jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

DXで成功しているのは闇バイト犯罪だけかも--ビジネスモデルの変革まで行かないただのデジタル化が多い

DX(デジタル・トランスフォーメーション)が盛んに叫ばれている。トランスフォーメーションは,「変身」「変換」「変形」の順に訳語が出てくる。

 日本人にとって馴染みのあるのは,仮面ライダーの「変身!!」であったり,クルマや電車に形を変える「変形ロボット」だったりする。テレビドラマ,おもちゃ,アニメなどの日本ローカル文化として昭和時代に台頭したが,1980年代にアメリカ・ハリウッドでSFアクション映画シリーズとして始まった「Transformer」によって,ほぼ日本のオハコが取られてしまった形になる。3D,CGなどの技術を駆使し,派手な変形アクションと,ロボット化後の強力な武器化が,アメリカでは受けたものと思われる。

 DXで使われる意味は,主に「変革」である。つまり,「デジタル化によってビジネスモデルを変える」という意味が込められている。

 しかし,その多くはパソコンを導入し,手書きの紙の書類をパソコンのプリントアウトに変更し,それを保管する,という「単なるパソコン化」の域を出ないものである。改正電子帳簿保存法が2022年1月に開始し,切り替え猶予が2023年12月末に迫っているが,この形式的な導入が業務変革につながるかどうかによって,単なるデジタル化なのかDXなのかが変わってくる。

 DXという言葉そのものは,筆者は嫌いである。「なんとかX」で思いつくのは,たとえばFX(外国為替証拠金取引)である。英語だとForeign Exchange。「X」はexchangeの中にちゃんと入っている。BMXという自転車競技は,Bicycle Motocrossの短縮形で,「cross」が「X」である。もっと古くにあるのはクリスマス。英語だとChristmasだが,前半を「X」に置き換えて「Xmas」と表記されていた。キリストと十字架,これをXで表すという奥深いものである。映画の特殊効果としてのVFX(視覚効果)は「Visual Effects」の略で,かろうじて最後の「ects」の部分を「X」に置き換えていることが分かる。

 これに対して,transformationには「X」の要素がどこにもない。「trans」の部分を「X」に置き換えているのだろうか。少し変形し過ぎの感がある。「X」に「✕(バツ)=破壊・変換」の意味を持たせているのだろうか。筆者も,最初に「DX」と聞いたとき,「Digital Exchange(デジタルによるビジネスの切り替え)」という意味かと思ったのだが,これだと電話のデジタル交換機と同じなので,使えなかったのかもしれない。

 さて,デジタルを使って本当にビジネスモデルまで変わったものは,実はそれほど多くない。たとえば,JRのSUICAカードによって改札業務が変わったが,これがクレジットカードに代わるデジタル決済の基本になった。これに続いて,無人店舗が日本でも実験的に設置されているが,中国では当たり前になりつつあるようである。

 SNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)は,ほとんど和製英語で,英語圏ではsocial mediaである。スマホが普及し,SNSでのコミュニケーションは,相手の人格が分からない状態になってしまう危険性が顕在化し,これによって人が簡単に騙されるようになった。

 先に電話によるオレオレ詐欺が行われるようになり,これがSNSになってお金を取る詐欺から犯罪をさせる詐欺,つまり闇バイト犯罪に巻き込むという動きが生まれた。さらに闇バイトの指示が,フィリピンの刑務所の中から,というのもショックだった。これこそ,マイナス面でのDXに思える。

 ゲーム機器からテレビゲーム,そしてオンラインゲームに展開し,さらにe-スポーツという競技(というか,金儲け手段)にまで発展したのも,DXである。これも,自分の人格が分からない中でのエンタテインメントであり,胡散臭いニオイがするのだが,若い人がこのe-スポーツの世界に入ってしまうことで,国や企業といったさまざまな組織がなくなって,世界が混沌としてしまうのが恐ろしい。

 2022年末から始まったChatGPTを皮切りとする生成AIが,DXの新たな姿になっていくと思われる。ホワイトワーカーの8割の仕事がなくなるかもしれない,という衝撃は,DXの新しい流れを作るかなと思えるのだが,筆者のこのブログも存在が怪しくなるかもしれない。