jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

技術なし,精神なし,指導力なし,でどう解決できるのか

新型コロナウイルスの対策で,人流を止める,ワクチン接種率を上げるという2つの方法があるらしい。前者は行政による指導力で,後者は技術力で実現できる。

 ワクチンの開発,ワクチンの配布・接種においては,バイオ技術とIT技術がまず必要である。これに加えて,接種する医療従事者や有事としての軍の人材の投入ができるトップの指導力と,これを実現するための法律の準備という「政治・立法技術」が必要である。

 一方,人流を止める「ロックダウン」のような強い規制を実現するには,トップの指導力とともに,これを実現するための法律の準備という「政治・立法技術」が必要である。

 アメリカは,ワクチン開発において企業への資金供与を行って,遺伝子ワクチンという初めてのタイプのワクチンをわずか1年で開発。感染者数も多かったことから,治験も短期間で実施され,承認も早く行われた。ワクチン開発の技術を持ち,これを早期に実用化し,量産を支援した。新型コロナウイルスとの戦いを「有事」として,軍を動かすだけでなく,薬局やスーパーマーケット,大規模施設での集団接種にボランティアまで導入している。バイオ技術と政治的指導力が両立している。

 欧州は,ワクチン開発技術もあり,また国によってロシアや中国との距離の違いもあるので,各国の事情に沿ったワクチン接種が進められている。ワクチン供給が始まる前の危機的な感染者数増加に対しては,ロックダウンという強い政治力による人流抑制を基本として進めてきた。これにワクチンの自前供給と中露からの導入により,技術的な感染抑制段階に入っている。

 これに対して日本は,結果として「精神論」で戦いを続けてきた。ワクチンの開発能力もない。他国のワクチンを購入する際の政治交渉力もない。購入が決まったのに,有事の医薬品緊急承認の方法もない。人流を抑えるためのロックダウンの法律もない。

 国民に,自分の行動を抑制して他人に感染させたり他人からうつされたりしないように,気をつけてください,とお願いするだけである。1年半経過して第四波の中で,変異型ウイルスで感染速度が2倍,若者の重症化率3倍,感染者数の増加や重症者用病棟が崩壊しようとしている現時点ですら,お願いしかできない。

 お願いを聞いてくれる国民が9割だとして,残りの1割は勝手な行動をする。これが1年前の1回目の緊急事態宣言時である。現在の3回目の緊急事態宣言時にはおそらく,お願いを聞いて自宅にじっとしている国民は,6割ぐらいしかいないのではないか。1回目は未知のウイルスで対応策が分からない恐怖で自主的に行動制限していた人も,マスク,手洗い,3密防止などのほかに方法がないことと,飲食店や公共交通機関,ホテルなどの対策がそこそこまで実施されていることから,緊張感を失っている。

 おまけに,2回目の緊急事態宣言前後に起きた政治家や自治体職員,医療関係者の会食という不祥事で,国民の人心は政治や医療から離れてしまった。だれも首相の話を聞かなくなった。だれも都知事,府知事の話を聞かなくなった。医療従事者に対する感謝の気持ちや応援の話もとんと聞かなくなった。街中に人があふれ,観光地に人があふれ,近場の公園や海岸に人があふれ,禁止しているバーベキューを河原で勝手にする。インタビューをすれば「こんなに混んでいるとは思わなかった」とコメントする。その本人が混雑の元凶であることなどお構いなしだ。

 2021年5月の中盤から,ワクチンの輸入が急速に増えてくる予定である。しかし,ワクチンが足りない段階での予約システムの混乱と同じように,今度はワクチンの保管や運用がずさんで大量に廃棄したり,打ち間違えたりが起きると想像している。地方自治体に任せていた接種管理に加えて,首相の思いつきと言われる東京,大阪の集団接種会場での自由予約なども始まると,どこでだれがどのワクチンをいつ接種し,2回目を間違いなく打てるように指導することができないと考えている。

 さらに,医療関係者をきちんと配置する仕組みもないので,ワクチンは届いた,接種予約者も来た,でも注射をする人が足りない,などということが必ず起きてしまうだろう。

 ワクチン予約券は,自治体で勝手な仕様で送られている。接種後,接種証明と2回目接種の予定についての情報も,おそらく何ら統一された仕組みで作られていないだろう。住民全体の接種の責任は自治体が負え,ということなら,間違いは起きないようにできるかもしれない。しかし,東京,大阪での集団接種などが混じってくると,接種管理ができなくなるのではないか。接種券の偽造なども起きるのではないか。