2023/8/24,北朝鮮の軍事衛星打ち上げを目的としたロケットを発射した(北朝鮮の人工衛星打ち上げの2回目の失敗--おそらく衛星は搭載されていなかったと個人的には観測 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/8/24)。この様子をNHKのテレビカメラが中国側から中継していた(【詳細】北朝鮮 偵察衛星打ち上げ失敗 “10月に3回目行う” | NHK | 北朝鮮 ミサイル 2023/8/24)。
画像は,https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230824/K10014172271_2308240435_0824043539_01_03.jpg。解説には「北朝鮮と国境を接する中国東北部・遼寧省の東港にあるホテルからNHKの取材班が撮影した映像では、日本時間の午前3時50分ごろ、暗闇の中、1つの光が上空に向かって上がっていく様子が確認」されたとある。
北朝鮮のロケット発射基地は,トンチャンリ(東倉里)という北朝鮮の北西部。NHKがカメラでロケットの航跡をどのように捉えたか,推測してみた。
中国北西部で北朝鮮に近く,比較的滞在しやすい都市として,大連市にいたと仮定してみる。大連からトンチャンリまでの直線距離はgoogle mapで計測すると約20kmである。
水平線の向こうは遠い--太陽電池駆動の無人飛行機の必要性 - jeyseni's diary (2022/1/21)で筆者は,日本の地上施設から北朝鮮のロケット発射を光学的に観測できないかを検証していた。日本国内からは基本的には無理と結論した。北朝鮮との距離は800kmもある。地上から水平線までの距離は5km。高さ150mの高台からだと,50km先まで見えると計算していた。とすると,大連から20km先のトンチャンリ発射場は比較的容易に観測可能な位置にあると思われる。
ただ,今回のNHKの報道によって,中国側から大連でのマスコミの取材に対して制限が加えられるかもしれない。大連に自衛隊が観測拠点を設置することはできない。スパイ行為になるからである。もちろん,マスコミとして発射情報を発見できたとして,それを自衛隊に流せばやはりスパイ行為になる。
しかし,もはや猶予は許されない。次に発射されるミサイルが日本に向かわないとも限らない。領海の12海里=22km(1海里=1852m)に近く,EEZの200海里=370kmよりも遥かに近いベスト観測ポジションである。中国となんとか交渉して常時観測拠点を設けられないものだろうか。