jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「確証バイアス」を考える--「これだけは絶対にしない」という一線にバイアスをかけないための基準・規範が求められる

思い込みを持っていると、ほかにどのような情報があっても最初の考えを支持する情報ばかりが目に付く。これを「認知バイアス」という。その1つに「確証バイアス」というのがあり,自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める傾向性のことを言う。

 これはあるサイトに書かれていた「確証バイアス」の定義である。心理学の用語だという。

 ううむ,何だか心理学で言われると,すべて悪いことのように聞こえるのは,偏見だろうか。心の中を見透かされた気がして,気持ちのいいものではないのだが。

 筆者で言えば,新型コロナウイルスの第8波の感染者数減少は,登録が任意となったことによる減少で,実際は隠れ感染者は数字の数倍ある,という医療関係者の見方の方を支持している。グラフで傾向を示していても,死者数が減っていないことを考えるとやはり信じられない,と判断しているのである。逆に,感染者数が減っているのに,死者数が減っていないということは,重症化リスク,死亡リスクが高まっている,という具合に読める,と考える。これは確証バイアスである,と言われればそうだと肯定するしかない。

 筆者がジャーナリストとして仕事をする中で,Single Opinionで記事を書くな,とよく言われた。1人のコメントは正しくない可能性が高いから,必ず反対意見も調べ,双方を理解した上で,方向性を決める。その際も,双方の意見を必ず紹介すること,読者に考える余地を与える必要がある,と言われ,実行している。実際,あるテーマで取材をしていて,最後の1社の話でストーリーがまったくひっくり返り,一から書き直したこともある。ストーリーを作る上で確信は必要だが,バイアスがあってはならないし,常にフラットであるべきだと思っている。

 商売がら,興味深い話にはまずすぐに飛びつくが,一方的に信じることはないという自信がある。某テレビ局の編集委員の暴言は,同じメディア人としては恥ずかしい。しかし,一般の方は情報に左右されることがあるだろうと想像する。チェーンメールも,「これはいいことだ」と思い込むことで,行動を抑制することがなく拡散されるし,デマもどんどん拡散されるのだと思う。

 オレオレ詐欺については,残念ながら筆者も引っかからないという自信はない。特に官憲(警察,税務署,銀行,役所)は苦手だからである。これに弁護士なども加わってくるとなると,もうパニックになってしまう。

 心理学では「ヒューリスティックス(heuristics:発見的手法)」がこうした詐欺に引っかかる状況を説明しているようである。経験則や先入観から答えを導こうとする思考法だという。最初に挙げた「確証バイアス」もその1つだという。

 この辺り,キーワードを検索してみると,実にさまざまな解説文に出会う。心理学者によるものもあれば,コンサルタントによるもの,勉強法の指導者によるものなど,キリがない。

 これだけ理論的にも確立され,論理展開がされているにも関わらず,それを逆手に取った詐欺や心理操作,マインドコントロールがまかり通るのは,人間の心の弱さということなのだろう。紛争当事者であるロシア国民も,新型コロナウイルスの強制隔離をされた中国国民も,政治的に北朝鮮と深いつながりのある韓国の国民も,確証はないが知らないうちに思い込まされている,という面があるようである。

 戦後のぬるま湯に浸かった日本人が,簡単に犯罪を犯したり,詐欺に引っかかったりするのは,もちろん経済の破綻による生活苦から来ているわけだが,かつての「武士は食わねど高楊枝」的なストイックさがあってもいいのではないか。「これだけは絶対にしない」という基準を決め,そこにはバイアスをかけないことを決意すれば,誤った方向に足を踏み出す手前で思いとどまれるのではないのか。

 本来なら,宗教家や教師といった「指導者」「先生」が見本を示すべきところなのだが,どうしてこれほど人類は堕落してしまったのだろうか。先生は本当に「ただ先に生まれてきた人」という意味だけなのだろうか。