jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

量を出せる国が勝つ--工業製品,エネルギー,そして食糧

第二次世界大戦後,日本が高度経済成長して奇跡の復興を遂げた。資源のない日本が世界に打って出られた唯一の切り札が,モノづくりであった。
 この原則は,基本的に変わらない。やはり「量を出せる国が勝つ」ということなのだと,改めて考えたので,考えをまとめることにする。
 世界が必要な原材料を持っている国は,まず圧倒的に有利である。石炭は世界各地にあったので争いは起こらなかったが,石油は大きく偏在する。中東諸国が裕福になれたのは,石油資源のおかげである。ただし,開発能力も同時に持つ必要がある。
 CO2問題で有利になっている天然ガスも,偏在している。ロシアがヨーロッパに対して持つパイプラインによって,ウクライナ侵攻時の切り札にもされた。
 本来,地球全体の環境を考えれば,CO2の発生量の多い石炭は使うべきではないが,中国はこの石炭による発電を使って太陽電池パネルを量産し,世界に供給している。矛盾しているが,環境問題を考えれば中国から太陽電池パネルを買わざるをえない。
 工業製品は,いまや中国が世界の工場になってしまっている。人口が12億人いるが,社会主義国家ということもあり,格差も大きい。安い労働力を手にいれることも,あるいは強制労働させることもできなくはない。石炭,鉄鉱石,リチウムなどの貴金属などの原料も国内にある。鬼に金棒状態である。
 日本は,エネルギーもなければ,食糧を大量に生産できる広い平野もない。労働集約型で小ぶりの工場で工業製品を大量生産し,輸出することで生計が成り立ってきた。自由主義国家で,基本的に単一民族,単一言語国家であり,貧富格差は諸外国ほど大きくはない。国民が皆,中流階級である。その分,安い労働力が得られず,東南アジアの安い人件費に頼ったばかりに,技術流出,生産拠点流出が起こり,元に戻れなくなっている。
 ロシアがいまだに発言力があるのも,天然ガスエネルギーのほかに,大量の小麦を輸出しているからである。主な輸出先であるアフリカが,ウクライナ紛争の影響で食糧難に陥っているが,これをロシアがどう見ているかは不明である。
 世界の中で,今最も有利なのが中国である。土地,エネルギー源,エネルギー,人材(研究力,労働力),工業生産力,軍事力,食糧のすべてが潤沢にあり,しかも中央集権で決定が速く揺らがない。世界の2割の人口を持つということは,海外から外貨を稼がなくても市場を自前で構築できるという強みがある。
 一方,アメリカは土地,エネルギー源,エネルギー,人材(研究力),工業生産力,軍事力,食糧とそろってはいるが,労働力および自国の市場規模に限界がある。世界中の仲間と手を組んでチームを作らないと,消費市場を作れない。また,安い労働力は移民に頼らざるをえず。多国籍,多民族,多人種の運用上の問題も抱えている。
 工業生産力を失った日本に,今何ができるかといえば,周囲を海,つまり水に囲われた有利な立地を生かし,水→水素というエネルギー生産と供給,そして狭い場所で効率よく生産できる植物・食糧工場で,自動化によって大量に安く作って世界に供給するしか方法がないという結論に達する。