jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ムービングハウス,空き家で災害時の避難生活から抜け出す仕組みを

能登半島地震の避難者はなぜ減らない?地震大国ニッポンの復興を遅らせる「最悪の逃げ口実」とは (msn.com) (2024/7/5)。ジャーナリストの窪田順生氏のブログである。2024/1/1に起きた能登半島地震から半年経つというのに,いまだに2000人以上の人が避難所で雑魚寝に近い形で避難生活をしており,仮設住宅が6000戸の8割はできたが,あまりにも遅い,という指摘である。と同時に,各自治体がムービングハウスという移動可能なコンテナハウスを常備し,普段は集会所などに利用し,緊急時には各地から応援に持ち込むことを提案している。

 いずれも,その後台湾で起きた地震からの復旧の早さと比較して,日本は逃げ口上であきらめてしまっていると指摘している。

 台湾地震では,避難所にいち早く災害用テントでプライベートな空間を作り上げたのも,驚きだった。日本では段ボールで間仕切りをしているが,天井は抜けており,プライベートな空間とは言い難い。災害避難所に屋根ありのダンボールハウスを設置--生活のQOLが上がり,意欲も湧くこと間違いなし - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2024/1/25)というブログは,屋根ありの段ボールハウスの提案だった。

 仮設住宅も,資材の高騰,建設作業員不足で遅れに遅れている。窪田氏は,仮設住宅は使わなくなったら壊してしまうので二重に手間がかかるが,コンテナハウスなら使いまわしができるとして支持されている。筆者が以前紹介したトレーラーハウスも,ソリューションとしては優れている。

 復興には時間もお金もかかるが,その中でクオリティの低い生活を余儀なくさせることで災害関連死を招くほど,馬鹿げたことはない。能登半島地震ではすでに300人,東日本大震災では3000人もの人が災害関連死で亡くなっている。

 人口減少が進んでいる中で,空き家も増えている。筆者は,空き家を積極的に活用して,災害時にはそこに移動して普通の生活に戻れるような仕組みができればと提案した(阪神淡路大震災から28年--記憶は風化するが,より効率的な土地利用への発想転換を提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/1/17)。完全移住しなくてもいいのではないかと考えている。

 中央の政治家は,パーティー券による所得隠しを問題にし,東京都は選挙妨害とも言える過激なパフォーマンスで民主主義の抜け道の話題ばかりであり,国の有事のことを何も考えていないようにも思える。

 以前も書いたが,フィンランドでは各家庭が都会の家のほかに田舎にセカンドハウスを持っているという。有事に都会に集中していては一気に殲滅されるが,国内に離散していれば多くの命が助かるからだという。さらに,田舎の家には地下に一種のシェルターが作られているという。冷戦時代の教訓が今でも生きているという。

 台湾は,日本の大震災を教訓に,官民協同で避難所設置の流れを作り,有事には各部署,各団体が想定した行動を速やかに取る体制を整えていたのだという。日本だと,やれ災害対策本部を作ってから相談してだの,自衛隊派遣には首相の許可がいるだの,復興や役所の仕事だのと,手続きばかりが先行する。むしろ,早急に規制線を張って,火事場泥棒や復興詐欺のような良からぬ「やから」を入れないなど,の措置を取りつつ,まず住民の命や生活優先で即座に復興手段を講じるなどのスピードが必要である。

 それにしても,2000人もの人が体育館やビニールハウスなどでまだ不自由な生活をされているとは思わなかった。「災害関連死」って「見殺し」とほぼ同じ--故郷から離れたくない気持ちは分かるがぜひ退避してほしい - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2024/1/16)と書いた。一次避難所は,あくまでも一時の避難のためであり,現在のような異常気象時には十分な空調も食事も取ることができない。半島地域は,中央に山があり,道路や鉄道が海岸に沿ってしか通っていないため,いったん災害が起きると移動手段の確保に時間がかかる可能性が高い。移動できるものなら土地を離れる決断も必要である。

 それにしても,台湾の場合は翌日には鉄道が全線開通したし,東日本大震災でも三陸鉄道は1週間後には部分的に運転を再開。全線開通には3年の日がかかったが,その間の苦労はNHKの新プロジェクトXでも紹介された。能登半島地震でも,のと鉄道の全線開通は3ヶ月後の4月6日だった。元・鉄っちゃん(鉄道好き)にとってみると,「やはり鉄道関係者は思い入れが強いな」と心強い気持ちになる。東日本大震災で標語となった「絆(きずな)」「つなぐ」を感じる。住民に対する思いが,政府や土木建設業者を動かす力になるのだろうと感じた。もちろん,電気,ガス,水道といったインフラも強い意志で復興に臨んでいるが,こちらは道路や市街の権利関係の調整に手間取ってしまうのが現実かもしれない。道路が復旧しないから,ガスや水道の工事ができない,などという事態が起きているのかもしれない。

 破損住宅の復興についても,「まず実態調査」「全壊半壊の診断」など,お役所仕事が先に来て,処理もされずに放置されたままになっている。被害申請も住民からの申請書を提出し,面談で受け取り,それから審査が始まる。結果が出るのにも時間がかかり,その間に被害はどんどん拡大する可能性もある。いったん半壊と判断されたあとに崩壊して全壊となったとしても,半壊としてしか処理されないといった不具合も起きる。とにかく住民を無視し,スピード感に欠ける対応しかできないのが,日本の行政であり,過去の教訓がまったく生かされていないという窪田氏の指摘は的を射ている。

 首都直下地震が起きたらどうなるのだろうか。筆者は,地震そのものの被害よりも,住宅街における大火を予想している。おそらく輪島朝市通りのような全焼状態になるのだろう。1923年9月1日に起きた関東大震災の大火ほどではないが,交通網がさらに複雑になって,消火が間に合わなくなると考えられる。阪神淡路大震災の神戸の火災の再来である。その後は,戦争末期の東京大空襲の後のような闇市の出現が予想される。規則も法律も役に゙立たないカオスになり,犯罪も横行するだろう。

 こんなことを考えていると,明日7/7に行われる東京都知事選挙の主要候補を含むほとんどの候補の公約がすべて虚しいものに聞こえてくる。東京都を舞台にしたオチャラケ芝居にも見えてくる。どうして政治を目指す人がいずれも清貧ではないのだろう。単なる人気投票なら,結果ワーイで終わってしまうが,本当に4年間の都政を任せていいのだろうか。筆者は,投票率が30%を切ると予想している。前回より投票率が高くなるとの予想もある。それにしても投票率が50%を切った場合,その選挙は無効,全候補者の再立候補権利の剥奪,ぐらいの処置をしなければ,また同じ愚行を繰り返すことになると思える(それでも組織的に次々と候補を擁立してくるのだろうなとも想像できて,ウンザリするだろうが)。

 行政の刷新を,もう一度考えたい。