イヌの散歩をするときには、リード(綱)を付けるのが常識である。周囲の人に飛び付いたりしないようにするとともに、くるまにひかれないように、引き戻したりする。イヌ本人にとっても安全ベルトになる。
空中に飛び出したドローンは、リードのない狂犬である。コントローラーでは制御しきれない状況になりえる。バランスを崩したり、バッテリーが無くなった時などである。
こうなると、ドローンはまったくコントロールできず、一直線に墜落する。その先に何があるのかは運次第である。
以前、この緊急事態に対して2つの提案をした。1つは異常事態になると自動的に風船が飛び出して、ゆっくり降下させたり、着地時の衝撃を和らげる。また、下半分にバルーンを膨らませることで、 人に当たってもケガの可能性を少しでも減らす。
あるいは、クルマのエアバッグのように、着地時に爆発的に膨らませて、着地時の破壊を防ぐ工夫もあるだろう。
これに加えて今回 提案は、ドローンにイヌのようにリードを付けることである。仕組みは、釣りのオートリールとほぼ同じである。
飛行になるべく影響を与えないために、釣用のナイロンテグスをドローン本体に繋ぐ。飛行につれてテグスを自動的に繰り出し,飛行に支障が最小限になるようにする。
トラブル時には、リールを落下スピードよりも速く巻き取り、操縦者の近辺まで引き戻すことで,他人への被害を食い止める。引き戻したドローンを壊さないようにする工夫は必要である。あらかじめ、着地地点に巨大なバルーンを膨らませておくのが現実的だと思われる。
ヒモ付きなので、300mぐらいの飛行距離しか許されないが、逆にそれぐらいで制限するほうがいいのではないか。自由な飛ばされては、危険極まりない。
リード付きドローンのもう1つのメリットは、パイロットによるコントロールが難しい状況になった時に、強制的に引き戻せることである。これにより、ドローンが行方不明になる確率が低くなる。
ただし、いずれの使い方でも,ドローンの引き戻し時は人間がコントロールできない速さで巻き取らなければならない。ここは釣用の電動リールでは遅すぎる。強力なモーターとテグスの張力の最適制御が必要である。
さらに,ドローンにパラシュートも内蔵しておけば,テグスで引き戻す際にパラシュートも開くことで,ゆっくり落ち着いて引き戻しができ,かつ回収時に軟着陸させられるので,ドローンの破損が防げる可能性が高い。
こうしてまとめてみると,「糸の付いた電動凧(たこ)」にすればいいのではないか,ということになる。ならば,電力供給もバッテリーから電線入りテグスにすれば,軽量化,長時間飛行,そして制御性の向上が期待できる。飛び立つときだけはプロペラを回し,空中では風を受けてパラシュートで飛行すれば,音も静かである。
水中ドローンは,主にこのように有線で電力供給をしている。不測の事態があったときに引き上げることが容易だからである。同じように空中ドローンも,紐付き,電力供給付きで,不安定時に引き戻す,といった形の方が望ましいと思われる。