jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

人間の存在そのものが地球環境汚染を引き起こしている--原発処理水,マイクロプラスチックの問題だけではない

東京電力福島第一原子力発電所メルトダウン後,大量に投入されている冷却水が漏れ出し,これを汲み上げてタンクに貯めるという作業が12年間続いて,とうとうタンクを設置する場所がなくなった。この冷却水からトリチウム以外の放射性物質を除去したAlps処理水を,さらにトリチウム基準値の1/7になるように薄めて海洋放出する準備作業が進んでいる。

 いくら薄めようとも,最終的に流されるトリチウムの総量は変わらない。自然界のトリチウム濃度以下に下げているとはいえ,地球全体から見れば海洋のトリチウム量は増えることになる。

 一方,世界各国の原子力発電所の冷却水からも,トリチウムが検出されている。韓国が数倍,中国が10倍,欧米では100倍を超える。結局,どの国も原子力発電所からのトリチウム排出を押さえきれていない。

 日本からの放出が,正常な原発からの排出ではなく,崩壊した原発からの排出であるため,より汚染度が高いように見えているが,海洋環境を汚染させている点ではどの原発の排水もある意味で同罪である。数値だけでなく,福島第一原発の「ALPS処理水」は,関係者が飲んで安全アピールするしかないのでは--ご指名があれば参加するぐらいの自信はある - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/6/14 ぐらいのアピールは必要だと考える。

 人間の文明が作り上げたものは,結局はすべてゴミになる。化石燃料を燃やせばCO2になり,炭素の燃え残りがPM2.5粒子となって空中に飛散する。プラスチックはほとんど分解されず,仮に分解されても消えることはなく,マイクロプラスチックとしておそらく永遠に海を漂うことになるだろう。

 身体を洗い,服を洗濯し,食器を洗うときには洗剤が使われる。家庭からは下水として流され,下水処理場でいちおう処理はされるものの,そこからまたメタンが発生したり,リンなどの化学物質は川を通じて海に流れ込む。

 人間以外の動植物は,土の上で生活し,そこで排泄物は土に染み込む。土の中には細菌を中心とした微生物が生息し,排泄物は分解される。しかし,人間の排泄物は下水に流れ込み,下水処理場でエネルギーを使って処理される。このためのエネルギーを得るために,結局は化石燃料を燃やして発電した電力を使う。堂々巡りになってしまう。

 サンゴ礁の島国や,海上住居で生活をしている国では,かつては排泄物は海に直接流していた。サカナを中心とした海洋生物が,排泄物を餌として消費し,海洋微生物が分解するというサイクルが成立していた。しかし,これが観光資源になると,住民の何十倍もの人間が集まる。この排泄物や,エンタテインメントで出るゴミは,海の自然処理能力をはるかに超える。トイレが設置され,人的な方法で処理しなければ,海洋は徐々に汚染される。

 それでも,人類が登場して約1万年に間は,海は何らかの形でこれらのゴミを処理してきた。しかし,ここわずか150年の間の文明の進歩の中で生まれた新しい素材やそれを作るための薬品,プラスチック,放射性物質などが海洋投棄されてきた。化学物質は,直接あるいはサカナなどの食糧を通じて人の身体を蝕んできた。

 自然の中で生活しているように見えても,大気汚染物質は地球を取り巻いて,雨とともに落ちてくる。空中にマイクロプラスチックが浮遊している事実もわかってきた(空気中にもPM2.5サイズのマイクロプラスチックがあるらしい--やはり外出時のマスク着用は必須の時代 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/6/22)。冷蔵庫やエアコンに使われるフロン系のガスによってオゾン層が破壊されると,太陽からの紫外線の量が増え,皮膚がんのリスクが高まる。

 こうした地球環境破壊に対して,まずフロン代替材料が開発され,オゾン層ダメージをこれ以上進行させないという動きは出てきた。しかしおそらく,空中に蓄積したフロン系ガスによってオゾン層の破壊は継続されていると考えられる。

 次に,CO2の排出規制を行おうと,世界中で掛け声が上がっているが,太陽電池パネルや風力発電機などの再生可能エネルギーを作るための設備を作るために使われる電力の多くは,石油や石炭を燃やして得られている。実際に必要な電力量は,今後も増え続けており,化石燃料を燃やす発電所がなくなるとは思えない。

 トリチウム含有水の海洋放出を根本的に止めるには,原子力発電所を止めなければならないし,止めたとしても冷却を継続している間は放射性物質は発生してしまう。とりあえず,タンクに溜まった処理水は何らかの形で処分しなければ,次の大地震がくれば一気にタンクが破壊してAlps処理する前の水が一気に海に流れ込み,それこそ大規模な放射線汚染が起きてしまう,ということを早く説明し,Alps処理水が安全であることを身をもって説明し,国際理解を得なければならない。この際,反対している韓国や中国に対する輸出は止められても仕方がないと割り切らなければならない。

 筆者も日々,プラスチックのメリットを享受している。透明で,酸化,湿気,カビなどから食料を守れる方法は,ほかにはなかなかない。洗濯も風呂も洗顔もしている。トイレを使えば大量の汚水を流している。この行き先を自治体にすべて任せているのが心苦しいほどである。

 しかし,街中にはゴミがあふれ,風で飛ばされている。きちんと集められていればとりあえず拡散しないように処理できるが,いったん道端に捨てられればいずれ分解されないまま流れて行ってしまう。

 SDGsと言っているが,まずゴミをきちんと捨てるところから始めないと,前に進まない。その先も,もう海の自浄作用に委ねるのではなく,せめて地中に計画的に埋めることを考えないと,海洋汚染はまさに垂れ流し状態が加速するだけである。

 たとえば,2029年12月31日までは化石燃料を使ってもいいが,それ以降は一切禁止すると,世界中で決めたい。この日までに,水素エネルギーを中心とした再生可能エネルギー体制を集中的に構築する,プラスチックの生産もこの日までとし,あらゆる包装に紙,アルミ箔を使う流れを作る。

 原子力発電所を,あと20年使おうという法律が制定されたが,今ならまだ廃炉技術者がいるが,20年後に本当に壊れて使えなくなったときには廃炉技術者が1人もいない状態になって,取り返しがつかなくなるだろう。原発は今すぐ停止して,廃炉作業に入る必要があると主張したい。