jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

日本は世界にとってもはや必要とされない国になった--今,日本が消えて困る人がいない

今回のG7広島サミットで,日本は会合の「場」を提供した。そこには,「核兵器廃絶」「戦争反対」をG7首脳に伝えるためのメニューはそろっていた。実際,全首脳による献花,原爆記念館の見学,被爆者との面会など,これまでアメリカのオバマ前大統領しかできなかった大舞台が展開された。西側諸国が,この2つのテーマについて「一致団結した」ことを世界にアピールした。
 そこに飛び入りでウクライナのゼレンスキー大統領が最終日に合流した。本来なら,サミット終了に併せて共同宣言が発表されるはずが,ゼレンスキー大統領の参加の前に大急ぎで取りまとめて発表された。形式上は,サミット宣言にウクライナの関与がないようにした形だが,いかにも慌ただしかった。
 これまで,ロシアと欧米の中間にいて,欧米から武器を含めた援助を受けるという形を維持してきたウクライナだが,個別の各国訪問ならともかく,G7サミットの場に入ったことにより,完全に西側に入った形になった。
 これが何を意味するかというと,西側vsロシアという対立構造を対話で維持してきた歴史が崩れ,直接的な武力行使の可能性が持ち込まれたということであり,再び東西の戦争の危機が訪れたということに他ならない。
 そしてG7広島サミットというお膳立てをした形となった日本が,その渦の中に引きずり込まれたということである。
 ゼレンスキー大統領が参加したことで,アメリカ,欧州とロシアの対立の構図が明確になった。アメリカは,核の抑止力は必要と明言した。原爆被爆地である広島での開催は,単にシンボルで終わるだけでなく,新たな火種となってしまった。
 おまけに,ゼレンスキー大統領と会談予定だったグローバル・サウスの一員であるブラジルのルラ大統領は,会談場所にゼレンスキー大統領が現れなかったことに感情を害された。ゼレンスキー大統領の出国のタイミングと合わないために会談がキャンセルされた形だが,それはいかがなものだろうか。ブラジルはロシアからエネルギー供給を受けている関係であり,この会談をキャンセルすることはブラジルがますますロシア寄りになることを意味する。せっかくのG7での日本のグローバル・サウス戦略に水を挿した形になった。
 さらに,G7サミット宣言で中国が名指しされたことで,欧米と中国の対立も決定的になりそうである。また,日本と中国の対立も同様に厳しくなった。
 さて,もしロシアと欧米の間で戦争が起きる事態となった場合,ロシアがまず戦線布告としておこなうと予測されるのが,日本への核爆弾投下である。日本に反撃能力がないからである。
 ではこの事態が起きたときに,欧米諸国がロシアに反撃するかといえば,おそらく反撃しないと考えられる。アメリカすら,反撃はしない。つまり,日本に落ちた1発だけで,再び和解交渉が始められるからである。
 戦後の経済復興で,それまでの欧米のモノづくりに対して日本のモノづくりの合理性が上回り,高い性能の高い品質の製品が安く提供されるようになり,日本は「世界の工場」として工業製品を世界中に供給し,世界中から必要とされた。

 しかし日本が得意とした工業製品は,ほぼすべてが韓国,台湾,中国,そして東南アジア,インドに生産拠点が移っただけでなく,開発も各国が先行するようになった。今,日本は世界から必要とされない国に成り下がったのである。

 今,日本が消滅したとして,だれも困らない。エネルギーは,中国やロシア,カナダ,オーストラリア,そして中東から買えばいい。食糧は,やはり中国やロシア,アメリカなどから買えばいい。工業製品は中国から,電気自動車もそのバッテリーも中国が供給源である。半導体アメリカ,中国が,コンピュータは台湾や中国が,そしてスマホアメリカ,中国,台湾,韓国が供給する。大衆車やハイブリッド車は日本で作っているが,時代はEV車にシフトしようとしている。航空機もロケットも日本で作ったものは高コストでありながら信頼性の低さを露呈し続けている。植物由来の軽油代替燃料であるSAFが,高コストではあるが航空機で採用される流れになってきている。もし,日本で国産SAFが製造できなければ,給油してもらえないことを理由に日本との航空便がなくなってしまう恐れも指摘されている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界を恐怖に陥れた2020年から丸3年間,ワクチン開発で先行したのは欧州(ドイツ)とアメリカで,世界の多くの国で接種され,多くの命を救ってきた。しかし,ロシアや中国でもワクチンが開発された。効果や普及度は高くなかったが,とにかく開発して他国にも供給された。しかし,日本では結局,ワクチン開発は成功しなかった。飲み薬の治療薬がようやく開発されたものの,致死率の高いデルタ株の流行期には間に合わず,アメリカで開発された点滴による抗体カクテル療法が唯一の治療法だった。インフルエンザの特効薬は日本が開発できたが,COVID-19の特効薬は開発できていない。結局,軽症で済むオミクロン株になって,集団免疫が働くようになり,パンデミックは収まったが,いまだに流行は続いている。

 世界共通語である英語が,日本人はいまだにほとんど話すことができない。留学して勉強する人も減っている。日本発の国際特許も減り,日本人研究者の論文の引用件数も激減している。

 日本が仮に消滅したとしても,だれも困らない。日本文学や日本文化,日本の歴史は研究の価値があるが,現在の日本には研究する価値は何もないと言っていいだろう。いまだに女性差別や弱者虐待,聖職と言われる教員や法律関係者,宗教家による犯罪,そして政治腐敗も蔓延している。一般の日本人も,ルールやエチケットが守れず,正義感もなく,自分の国を守るために戦う気持ちすらない。

 筆者のような一時代前の人間は,日本の発展を願って,自分の欲望を抑制してでも仕事に取り組み,家庭を築き,そして人口を維持するための子孫づくりを実践してきた。しかし,現在の日本人にとって,日本という国を発展維持しようという気心を持った人はほとんど見られない。世界に貢献しない地方再生事業やエンタテインメント,そして個人資産を作るだけのマネーゲームにしか関心がない。

 以前,災害用シェルターが必要になるのではないかと書いた(庭や駐車スペースの地下にシェルターユニットを埋め込むアイディア - jeyseni's diary 2022/5/28)。その後,防衛予算の1000分の1で,国民全体に核シェルターを作れるのではないかと書いた(自衛隊の能力は大丈夫なのか--宮古島ヘリ遭難の調査に時間が掛かり過ぎないか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/4/13)。しかし,これではもう間に合わない。民間で国産の核シェルターを作る会社が,すでに数十件の核シェルターを納入しているらしいが,広島に投下された原爆レベルでも直撃されたらひとたまりもないだろう。

 今できることは,生き延びたいのなら日本人であることを捨てて,欧米側か中露側につくことかもしれない。さもなければ,ゆでガエル状態のまま,一瞬で訪れる死を受け入れるしかないのかもしれない。アジア大陸の端の小さな島が消えても,世界は何も変わらないからである。

 早く,日本が世界に必要とされる国にもう一度戻るために,水素燃料,陸上養殖,植物工場を世界に発信しなければならない。大谷翔平の動向を追っかけるなど,エンタテインメントだけでは,一瞬の間に消滅する国になってしまうと危惧する。