jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

水の災害は今後も増えるのか--インフラの老朽化に対応し,二重護岸などを提案

地球温暖化により,海水温が上がってしまっているようである。ここまで来ると,筆者としては最悪のシナリオを考えざるをえなくなっている。

 海水温が上昇すると,海から大気に蒸発する水分量が増える。空中に増えた水分は,どこかで雨となって落ちてくる。海の上で雨が降ればそこで循環するが,上昇気流によって低気圧帯ができ,これがやはり海水温の上昇に伴って台風やハリケーンなどの巨大な雲の塊ができやすくなる。

 また,海水温の上昇に伴って,これまで安定して緩やかな蛇行で流れていた偏西風が,大きく蛇行するようになる。北に蛇行した地域では南から温かい湿った空気が流れ込み,大雨になり,南に蛇行した地域では寒気が流れ込んで冷夏になり,作物が不作になる。

 かつて,雨が降るパターンは,寒冷前線を中心とした温度差のある2つの空気の境目で降る雨か,安定した大気の中に割り込んで突き進んでくる台風の雲によって降る雨という2種類しかなかった。梅雨前線,秋雨前線ができる初夏や初秋にダラダラと雨が降り,たまに台風が大雨をもたらすことはあっても1日持ちこたえれば台風一過の秋晴れになっていた。

 しかし,海水温の上昇により,「前線に伴う雨」がなくなった。その前に,西高東低とか南高北低といった気圧配置がなくなり,海上のあらゆるところに突然低気圧が発生し,その周辺の風の動きによって陸地とぶつかる地点で積乱雲が連続的に発生し,線状降水帯として局地的な豪雨になる。21世紀に入ってから発生した「ゲリラ豪雨」も「線状降水帯」も,前線理論では説明がつかない。つまり,現在の気象予報士の後付け解釈は単なるこじつけに過ぎないし,予測もできないと思うのである。

 かつて,大規模な水害といえば,東南アジアでの台風やモンスーンでフィリピンやインドなどで洪水が発生したり,ハリケーンによってフロリダ半島の都市が水害に襲われるという,ある意味でお決まりのパターンだった。ところが近年,ヨーロッパ各国で猛暑と大雨で街が水没するというケースが増えている。アラスカでは,氷河が急速に溶けることで水量が増し,下流の街が流されるという被害が出ている。

 またリビアでは豪雨でダムが決壊し,下流の街が一気に流されて2023/9/13時点で死者5000人,行方不明1万人と報道されている。砂漠の街でも水害に見舞われたケースで,自然災害に加えて,ダムの管理不足という人災の側面も指摘されている。

 日本の河川の堤防も,台風による一過性の雨の量を基準に作られており,現在のような線状降水帯を基準には置かれていない。しかも,建造から50年も経過しており,老朽化も進んでいる。過去基準を超える降水量を受け入れるだけの川の断面積もなければ,その水圧や流速に耐えるだけの堤防の力もない。単に土を積み上げただけの堤防では,毎年のように決壊してもおかしくない。
 東日本大震災では,被害の大半は津波によるものだった。想定外の津波によって堤防が破壊され,多くの地域が流された。その後,復興対策として街全体を10m嵩上げするという工事が進められた。また,漁業を行わない家庭は海から離れた山手の土地に移動した。

 同様に,堤防のある川の周辺の街も,少なくとも堤防と同じ高さにまで嵩上げする工事が行われることが本来は望ましい。仮に堤防を越水したとしても,堤防決壊で一気に水が街に流れ込むという事態は避けられ,人的被害も家屋の被害も軽微で済む可能性があるからである。堤防の補強工事ももちろん必要である。矢板方式の河川堤防はいいアイディア。どんどん打ち込んでみてはどうだろうか。 - jeyseni's diary (hatenablog.com)(2021/8/27)と筆者は提案している。もはや,盛土では決壊を防げず,コンクリート護岸ですら破壊される凄まじい水の力に対しては,少なくとも堤防の崩壊を防げる矢板打ち込み補強を進めるべきではないかと考えるのである。

 さらに,断熱二重窓ではないが,第二堤防の建造も考えられる。幅30cmの溝を現在の堤防の外側に連続的に掘り進め,そこにコンクリートを流し込んで行き,コンクリートの壁を作る要領である。矢板が非連続なのに対し,コンクリートで連続の壁を作る。細長い板状のコンクリート壁をあらかじめ工場で作り,現地に設置してそれぞれを固定するという方法も望ましい。いわばトンネル工事をオープンの形で護岸工事に適用するようなものである。

 地球温暖化はもはや止められないところまで来てしまったと思う。人力による抵抗がどこまで功を奏するのか分からない。高いところに移動すれば山崩れ,低いところは浸水と逃げ場がどんどん減っているが,ほぼ何の対策も取られていない他国よりは,日本は国の力で国民の安全は相当守られている。もう一歩,新しい考えで対策をひねり出してほしいと考え,今回の提案としている。