jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

航空機への夢--こちらも「水素燃料ジェットエンジン」を成功させることが日本を救う

航空宇宙産業は,筆者の時代には夢の産業だった。空への憧れはレオナルド・ダ・ビンチの時代からあるわけで,人間の本性なのだと思う。琵琶湖で毎年行われている鳥人間コンテストも,チャレンジングでワクワクする。当初はスタート直後にヤグラから真っ逆さまに落ちる機体が多かったが,そのうち琵琶湖の対岸まで到達するチームも出てきた。

 大学のチームも多い。在学中にモノづくりに熱中し,1つのことに集中するという経験は,社会に出ても必ず生かされると思うので否定はしないが,ロボコンなどのコンテストも含めてやや行き過ぎの感がある。日本にその受け皿がなくなりつつあるからである。

 現在進行中のNHK朝ドラ「舞い上がれ」でも,主人公が大学時代に出会った手作り飛行機づくりから航空機パイロット,そして親の夢であった航空機部品の生産というストーリー展開が進んでいる。物語がどのように展開していくかには,筆者としては少し関心がある。

 残念ながら,日本に航空宇宙産業は育っていない。1つは,第二次世界大戦で航空機技術者が開発したゼロ戦があまりにも優秀だったため,敗戦後に航空機産業が解体されたからだと言われている。航空機技術者はその後,新幹線の開発に腕を振るったことは有名である。

 大手で航空宇宙産業を進めているのは,三菱重工業のロケット産業が唯一残っているだけである。しかし,平和利用の人工衛星の打ち上げにしか使わないため,技術が向上しない。正直言えば,ロケット産業は軍事産業とニヤリーイコールである。ミサイル開発や軍事衛星の打ち上げなども含めて,各国が多くの経験を積んで進歩してきた中で,高コストな日本のロケットでありながら成功率をアピールすることができず,衛星打ち上げの受注が伸びない。最南端の種子島発射場でも打ち上げには不利な位置にあることも影響していると思われる。

 日本の中小企業の製品が,スペースシャトルで採用されたり,ロケットの先端部に使われたりして話題になったことがある。朝ドラの中でも航空機部品としてのネジつくりに中小企業連合で向かう姿が出てくる。30年前には実際にそのような時代だったのだが,現在の視聴者に響くところがあるかどうかは疑問である。ただ,モノづくりの面白さ,失敗を重ねながら工夫をして最後には成功するというというワクワク感やパッション(熱意)は,ぜひ若い人には持ち続けてほしいのだが,その受け皿である製造業がパッションを失っているのが残念である。

 朝ドラのストーリーは,筆者としては最終的には主人公にパイロットに復帰してほしいと思っている。実は筆者もエンジニアとして航空機産業を目指したこともあり,航空機による世界経済の発展を評価しており,その業界に関わることを考えたからである。パイロットだけでなく,エンジニアにとっても,航空機に対して勉強することは膨大にあることを後に知って,筆者には無理だったなと思ったのだが,空への夢があるのならぜひ業界に戻ってきてほしいものである。

 ちなみに,航空機にバイオ燃料を使う動きが進んでおり,これも環境への配慮と言えるのだが,さらにロケットに使われる水素燃料(液体水素)を利用した水素燃料ジェット機の開発が,日本ではJAXA,そして海外でも計画されているという。ロケット市場ではおそらく日本に勝ち目はないと思われ,平和利用である航空機,特に大型旅客機に向けた開発に舵を切った方が世界に貢献できるのではないか。ジェットエンジンで世界的なシェアを持つロッキードボーイングに先駆けて国産水素燃料ジェットエンジンを開発し,航空機市場を席巻することも,技術大国日本の復活につながるはずである。