jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

テレワーク--快適過ぎて怠惰になりつつ

テレワーク中心の生活が1年を越えている。かつて同じ仕事を個人事業主として自宅で受託して作業していた。その際も,メールと電話でやり取りをしていた。その後,契約社員となり,オフィスに通勤して仕事をしていた。テレワークで以前とほぼ同じような状況になっている。

 受託作業していたころは,朝から晩までPCにかじりついて仕事をしていた。振り落とされないように必死だった。不安定な生活だったので,新しいアイディアを考えては提案し,自力で解決していた。限られた時間の中で効率よく仕事をするために,マクロレベルの自動化も自己流で考えて使い込んでいた。

 今の仕事では,このときに学んだことを生かしているように思う。逆に言えば,ノウハウを無償で提供していることになる。サラリーマンは時間を金で売っているので,何をやっても基本的には評価されない。次々といろいろなことを文句も言わずに引き受けなければならない。

 テレワークになって,職場とのコミュニケーションは悪くなっている。電話がかかってくるときは,たいてい話がこじれたときである。メールのやり取りも,大なり小なり時間差ができる。対面でもたぶんけんか腰になりそうな内容が,さらにエスカレートした文章で飛び込んでくる。反射的にまた過激な文章で返信を作成し始めるが,どうせ話が通るわけはなく,一度メールを消去して,改めて無難な返事を作成して送る。その後はため息である。

 筆者のテレワークは,一般の企業のテレワークとは異なり,時間の使い方は自己裁量である。PCをコントロールされているわけでもなく,映像や音声で常時接続されているわけでもない。もっとも,オフィスでもほぼ一人部署なので,他の社員と一日中会話しないこともある。オフィスだろうと家だろうと喫茶店であろうと,PCとネットワークがあればどこでもできる仕事なので,結果を出せば基本的に文句は言われない。

 自宅で作業をすると,家の雑用をすることも多い。皿洗い,イヌの散歩などである。また1時間ぐらいの買い物に出ることもある。デスクワークをしているときも,PCの隣にタブレットを置いて,取り溜めたビデオを宅内リモート再生して“ながら仕事”をしている。超集中するときはもちろんPCに集中だが,繰り返し業務をするときなどは,ビデオを再生したり,BGMを流したりして,リラックスしながら仕事をしている。オフィスだとこれができない。しかし,たかだか午前3時間,午後4時間の連続業務の間,集中していればよく,通勤の往復3時間,昼食休憩の1時間,出勤してから業務準備している30分など,仕事にならない時間があるのだが,自宅作業だとこの無駄時間がなく,家の雑用をしなければ早朝から深夜まで仕事をすることができる。

 打ち合わせばかりしている職場だと,リモート会議の仕組みを導入しなければならず,会社にとっては物理的な負担が増える。業務管理(あるいは監視)システムも必要だ。社員側も,オフィスにいるとき以上に自分の行動を監視・記録・評価されることに抵抗があるだろう。プライバシーの侵害が起こらないとも限らない。画面の前に座り続けていないと,「仕事をしていない」と判断されて評価を落とす,などということになりかねない。業務管理者は,鬼の首を取ったように,冷徹な評価を下すことになるだろう。

 そういう意味では,筆者の現在のオフィスワークはその場の雰囲気で何となく業務管理されているだけということになる。これにPCの稼働管理,使用ソフト管理,画面管理などが加わると,ガチガチの監視体制になり,経営側と労働側の気持ちの違いもはっきりしてくるだろう。

 筆者は,コールセンター業務も経験している。この業務は席を離れるときは電話が入電しないように止め,席に戻ったら解除する,などの操作がすべて記録される。入電待ち時間は多少の私語も可能だが,そもそも隣のオペレーターは入電対応をしているのでおしゃべりをするのもほんの数分。常に入電に神経をとがらせていないといけないので,ほんの世間話程度である。

 工場での生産現場はベルトコンベアなど機械のペースに縛られたり,処理個数などで結果を管理される。多くのオフィスワークも,定形作業であったり,突発業務であったりするが,業務時間が過ぎれば退社して外部とも内部とも連絡が取れずに仕事がそこで止まって翌日回しにできる。

 テレワークは,ネットワークでつながっていればいつでもどこでも仕事ができるため,仕事時間に切れ目がない。夜中でもメールに気が付けば返信しなければならないときもある。その分,リラックスしながらのワークも許してもらえるとありがたいと思っている。一般の企業では難しいかもしれない。しかし,リゾート地でテレワークできるような企業では,たとえば拘束時間は少し短くするが夜間もメール対応をしてもらうなどで,業務の平準化をして結果はきちんと出せるような業務管理が必要だろう。業務時間が長くなる分,場合によってはより多くの成果物を出せる可能性もある。オフィスで規定時間だけ仕事をすることが,効率のいい仕事の仕方ではないはずである。

 そういう意味で,筆者のテレワークは快適である。平日でありながら,このようなブログを作成することもできる。会社から見れば,ダラダラと仕事をしながら,管理の目から逃れていることになる。さすがにテレワークが1年を越えると,やや怠惰になっている自分も感じている。

 ワクチン接種が受けられれば,この自主テレワークを積極的に解除してもいいと思っている。緊急事態宣言が解除されれば,出社頻度を上げなければならないだろう。

 結局,新しい日常に対応するチャンスを逃したことになるのだろう。そして元の日常を繰り返すことになるのかもしれない。口では新しいビジネスモデルを作らなければと言っておきながら,結局何も変わらない。ほとぼりが冷めるのを待っているとすれば,それは日本政府,東京都などの失政と同じことである。せっかくのチャンスを逃したこの会社は,別のモデルで生き残るのかもしれないが,先は長くないと感じている。