jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「監察官」が必要な組織ってなんだろう--カネ,権力って,ルールを破ってでも手に入れたいものなのだろうか

監察官が正式に置かれているのは,中央官庁や警察などである。リストから並べると,財務省国土交通省海上保安庁北海道開発局防衛省自衛隊厚生労働省,そして警察である。いずれも組織の内部で不正が行われるのを暴くのが責務と思われる。

 正式に置かれるということは,不正が日常的に起きる可能性があることを意味している。官庁の官僚はさまざまな決定権を持ち,それに対して賄賂というカネが動く世界である。正直言えば,エリート路線を歩いて来ているだけで,仕事に対する責任感も正義感を持っていない人の集まりである。受験を勝ち抜くだけの勉強をして東京大学に入り,その看板を振り回して遊びまくり,さらに国家公務員試験に合格して官庁に入る。

 官庁の仕事は,おそらくつまらない雑用ばかりだと思われる。事務処理ばかりに明け暮れる。手当もなく残業はさせられる。得意になるのは,他人を煙にまくような文章づくりのテクニックである。そのうち,まだ若いのに「長」の肩書が付き,陳情に来た民間企業との間で微妙な関係が生まれる。

 一方,警察や自衛隊海上保安庁などは,「国民を守る」という強い意志を持って組織に入っているはずなのだが,なぜそこで不正が行われるのか,ということである。おそらく規律が非常にきついほか,上下関係も厳格で,精神的な負担が大きいうえに,日常の訓練も半端ではなく,ときには命の危険とも隣り合わせになるというストレスもある。不正が働くのはそうしたストレスから逃れたいためなのか。

 民間企業の場合,この「監察官」に相当する仕組みはない。基本は社長や部長など組織の上層部がそれぞれのチームを管理し,教育する。信頼感でのみつながっているので,その信頼感がなくなったり生まれかなかった場合は,指導に従わなくなる。そしてそこに重要な情報やカネがあれば,道を外れてしまうこともある。銀行や証券会社など金融関係,そして官公庁の仕事を受託する土木建築関係,また医療や法律,教育,政治の世界でもカネが絡んでくると不正が行われる。これらを取り締まる官公庁に不正があるのだから,民間にも不正が蔓延してしまう。

 時代劇でも,悪代官と悪徳商人の賄賂がテーマになるし,女性問題をテーマにするケースも多い。これは男女平等が普通に語られる現在でも,結局は問題になる。

 民間企業の場合,「第三者機関」という外部組織を組む企業も増えているようだが,だいたいが大きな事件が起きてからの設置で,形式的に終わることが多い。トップが責任を取って辞任しても,結局同じ事業を続けるためには同じパターンの繰り返しが行われ,根絶することはない。自浄作用などもともとないのかもしれない。

 ドラマでは,警察の「監察官」は容赦なく不正を正す設定になっているが,実際はどうなのだろうか。警察官による不正や事件が後を絶たない。筆者にとって「おまわりさん」は昔から100%信頼したい人である。なぜこうも頻繁に警察官による事件が起きるのだろうか。

 先生も100%信頼している人たちである。たまたま筆者の場合,いい先生にずっと恵まれてきた。筆者自身が問題児ではなかったと思うし,おおむね,3学期のうち2学期は委員長という“雑用係”を結構楽しんできたので,先生にとっては重宝な存在だったと思われる。今のような,陰惨なイジメも暴力沙汰も幸いなことになかった。

 公務員も官僚も,基本的にはサラリーマンである。前者は給料に見合わない危険な仕事をしたり,逆に単純な事務作業に終始したりして,生きがいを見いだしにくいのかもしれない。一方後者は,どちらかと言えば高給取りだが仕事はきつく,民間企業からヨイショされる立場になるまではやる気が出ないのかもしれない。長がつくと,チヤホヤされるため,それまでの下積みの反動で悪事が見えなくなってしまうのかもしれない。

 カネや権力が絡んでくる場面で,ルールがあるのが公務員や官僚である。これを守らないルール破りを取り締まるのが監察官だろう。民間企業にはルールがない。信頼関係だけで成り立っている。信頼感がなくなれば,どちらかが辞めるしかないし,不正を監視する監察官というやり方はそもそもあり得ない。

 筆者がこれまで関わってきた組織は,最大で社員1000人規模だった。雑誌という不安定なビジネスモデルの中で,20人ほどの活気に満ちた組織で,スタートして1年目だった。みんな全力疾走で仕事をしていた。新人である筆者にも分け隔てなく接してくれた。そんな中で不正が起きるなど考えられなかったし,実際に何も起こらなかった。転職してから一度はパワハラに遭ったが犯罪が起きるような職場ではなかったのは幸いだった。

 不満の原因は,本人のパッションがあるかどうか,そのパッションに見合った仕事を与えられているか,そしてその仕事に対する正当なペイが支払われているか,といういずれかで不足があることだと思われる。経済が沈滞している今,民間企業も疲弊し,企業労働者も不満が募り,それが学校や公共機関などにも影響を与えていると思われる。正常な社会でも犯罪が起こりうる。まして,不況下で本来ルールを守るべき人たちまでルール破りから犯罪に転ずる可能性は高まっている。どうすればこの悪循環を断ち切れるのだろうか。