jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

風の流れ×地形×海水温で線状降水帯を予測できるのではという仮説--ノロノロ台風がもたらした線状降水帯

ゲリラ豪雨」という言葉は,調べてみると1969年に新聞で初出しているようである。2008年には新語・流行語大賞にノミネートされている。筆者にとっては,屋外の仕事をしていた2015年辺りがまさに直撃された現象である。空が一転して暗くなり,あっと言う間に土砂降りの雨が降って周囲の道路が川のように水が流れる。それでも20分も続くわけでななく,雨が上がったあとは道路周辺の瓦礫以外は何もなかったようになる。

 2023/8/9に台風6号が沖縄から九州にかけて引き続き大きな被害をもたらしている。通常は,暴風雨圏内に入ると風雨が強まり,暴風雨圏を抜けると落ち着くので,台風の進路そのものが問題になるのだが,今回は暴風雨圏の外側になった宮崎県や大分県で線状降水帯が発生し,数時間にわたる大雨の被害が出ている。さらに台風から遠く外れている四国や東海,関東でも台風の影響を受けて積乱雲が発達し,ゲリラ豪雨のような20分ぐらいの大雨が各地でバラバラと起きる現象が発生している。

 線状降水帯の予測については,雨雲レーダーの濃度情報をメッシュごとに加算すれば,洪水予測ができるのでは(個人的な仮説です) - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/7/5 のブログで1つの予測方法を提案した。素人では画像解析がなかなか困難で,1枚の画像を数値化してデータベースに取り込むにも時間がかかる。トライアルは続けているが,まだすっきりした方法として結果が出ていない。

 さて,屋外仕事をしていた2015年にぶつかったゲリラ豪雨だが,そのときは天気関係のスマホアプリをいろいろと試していた。ウェザーニュースの「空の写真」投稿にも参加した。中でも興味深かったのは,風の動きを可視化するアプリだった。

 NHKが天気番組で風の動きの可視化を紹介するサイトが

earth.nullschool.net

だという。世界中の風の動きがこのサイトで見ることができる。風向と風速のデータをうまく利用して残像の表現で風の流れが見える。これまでの天気予報だと,風向計の矢羽根の向きがその場でときどき変わるような断続的な表現しか見たことがなかったので,この風の可視化技術はすごいと,当時思ったものである。スーパーコンピュータが使われているのだろうと予測する。

 2023/8/10 5:30現在の九州地方の画像をチェックしてみると,以下のようになる。

2023/8/10の台風6号による風の流れ

 線状降水帯は,この風の流れに沿って形成されていることが分かる。台風の場合,もともと海上の多くの湿気を引き込んでおり,これが九州や四国の地形とぶつかることで,大量の降雨が発生することが予想できる。

 そこで,タイトルに示したように,風の流れ×地形×海水温で線状降水帯を予測できるのではないか,というのが,今回の仮説である。発生予測だけでなく,リアルタイムに降雨の継続予測もでき,予報を出せるのではないかと素人的に考えたのである。

 関東地方で昨日からところどころで発生している積乱雲も,秩父の山裾だったり,八王子の山裾だったりと,だいたいの発生場所は決まっている。要は,基本的に山という地形に対しての空気の動きが上昇気流を作り,そこの水分量や上空との温度差によって雨雲が発生するかどうかが決まるからである。

 100個の発生予測のうち,1個の発生でも予測が当たれば,そこをさらに追求して条件を加えていけばいい。

 河川氾濫のハザードマップ同様,地形(土地の高低の形)がまずベースとして細かい情報がある。そこに,河川であれば堤防決壊の可能性パターンを条件として与え,何百もシミュレーションをすべきだろう。ちなみに,河川の堤防決壊で津波に近い大災害になるのは目に見えている。堤防の点検と修復メンテナンスを怠ってきた結果であり,ほぼ人災だと言えるだろう。

 線状降水帯の予測も,ほぼ当たらない可能性が高い。ただ,ピンポイントで予報を出すのではなく,たとえば今回の九州や四国で「どこで起こってもおかしくない」といった曖昧な言い方ではなく,「台風の風の流れに沿って霧島山系の広い地域に海上の湿った空気が連続してぶつかることで線状降水帯が発生する可能性がある」と具体的に言えば,住民も具体的な避難対応ができるのではないか,と考えたのである。

 台風6号が,時速15kmという自転車並みの遅いスピードでしか移動しなかったために,同じ地域に長時間の風の流れが居座り,線状降水帯になった。台風では極めて稀なケースといえる。それも含めて,伝えてもらうのがいいと考える。

 ちなみに,現在関東を狙っている台風7号も,速度は15kmと遅い。日本に近づくにつれて速度は上がり,いわゆる台風的な風雨となると思っているのだが,たとえば東海沖で足踏みをした場合は,関東北部の茨城県などで東の風となり,線状降水帯が発生する可能性を否定できない。ただ,関東は比較的,線状降水帯が起きにくい地形にはなっているような気がする。