コマーシャルは,筆者にとっては新商品が紹介される時間だと認識してきた。したがって,CMで見た商品がすぐに欲しくなってくる。クルマとか家電とか,お菓子とか,衣料品とか。薬もそうだし,雑誌もCMから新製品の情報を得てきたと思った。
いつの間にか,CMが企業のイメージ広告になってしまった。印象的だったのは,専売公社から民営化した日本たばこ産業が,その愛称「JT」を使って,「ひとのときを想う」とタバコとまったく関係のない,いやむしろタバコから目を外らさせようという目的ではないかと疑うようなCMを打ったあたりからである。
実際にできていない水素エネルギーを,いかにもメイン事業であるかのようにCMを打って,自社が地球環境に真剣に取り組んでいるイメージを発信していながら,実は事業の多くを石炭火力を扱っている事実をごまかすCMであったり,サステナブル住宅といいながら,木材だからいいというものの,その木材の出所がどこかわからない。
会社のイメージ広告など,不要だと思う。それは,採用を目的としたリクルートCMなのか。筆者にとっては,かえって胡散臭く見えるのである。