jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

スペインの盲導犬ロボットが秀逸--日本のロボットのセンスのなさに愕然とする

スペインで盲導犬ロボットが開発されたというニュースをNHKで見たと思うのだが,検索しても出てこない。通常の動画サイトを引用するのは嫌いなのだが,次の映像を見ていただきたい。

www.nicovideo.jp

 4足で器用に歩行するイヌ型ロボットである。視覚センサーとAIによって障害物を認識し,安全に人を誘導するようだ。

 イヌ型4足歩行ロボットやヒト型2足歩行ロボットといえば,アメリカのBoston Dynamics社のロボットがまず思い浮かぶ。CGで作り出したかのような滑らかな動きで,本当に生き物のような動きをする。

 スペインの盲導犬ロボットも,このBoston Dynamics社のイヌ型ロボットに近い,非常に滑らかな動作を実現している。脚の形も,本物のイヌのように見える。

 イヌ型ロボットと言えば,ソニーが開発したAIBOを思い出す。しかし,ただくねくねとするだけで,愛玩用以上の機能は期待できない代物だった。またヒト型ロボット(ヒューマノイド)では本田技研の「ASIMO」を思い出す。しかし,宇宙服を着たような印象で,スムーズな動きとまではいかなかった。

 Boston Dynamics社の人型,イヌ型ロボットを最初に見たときは,正直驚愕した。最初にデザインありき,と思えたからである。いかに自然にイヌやヒトの動きを再現するかをまず素直にイヌやヒトの体型から作り,その線に沿って必要な要素を開発していったのではないか。日本のロボット開発が「まず重心を安定させ」「平なところをまず歩かせ」という具合に安全側から設計を始め,坂道や階段などの難しい局面でうまく行かなかったらそれに適用できるように改良をしていく,という姿勢とは,まったく逆のように見える。しかも,必要な技術や人材を惜しみなく投入して目標を達成するという姿勢が,日本企業とはまったく異なる。日本だと,最小限の出費しか得られないからである。

 アメリカのロボット企業は軍事産業である。したがって予算は膨大にある。できあがったロボットは,ロボット兵士として戦場に送り込む武器である。したがって,山道を走り,障害物を越え,人智を超えたスピードで動くロボットが開発できる。

 一方,スペインもおそらく軍事用途を目指しているが,そこを盲導犬というアプリケーションでプレゼンしたのは見事である。

 日本でも盲導犬ロボットの開発は以前から進められていたが,すべてが車輪で動くタイプである。平面を移動することはできるが,段差があったりすると対応できない。まして階段の上り下りもできない。空港のような広い場所での誘導には使えるかもしれないが,実際の道ではまったく使用できない。

 そもそも,ヒトやイヌに近い動きをさせようという発想が,日本のロボット企業にまったくなかったのが残念でたまらない。スウェーデンでは,巨大なウマ型ロボットが開発されている。これも雪の山で重い資材を運ぶという軍事目的だが,本当にウマのような力強い動きをする。

 産業用ロボットでは日本がリードしたが,ヒト型,イヌ型などのロボットではまったく手足も出ない。今からBoston Dynamicsに追いつける企業はないだろう。そしてスペインの企業のような用途提案もできないだろう。

 日本人にとって,ヒトやイヌ,ウマなどの生き物をそっくり真似て動作するロボットが「感覚的に合わない」という変なセンスがあるからではないか。そして,ロボットが「極限状態」で活躍するという場面を想定できないからではないか。福島第1原発事故の探査ロボットがまったくオモチャのようなものしか作れないのも,そのためではないのか。もっと,ガンダムウルトラマンのようなスーパーロボットを開発すべきではないのか。