jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「激アツ」を考える--パチンコ関連用語から一般化したとのこと

ここのところ,人の口やテレビで聞かれる「激アツ」という表現が気になっていた。どうせ,流行りの何かの短縮形だろう,ぐらいにしか思っていなかったのだが,どうもそう単純ではないようなので,今回はメモ代わりに書いてみる。

 短縮形と考えたのは,「very hot!(とても熱い!)」の略かと思ったのである。世の中,激ヤセとか,激辛とか,激ウマとか,激安とか,さまざまな新型接頭語による造語が生まれているからである。その最たるものが「爆買い」だろうか。こちらは海外から日本にモノを買うためだけに旅行に来ることの代名詞となってしまった。売る側の店舗は商品が大量にはけるのでありがたいかもしれないが,もともとその商品は日本で生産されたわけではないので,外貨獲得にはならないことに気づかない。これに円安が加わって,ますます日本の価値が下がって行ってしまうことにも気づかない。果ては土地やマンションまで投資用資産として買われ,結局は差額だけ儲けさせて捨てられてしまうことに気づかない。気づいたときには,かつてのニューヨークのマンハッタンのように,地元の人が住めない街に変貌してしまうのではないだろうか。

 ちなみに「爆睡」も何となく定着しつつある。毛色の違うところでは「バクモン(爆笑問題の略?)」か。

 さて「激アツ」に戻って,これをネットで検索してみると,「「激アツ(激熱)」とは、パチンコやパチスロで高信頼度の予告やリーチアクションが出現し、大当りの可能性が高まった状態のこと。「大当りが近い」=ワクワク・ドキドキ感を「アツい」と表現し、それにかなり接近している状態なので、「激」が付き「い」を省略したわけです。」と出てくる。いちおう,筆者が頭で考えていた「very hot!(とても熱い!)」と基本的には同じなのだが,「パチンコ関連用語」とは知らなかった。「アツい」というだけでも,パチンコで使われるようである。

 そもそも,賭け事に一切興味のない筆者にとって,まずパチンコ経験はウン十年の人生で1回のみ。今は当たり前と思われる電動パチンコの初期のころだったと思われる。コントロールの方法も分からず,勝手にどんどん玉が発射され,気がついたら5分もしないうちに箱が空になっていた。あまりのアホらしさにそのまま店を出て,二度と近づくことはなかった。当時はモウモウとタバコの煙が立ち込め,しかもあの騒音である。筆者の好みからはかけ離れたものであった。(その後,結婚して身内にパチンコ好きがいて,驚いたものだった)。

 「とても熱い」というのは,最初は料理のことだろうと思っていた。激辛と同様,トウガラシ満載の辛くて熱い料理のことかなと思っていた。口が火傷するほど辛くて熱い,という意味なら何となくイメージが湧く。中国からやってきた火鍋料理も定着しつつあり,そのイメージで捉えていたのだが,料理関係の表現は「激辛」までのようである。

 パチンコ関連では,まず「アツい」があり,これが「激アツ」になり,さらに「鬼アツ」まであるようである。

 この言葉,知らないとオヤジ認定される36の若者言葉【随時更新】 | メンズファッションメディア OTOKOMAE / 男前研究所 - ページ 4 | ページ 4 サイトによると,2017年に流行った言葉なんだそうな。筆者がいかに時代に遅れているのかと思ってしまった。

 国語辞典の編纂者は,街中を歩き回っては新しい言葉を発見・記録し,出現頻度が高くなり定着したと思われると,これを評価して辞典に掲載するのだそうだ。しかし,国語辞典を使ったのは,せいぜい高校ぐらいまでだったろうか。その年齢ぐらいまでなら,自分たちの周りで使われている言葉を知りたいと,辞書を引く可能性もあるので,掲載していない方がおかしいかもしれない。

 しかし,社会人として自分の言葉に責任を持たなければならなくなったとき,いわゆる若者言葉は使わない方がいいと考える。筆者にとってその基準となってきたのは,岩波出版の「広辞苑」なのだが,2018年に10年ぶりに改訂された第七版に「ヤバい」が掲載されたのには驚いた。まるで使ってもOKとお墨付きをもらったかのように,NHKでもヤバいが使われるようになった。SNSは恐ろしい--感情的な批判表現は「表現の自由」ではなく「勝手表現」。規制する技術が必要と感じる - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/2/18。もともとは盗人や香具師などの隠語と言われているからである。

 音の響きも,「濁音」が入っているので汚く感じる。そういう意味では「激」や「爆」も濁音混じりで汚く聞こえる。筆者もモノを書き始めたころ,「~だが,」という接続はできるだけ使うな,と指導された。もともと,前後で本当に否定の意味がないのに安易に使われやすい接続詞だし,濁音が入って汚く聞こえるからだ,と指導されたものである。新しいところだと,「ドローン」とか「バズる」なども嫌いな響きの言葉であり,できれば使いたくないと思っている。

 さすがに,仕事相手は年齢も比較的高く,モノ書きの教育も受けている人が多いので,新語を普段は目にすることもなく助かっている。ただ,電車のトレインチャンネルの広告やテレビでは,日々訳の分からない言葉が溢れているのが気になる。特に,外国人が流行り言葉を日本語だと思って使っている場面を見ると,どこかできちんと整理する必要があるように思う。

 言葉はまず耳から入って記憶される。そして街中の文字がこの記録を裏打ちして定着していく。いい加減な言葉遣いは,テレビ放送と広告から締め出す必要性を感じる。そのいずれも,お笑い芸人が最前線で大活躍している現状では,もう歯止めは効かないのだろうな,というあきらめがある。