COP27に合わせて、環境団体が設けている「化石賞」に、3年連続して日本が選ばれた 「化石賞」に日本 環境NGOが発表 “気候変動対策に消極的” | NHK | COP 2022/11/10。第27回気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties)という国連(国際連合)の条約締結国の会議である。
ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻という暴挙により,米ソ冷戦終結後の国連を中心とした人類一丸の問題解決の枠組みは,「絵に描いた餅」だったことが明らかになった。
当時のアメリカとソビエト連邦共和国が,コンピュータ開発,宇宙開発,そして核開発により,軍事的な技術開発競争をすることで,それぞれの技術は飛躍的に進化し,世界はその恩恵を受けることができた。インターネットは元々はアメリカによる軍事ネットワーク技術だし,コンピュータ技術はロケットを正確に飛ばすために開発されたが,同時にICBM制御などの軍事技術でもあった。そして軍事観測衛星のための高解像度デジタルカメラ技術は一般用のデジカメにも適用され,同じくGPS技術はクルマのナビゲーションへと民間展開された。核開発も,本来なら原子力発電というクリーンなエネルギー源となるはずだったものが,核爆弾,核兵器などへ進展していった。
冷戦後の平和な時代になり,戦後の日本の急速な経済発展が,発展途上国のモデルケースとして讃えられたが,カネの使い方を知らなかった日本は,持ち前のケチケチ作戦にとどまり,ほぼすべての製造業の立場を韓国,台湾,中国,インドに奪われた。
現在の日本は,世界に対して正直,何のメッセージも発信できていない。政治,経済,環境,技術,モノづくり,そのすべてに,何のメッセージも発していない。海外から見ると,日本は「レイム・ダック(lame duck:死に体)」に見えるのである。
ウクライナ侵攻に対して,後方支援する姿勢は表明しても,武器も人員も出すことはできない。新型コロナウイルス禍でも,ワクチンや特効薬を開発できない。環境問題に至っては,いまだに石炭火力発電に援助したばかりか,せっかくの原子力発電でメルトダウン,地震危機での全停止,そして汚染処理水放出問題などで大失敗をしている。ロケットの打ち上げ失敗も,日本の技術力の低下を表している。金融緩和の続行による円安も,日銀が円の力を過信しているのではないか。今,日本の円に価値を認めている人はいないのではないか。仮想通貨という,これまでの国際的な金融の枠組みでは制御できない仕組みが横行しているが,日本は何の手出しもできない。正直,これはかつてのマフィアや現在の反社会的組織によるアングラマネーと同じである。
モノづくりを通じて,世界の文化的・教育的な豊かさのレベルを上げることが,戦後の日本の世界貢献だった。その理想像が見事に崩れていったのを,世界中が見て失望している。速い経済成長が,自由主義国家で失敗したことで,社会主義・権威主義での強いリーダーシップに偏らざるを得なくなっているという恐ろしい時代が現実となっている。経済という力ではなく,武力,権力という力が評価され,世界の秩序という言葉が虚しくなっている。
正直,この力の誇示という動きは,アルカイダやIS(イスラミック・ステート)のような非国家テロ集団だけの一時的なゲリラ行動だと思っていた。しかし,あっと言う間に北朝鮮が強大な軍事力に集中投資し,世界4位のミサイル保有国にのし上がってしまった。一方で,世界の警察であったはずのアメリカが,アフガン撤退を含めて自国中心主義に戻ってしまい,これにトランプ前大統領が火に油を注いだ。もはや,アメリカが世界の抑止力にはならなくなった。というのも,アメリカの6倍もの人口を持つ中国が,権威主義国家として,経済,モノづくり,そして軍事面で圧倒的な力を付けてしまったからである。同じ権威主義国家として,ロシアや北朝鮮とも連携をとってしまえば,もはやアメリカやヨーロッパNATOグループでは太刀打ちができない。
化石賞は,「何もしていない日本」という烙印を押した形である。たしかにそうだと納得してしまう自分が情けない。正直,日本は手も足も出せない状態なのである。この日本に今,北朝鮮のミサイルが1発着弾したとしても,ただ大騒ぎするだけで,世界中は痛くも痒くもないし,誰も味方してくれない。おそらくアメリカや韓国ですら,「厳重に抗議する」と言うだけでおしまいなのではないか。
これも何度も書いているが,今日本がすべきことは,水素発電と陸上養殖・植物工場・微細藻類工場の技術を国内で真剣に広げ,エネルギーおよび食糧問題に対するソリューションを世界に発信するために最大限の投資をすべき最後のチャンスだと思うのである。
最先端半導体技術をすべて海外に頼っている状況から,トヨタ,NTTを含めた新会社で再生を図る動きが出た トヨタ・ソニーなど国内8社出資 先端半導体の国産化へ新会社 | NHK | IT・ネット 2022/11/10。トヨタが出資するのなら期待できるかな,と思う半面,正直言えば台湾のTSMCの毎年の投資額のおそらく1/100程度にとどまり,トヨタ向けの自動車用半導体程度が賄える程度の規模に終わってしまい,しかも次の世代に継承されることなく,崩壊してしまうのではないかと懸念している。結局「今度は台湾や韓国の後追いを日本がする」という不名誉なレッテルを貼られるだけではないか。
それよりも,日本オリジナル技術である水素,食糧の工場生産という尖った分野で世界にアピールすることが,「何もしない国に与えられる化石賞」という不名誉なレッテルをはがすことにつながると思うのである。
日本の政治も,韓国の1宗教団体の献金で言いなりになっていたこと,本当の実力で政界で仕事をしているわけではないこと,自分の職務に責任を持てないことなど,あきれてしまうことばかり連日起きている。コミック,アニメ,ゲーム,そしてマネーなど,現実を見ない日本人も増えている。もう一度,新しいモノづくりに挑戦し,大きな夢を見ようとする意欲がほしい。