暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)という指標が,熱中症への警戒を促す数字として,各地の日々の時間ごとのデータとして公表されている。気温,湿度,日射・放射,風から算出する。
屋外での算出式は,WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
屋内での算出式は,WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
だそうである。
2023年7月の強烈な暑さのまま8月に突入し,最高気温が35℃より低いと逆にホッとするような変な感覚になっている今年だが,「熱中症情報」では熱中症に対する危険度を色分けしている情報は目にするのだが,その元となっているWBGTの数字を見た方がいいのではないかと思うようになった。
Androidだと,日本気象協会の「熱中症アラート」,iPhoneだと,気象庁の「熱中症警戒」というアプリが良さそうである。今いる場所の危険度と,それまでの経緯がグラフになり,数字も見える。さらに1時間後,2時間後の状況も見ることができる。
基本は,屋外の測定データからの計算なので,室内での事情はまた異なる。エネルギー事情が逼迫し,電気代も高騰してはいるが,体温以上の日が続くような現実では,日本では昼間の冷房は必須となっている。何とも皮肉な感じである。
高齢者を中心に,自宅でエアコンを使わずに過ごして熱中症になるケースが,今年も聞かれる。数年前に,熱中症警報装置を高齢者宅に配ろうという運動があったが,現在はどうなのだろうか。紹介したようなアプリも利用してもらいたい。
それにしても,「暑さ指数」は1954年にアメリカで提案され,その後,スポーツ現場や熱中症対策として活用されてきているようである。明確な数字として出るのであれば,天気予報番組でも単に色分けだけでなく,数字も紹介することで,危険度をきちんと伝えてほしいとも思う。
あとは,熱中症の原因が「深度体温の調整能力」に起因することをきちんと解説し,単に環境温度の調整だけでなく,深度体温を下げるための効果的な冷やし方(手のひらや足裏,脇,首筋などを冷やす),睡眠や栄養摂取,運動やストレスなどもコントロールして,総合的に“耐力”を上げることが大切であることを知らせるべきだろう。
筆者は,とにかく「よく寝る」ことがまず大事と考え,通気性のいいシーツを購入したりしてきたが,今年は夜中もエアコンを使用せざるを得ない状況になっている。また,朝食をきちんと取ること,水分補給,塩分補給も含めて,状況に応じて適切に対応するように心がけている。それでも熱中症になってしまう可能性は否定できない。まだまだ気をつけなければならないと思っている。