーとパスワードだけという旧式な認証しかしないのか,さらにマイナポータルへのアクセスにカードが物理的に必要なのか,理解に苦しむ。

 おそらくだが,マイナンバー関連のシステムが,旧式の大型コンピュータを使ったシステムで構成されているのではないかと思うのである。マイナンバーカードを申請した際のパスワード登録を思い出してほしい。アルファベットと数字の組み合わせで登録する際,アルファベットは大文字限定だった。旧式の大型コンピュータは,アルファベットの小文字を認識できないのである。そうした古いシステム開発態勢で作られた仕組みなので,最新の技術を連携することができないのだと思う。

 先日,いつも行く歯医者で,月替りの健康保険証確認を初めてマイナンバーカードでやってみた。一番最初から,健康保険証の紐づけ登録はしていたが,医院に読み取り機がないことが多くて使う機会がなかったのである。予約制で診療を受けたので,待合室の人も少なく,うまく行かなくても医院側がサポートしてくれるかなと思ったからである。

 財布からカードを取り出すところまでは,健康保険証と同じだが,読み取り機にセットする方向をまず気にしなければならなかった。さらにおくすり手帳との連携など複数の質問に答える必要があり,最後には「高度医療を使うかどうか」という質問まで出てきて,さすがに押していいものか迷ってしまった。次回も同じ質問に答えなければならないのだろうか,と思うとうんざりする。

 交通系ICカードが,世界的な半導体不足のために,無記名カードはおろか,記名カードすら現在発行できない状態になっている。その代替策としてスマホのアプリでの登録が進んでいる。物理的なICカードの情報をスマホの中に読み込んで紐づけし,スマホのタッチで代替できるようにしたものである。

 交通系ICカードのセキュリティーは,FeliCaという高度なシステムで安全性が証明されている。日本で開発された技術で,世界中で使われるようになっている。おそらくまだ一度も破られたことがないはずである。同じ仕組みをなぜ,日本のマイナンバーカードが取り入れないのか不思議なぐらいである。民間企業のシステムなど気に入らんと官僚が拒否したのではないだろうか。たぶん,特許も公開しており,ライセンス料を支払うといった官僚が嫌がる仕組みでもないはずである。

 マイナンバーカードの次期システムが検討されているらしい。ぜひ,スマホでの二重認証程度で便利に使えるようにしてほしい。結局,これまでの開発に使われた税金は,一部の政治家と一部の官僚とその関連企業に流れて行ったのだと推測される。その登録を孫請け企業に流して責任放棄した上に,情報登録を手動でさせて間違いを起こすという凡ミスまで発生させている。

 こういう体質の裏に,パーティー会費での裏金作りなどの戦後一党政治の歪があるのだと思う。自民党には少なくとも解散して,一からやり直してほしい。一方で,今の野党には政治を牽引する力はない。かつて,国を豊かにした土木建設関係のネットワークは,いまは惨憺たるものである。高度経済成長を支えた製造業も,風前の灯火である。しかし,モノづくりがなければ経済の再成長はない。経済界がここは政治に乗り出して,経済界主導の政治をすることで,国のGDPに貢献する産業の育成,雇用の安定確保,安定した給与などから,少子高齢化社会からの脱皮に転換すべきだろう。でないと,多くの日本人が投資に走り,バーチャルな世界に走って,さらにGDP順位を下げることになってしまうだろう。トップ3位のアメリカ,中国,ドイツは,軍事産業も含めてではあるが,モノづくりがあるからトップに君臨できるのである。

【追記】スマホでのマイナンバーカード認識は,「スマホ電子証明書に対応しているスマートフォン」ならカードなしでも操作できるようになったようである(マイナポータルにログインするとき、都度マイナンバーカードが必要ですか。 | よくある質問|マイナポータル (myna.go.jp))。筆者の格安キャリアでも,その後の機種では対応していることを確認した。初期のころから,マイナンバーのサポートと,マイナンバーカードの検証をレポートしてきたのが仇になって,新しい仕組みに対応できていなかったのは残念である。今回の確定申告には間に合わないが,近いうちに機種変更を考えなければならないようである。

【追記2】PCからのアクセスでも,PC画面上に表示されたQRコードスマホのカメラで読み取って認識すれば,マイナポータルにログインできることがわかった。今回,結局,スマホ電子証明書対応のスマホに機種変更したことで,認証できるようになったのかもしれない。これで,マイナンバーカードをカードリーダーで読ませなくても,使えるようになったと思われる。