コロナ“第9波”の入口?感染者数が増加傾向…もし今発熱したらどんなことに?【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG - YouTube 2023/6/20 のTBS「Nスタ」の動画である。
新型コロナウイルス感染症が,感染症五類に定義替えされてから,日々の感染者数報道がほとんど聞かれなくなった。厚生労働省および国立感染症研究所の発表アドレスは,五類後の新型コロナウイルス感染状況をどう把握するか--第9波の前兆と見るか,見えないか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/6/3 に紹介しているので,参照いただきたい。
Nスタで報告された数字は以下のとおりである。
全国新型コロナ患者数(定点医療機関当たり報告数)厚労省発表
5/8~5/14 ▼2.63人
5/15~5/21 ▼3.55人
5/22~5/28 ▼3.63人
5/29~6/4 ▼4.55人
6/5~6/11 ▼5.11人
ここから,数字をどう読むかが,意外に分かりにくいので,素人的に計算し直してみることにした。
まず,厚労省の最新データ「6/5~6/11 ▼5.11人」の原票PDFを見てみると,この1週間の定点医療機関での患者数は,総数で25,163人だった。これは,各県での患者数を集計したもので,5.11というのは,この総数を定点医療機関数で割ったものになる。単純に割ってみると4,924.266という数字が出てくる。そこで次に各県ごとに割ってみると,ここでもほとんどの県で端数が出てくる。これを四捨五入し,各県ごとの医療機関数を算出して合計すると,4,925医療機関という数字が出てくる。先の25,163を4,925で割ってみると,5.10923857となり,ここから「5.11」という数字が出てくることになる。
県別にみて最も多いのは沖縄県で,「沖縄県 994人 18.41 54医療機関」である。この次が鹿児島県で,「鹿児島県 671人 7.37 91医療機関」となっている。最も少ないのは秋田県で,「秋田県 136人 2.62 52医療機関」である。
1医療機関で,毎日1人の患者が出たとして,指標の数字は7になる。ということは,5.11人というのは,全医療機関において1週間に約5人の感染者が出たということになる。
陽性率30%とすると,1週間に診察した患者数は17人,つまり1日あたりの診察数は2.4人という計算になる。
定点医療機関の数は県ごとに異なる。最も多い東京で415,最も少ない鳥取で29である。
感染症二類の期間には,新型コロナウイルス感染症に入院対応できる医療機関は約4,200で,病床数が約28,000床だった。外来対応できる医療機関は42,000あったという。
これが五類対応になり,入院できる医療機関は全病院の8,200に,外来対応医療機関が64,000に増えたはずである。
さて,定点医療機関数が約5,000とし,外来対応医療機関をその10倍の50,000とし,1医療機関あたりの1週間の感染確認者数が5人だとすると,この1週間の感染者数25,163人の10倍の約25万人,1日あたりの感染確認者数は約36,000人という計算になる。
つまり,発表されている数字×5,000×10÷7が,1日の感染確認者だということになる。
ほかにも,「モデルナは全国約4200の医療機関データをもとに感染者数を推計していて、19日、全国の新規の感染者の数は4万1507人、陽性率30%」とした,と書いてある。だいたいそんな感じかなと推定される。
2023/5/7の全国での感染確認者の確定数は,14,436人だった。3月以降,ほぼ1万人以下で横ばいで推移してきたことから考えると,現在の1日約36,000人という数字は徐々に増えていると見るのが自然だと思われる。
筆者のこれまでの基準で作成したグラフを提示する。第7波,第8波に比べるとゆっくりだが,増加傾向が見られる。
診察を受けるにしても,これまで対応してこなかった一般の町医者よりは,実績のある発熱外来や病院を訪ねるケースが多いだろう。そこでは患者が集中し,「8波が収まったころは1日10人ぐらいの来院数が30人にも増えた」といった緊迫感が見えてきている。また,経験のない町医者が診療を拒否してたらい回しに遭うケースも増えてきているようだ。結局は,五類になったからといってより受診しやすくなったということはなく,逃げ回っている町医者を糾弾しなければならないだろう。