jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

習近平がまともな世界路線を出すか,日本産業界が水素エネルギー,食糧工場で世界路線を出すか--このいずれかしか世界を救う手はない

指導者が変わらない怖さと変わる怖さ - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/1/26に書いたブログである。すでにロシアによるウクライナ侵攻に向けて緊張が高まっており,このあと2/24に戦闘が始まった。

 ロシアに対抗するために欧米はNATOを組織した。自由主義社会と権威主義社会の対立は結局なくなることはなく,この対立がエスカレートしないようにお互いが抑止力としての武力を備えた。その対立の構図だったアメリカとロシアは,いちおう核兵器削減交渉を進め,核兵器の数を減らしてきた。これで戦争という方法での対立はなくなるはずだった。

 そのうち,多くの権威主義国家が核兵器を自前で作り,所持し,発射実験を繰り返すようになった。自由主義国家は「核拡散防止条約」を盾に話し合いをしようとするが,権威主義国家側は話し合いの席にはつかず,勝手に軍備を増強し続けた。

 北朝鮮が,毎日のようにミサイルやICBMを発射し,2022に入って26回を数えている。やりたい放題である。「断固抗議する」「引き続き情報収集する」と言葉をいくら重ねても,権威主義国家の行動を止めることはできない。

 ロシアのウクライナ侵攻に対して,日本は欧米やNATOに同調してロシアに経済制裁を加えた。これにより,長年にわたって微妙ながらも交渉の場が用意されていた日ロ関係も,一気に話し合う余地がなくなった。ロシアはエネルギーや小麦粉の輸出を止め,欧米に対して打撃を与え続けているが,自由主義諸国側はもはや打つ手がない。国連という場も,結局自由主義国家と権威主義国家が同じ席についたとしても,話し合いで解決することはなく,中国とロシアが拒否権を行使すれば何も決まらなくなるのは当たり前である。自由主義の論理は権威主義には通用しないからである。

 ソビエト崩壊で,世界は戦いのない平和が訪れることが期待された。しかし,それは幻だったのだろうか。

 いまや,自由主義国家の人口が世界の3割,権威主義国家の人口が7割だとする報告がある。自由主義,民主主義が理想とされたのはもう過去のことになりつつあるとも言われている。

 正直,アメリカも半分は権威主義に向かっている。そして,2001年9月11日のテロ事件以後,世界の平和を維持するのはアメリカだ,という考えを捨てて,自国をいかに守るかに軸足が移ってきている。日米安保条約があるから,他国が日本を攻めてもアメリカが守ってくれる,といまだに思っている日本が,いかに時代錯誤か分かる。ロシアが実際に戦争を仕掛けてしまったウクライナでも,アメリカは手を出すことができないし,台湾も守ることはできないことはすでに証明されてしまった。今や,アメリカにとってほとんど利害関係のない日本をなぜ守らなければならないのか,という思いはあるだろう。

 もちろん,権威主義国家の国民は,一種の恐怖政治の下で支配され,搾取されており,体制に反対すれば拘束される。メディアも制限され,国営放送しか情報源がないような状況に置かれているが,それをガマンすれば一通りの生活は送れるようになっている。支配階級が富を搾取していることに目をつぶれば,生活は比較的安泰だからである。中国やロシアを中心に,資源エネルギーの豊富な国であり,外貨も稼げるので,中露に従おうという小国も多い。自由主義国家の数が減っているのも事実である。

 結局,日本を含む自由主義国家が,モノづくりという付加価値を加えるという産業を捨てたことが,自由主義国家の弱体化を招いた最大の理由である。というのも,モノづくりには汗まみれ,油まみれになって,根気よく仕事をすることが求められるのだが,経済原理という名の下に,その作業を安い賃金の海外に任せ,ライセンスと売り上げだけを搾取しようとした自由主義国家のエゴがあった。主要な輸出産物がなくなり,外貨を稼げなくなり,あとは観光に夢を託すという情けない状況になった日本がそこにある。逆に,あれほど技術ドロボウと言われてきた中国が,モノづくりの技術を身につけ,世界の工場として付加価値の高い製品すら世界に発信している。原材料資源も,エネルギー資源も,食糧資源もあり,これに製品も加わって,世界中から外貨を稼げる体制ができてしまっている。

 権威主義国家のもう1つの大きな産業が軍事産業である。核開発も含めて,これを国家の主要産業として位置づけているので,とにかく進化が激しい。中国の空母の数は,いまやアメリカを追い越しているという。もちろん,軍隊のための徴兵制度も,権威主義国家なら法律で義務化されている。自由主義国家が,志願制になっているのと全く異なる。精鋭部隊は,国のエリートとして位置づけられている。災害復旧やイベントで活躍している自衛隊とはまったく位置づけも異なるし,士気も雲泥の差である。

 2020年の新型コロナウイルスでは,ロシアや中国で開発されたワクチンがいかにも効かないような報道がされていたが,中国はとにかく徹底的なロックダウンで感染の拡大を封じ込めるのに成功したし,ロシアも国産ワクチンで押さえ込んだと見られる。アメリカのファイザーとドイツのビオンテック,そしてアメリカのアストラゼネカが開発したmRNAワクチンという画期的なワクチンで自由主義国家は感染拡大の危機をようやく終結できそうな状況になっているが,権威主義国家がこのワクチン戦略で自由主義国家群に屈することもなかった。これも,自由主義側からすると誤算だったと思われる。

 第二次世界大戦の後で国連が設立され,地球全体のことを考えて,「先進国」が「発展途上国」をサポートする,という慈悲深い体制ができたと思っていたのだが,結局,先進国は自分のいいように世界を動かして発展途上国から搾取するという構図になり,ここでも対立が起きた。地球温暖化問題,食糧問題,人口爆発問題など,地球全体で取り組む必要のある案件が続出しているにも関わらず,世界の協力体制は一向に取れない。

 平和の象徴としての日本の上皇上皇后も今や一線から退いて表舞台には出て来られない。現在の令和天皇,皇后にはまったくカリスマ性を感じない。世界の母でもあったイギリスのエリザベス女王も亡くなり,イギリスですら進路を失っている。ローマ法王ですら,打つ手がない。権威主義国家の暴走を止められる人物が誰もいなくなっている。

 今,世界をある程度正しい方向に導く力があるとすると,中国の習近平主席だけと思われる。彼が,軍事に頼ることなく,自己保身に回ることなく,自国の持つエネルギー,資源,生産力を世界に惜しみなく供給する方法を取ってくれるなら,戦争も貧困も飢えもなくなるんじゃないか,という期待がある。ただ,香港併合,台湾併合を捨てられない場合は,厄介なことになる。ぜひ,ここは寛大な気持ちになってもらい,世界をもう一度立て直してもらえないものだろうか。ノーベル平和賞には値すると思う。

 あとは,世界で最も優しい日本が,水素を中心とした独自のエネルギー技術と,陸上養殖や植物工場を中心とした安定的な食糧生産技術を世界に発信することで,リーダーはいないが「世界のリーダー国」として再度先頭に立てるような政治家がほしい。豊田章男がリーダーになってもいいではないか。あるいは岩谷産業でもいいではないか。川崎重工でもいいではないか。影の薄くなった日本を,もう一度世界に認識してもらうための行動を取ってほしい。ノーベル賞を誰が取るかなど,いまや関係ない。