ウクライナへのロシアからの砲撃の中に,イラン製と思われる自爆攻撃型ドローンが使用されているという報道がある。三角翼が付いた飛行機型で,プロペラで駆動される。航続距離は2000mと言われている。ビデオで見ると,複数台搭載した専用のランチャーから銃弾のように打ち出されて高速で離陸する。その後は,GPSで標的に向かって自律飛行し,自ら目標に突っ込んで爆破させる。上空で待機旋回してから突っ込むというパターンもあるようである。
これはもはや巡航ミサイルである。いや,目標上空で狙いを再度定めることができるとなれば,より精密ということもできる。わずかここ2年ぐらいの間に実用化したようだ。
日本で普通に使われるようになった,プロペラ4基を平面的に四角に配したドローンは,比較的ゆっくりと安定的に飛ぶことを目的としているが,飛行機型のドローンは航続距離や高度を優先して遠く高く飛ばすために作られている。監視用のほか,攻撃用にも使われるという新たな兵器である。翼がある分,長距離を安定して飛行でき,ロケット燃料で飛ぶ通常のミサイルよりも安価に製造できるメリットがあるようである。
4基プロペラの小型ドローンが集団で街中に現れて,家の中まで侵入して敵を殺傷する,という場面は映画でも登場しているが,実際にも使われているようである。恐ろしい時代になったものだ。
筆者は最初からドローン反対派である。別に爆弾を積んでいなくても、バッテリー残量が無くなれば自然落下する。ビルの高さから落ちて来ても、人に当たれば致命傷である。そんなものが自由に空を飛んでいては、安心して歩くことができない。飛行経路を制限したとしても、操縦は人間が行うし、仮に自動飛行モードでも風に流されれば不安定になる。山の中や離島ならいいが、街中は絶対に反対なのである。
イラン製自爆ドローンは、不名誉なことに「Kamikaze」と呼ばれているらしい。日本が第二次世界大戦で取った特攻隊作戦の愛称が、悪意で使われている。歴史はまだ終わっていない。自爆ドローンを兵器として使った段階で、これは通常兵器の域を越えているし、使い方として望ましくない点は、日本も指摘すべきだし、まして言葉の悪用のに対しては厳重に抗議すべきだろう。
【追記】ドローンの“悪用”として,麻薬の移送に使ったり,刑務所にタバコや武器を届けたりする例が紹介されていた。ニーズに技術が応えているという,ある意味でもっともな流れを示している。
“監視”を逆手にとらえると“盗撮”にも使えるということである。別にドローンに限らず,監視カメラもスマホ・カメラも,悪用すれば何でも使える。人間は本当に厄介である。