jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

アメリカによる気球撃墜に違和感--安全にキレイに回収できなかったものかを検証してみる

2022/2/4,米国防総省により,アメリカ本土に飛来した気球がミサイルで撃墜された。アメリカ側は,この気球が中国による偵察気球だと断定。一方,中国は民間による気象衛星だと反論した。

 気球の大きさは,何と直径32mもあるという。一般的な熱気球が直径20mほどだという。高度2万mぐらいで飛行しており,その高さで撃墜された。航空機が高度1万mぐらいを飛んでおり,それよりもかなり高い高度になる。無人偵察機グローバルホークの最大高度が約2万mなので,かなりの程度の情報収集は可能と思われる。

 「アメリカに気球」と言うと,第二次世界大戦で日本が作った紙製の風船爆弾を飛ばした話を思い出した。日本上空を流れる偏西風の載せてアメリカ本土に落とすという構想で,実際に1万個も飛ばし1000個も到達したようだが,成果はなかったようだが,かなりの確度で到達していることがわかる。中国がこれと同じ作戦で偵察気球を飛ばしたとしても変ではないが,1個だけというのもずいぶん変な感じがする。

 中国からアラスカ経由でアメリカまでの距離は約1万m。グローバルホークの航続距離は2万mほどもあり,同程度の偵察機を飛ばした方が,正確な情報収集ができるような気がする。ただ,気球でも航路コントロールはできるらしく,1ヵ所で48時間ほども滞在できるようなので,何らかの定点観測,定点情報収集が目的だったのかもしれない。

 これに対して,アメリカ側が取った措置が,戦闘機のミサイルによる撃墜だという。ずいぶん荒っぽいやり方だなと思ったのは筆者だけだろうか。ヘリコプターの高度限界は4500mぐらいなので,気球には遠く及ばない。通常の航空機も1万mなので届かない。戦闘機でも1万5000mぐらいなので,あとはミサイルで撃墜,ということになったのだろう。

 気球と同じ高度を飛べるグローバルホークでもっと近くまで接近してから,小さい穴を開けて空気を抜くとか,ロープを付けて曳航するとか,できなかったものだろうか,というのが筆者の感覚である。

 撃墜された気球は海上に落ちたのだが,風船部分以外もかなりの損傷を受けているように見えた。もう少しキレイに回収できなかったものか,と思うのである。

 それにしても,直径32mというのは巨大である。気球部分の素材もかなりしっかりしたものが使われているように見える。また,進路をコントロールする仕組みや,搭載されていた電子機器らしきものがどういうものなのかについては,個人的には興味がある。軍事機密なので公表されることはないかもしれないが,どこの誰が何の目的で飛ばしたのか,また日本上空で確認された気球との違いなどが明らかになることを望みたい。