新型コロナウイルス変異株のオミクロン株の亜種としてBA.2と呼ばれるウイルスが蔓延を始めている。東京都内で2022年1月中までに30人の感染が確認されたという。
BA.2の特徴の1つに,PCR検査で陽性と判断されないことが挙げられる。無症状で感染拡大を許してしまうBA.1に対して,症状があってもPCR検査で陰性となるBA.2は,「風邪ですね」と判断され,風邪薬と自宅療養を言われるにしても,患者本人が完全に安心しきっているため,周囲にウイルスを撒き散らして濃厚接触者としてしまうことが考えられる。厄介である。フローチャートを考えてみた。
つまり,症状があってもなくても,そしてPCR検査が陽性だろうと陰性だろうと,BA.2感染の可能性がある,ということである。
ワクチンの3回接種をしても,罹患しないという保証にはならない。罹患して症状がなくても,ほかの人に感染させる可能性はある。
とすると対策は,まずワクチン接種は必ず行う。これは罹患する可能性をなるべく減らすためと,罹患しても重症化させないためと,罹患して他人に感染拡大しないために重要である。
次に,換気はできるだけ行う。ひょっとしたら感染しているかもしれないが,無症状ということもある。そのマイクロ飛沫にはウイルスが含まれているかもしれない。これまでは,無症状の場合は罹患していなかったことが多かったが,感染している可能性があるとすると,無症状でいても換気が不十分な場合,ウイルス濃度が上がって,ほかの人に感染拡大する可能性がある。自宅でも定期的な換気はあった方がいいということになる。筆者の場合も,ずっと無症状なので罹患している可能性はないと思ってきて,自宅の自分の部屋の換気はほとんどしてこなかったが,ひょっとしたら感染しているかもしれないと思うと,最低限の換気はした方が良さそうである。
そして基本のマスク。これは感染している人も感染していない人も,マイクロ飛沫の拡散防止と吸い込み量の減少のために,常時着用が望ましい,ということになる。
最近の傾向として,高齢者がマスクなしで出かけているのを見かけることが多い。自分はワクチン接種もしているし,自覚症状もないから,マスクなしでもいい,という理屈だろう。しかし,無症状で感染していて感染拡大の可能性はゼロではない,とすれば,やはりマスク,それも不織布マスクの着用が望ましいことは言うまでもないと考える。高齢者施設でのクラスター発生が多いのも,ワクチン接種による気の緩みではないかと思われる。
保育園や幼稚園でのクラスターについては,マスクの不完全な着用,大声での会話,他の子どもとの直接および間接の接触など,どんなに気をつけてもなかなか防ぎようがない面がある。ウイルスの持ち込みが,指導者によるものか,親から子に移して持ち込んだものか,子どもたちが公園などで感染して持ち込んだものなのか,まったく感染ルートを特定できない。しかし,ワクチン接種がまだほとんど進んでいない段階では,休園しか方法がないのかもしれない。
結局,病床使用率という医療逼迫度を指標にするという話が吹っ飛んでしまって,日々の感染確認者数,重症者数,死亡者数のみで増えた減ったと一喜一憂している状況が変わらなければ,次の手を打ちようがなく,ただ漫然と期間延長するだけになってしまう。
病床使用率は,病床数を増やせば減らすことができる。つまり逼迫度が上がれば病床を増やせ,というサインである。病床数を増やすのに国は対応してくれない。これを担うのは地方自治体である。つまり,現在の病床使用率とともに病床数と空き病床数を明確に発表し,これに自治体が日々何床追加したか,どこに追加したか,どの病院が比較的使用率が低めで,たらい回しせずに入院させられるか,という情報を,自治体ごとに正確に発表することで,危機感を共有することが大事である。どうも,医療現場の危機感を自治体やその長である知事,市長が十分把握していないのではないかと思えるフシがある。
入院患者数から退院患者数を引いて,病床使用率がキープされているのか,それとも使用率がどんどん上がる傾向があって,病床追加に大きな課題を抱えているのか,そのあたりの情報提供がまったくできていない。COVID-19医療崩壊を明確に示せるグラフを新提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/9/3 とブログで書いた。同じグラフで2022年1月,2月を表示すると次のようになる。
2月の初旬に頭打ちにはなっているが,調整中者が8万人もいる,という状況は,恐ろしい。これにまだ1日あたり1万人以上の感染確認者が加わっている。2022/2/24現在の確保病床数と使用率は,中等症で7,109(56.7 %),重症で510(14.5 %)である。調整中の8万人の入院をどうするかによって,一気に満杯になる可能性を秘めている危険な状況であることに変わりはない。
ウクライナでの軍事侵攻が始まったことで,世界の関心がそちらに向いてしまっているが,足元はCOVID-19でぐらついている。今じゃないでしょ--コロナ禍に軍事侵攻をすることへの失望と,地方自治体の活躍に期待 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/2/25。地方自治体は,どんどん新しい手を打ってコロナ禍をまず凌がなければならない。北京冬季パラリンピックはこれからなのだが,最悪開催ができない可能性もあると思われる。オリンピックで浮かれた世界が,今度はウクライナ侵攻でコロナ禍から関心が移ってしまうのが怖い。できる人はテレワークを続けた方がいいし,ワクチン接種とマスク着用は続けるべきと考える。そして飲食店やイベント会場は,換気にさらに気を使っていることをアピールして,安心して食事ができるような環境を提供してもらいたい。国産治療薬の認可も早くしてほしい。期待している。