都会に向かう鉄道各社は、満員電車対策に苦労されている。1本しかない(イメージ)の線路に各駅停車から特急までさまざまな運行形態の編成を走らせ、利便性を図っていただいており、頭の下がる思いである。しかし、その方策とは裏腹に、満員状態は容易には解消しない。
ここで一つの仮説とともに提言をしてみたい。それは、「すべての編成を各駅停車にする」ということである。
急行があると、遠くの人はまずこれを利用する。近くの人も、1分でも早く着きたい気持ちで急行を利用する。すると混雑が集中する。途中の駅でも急行に乗り換える人がまとまって乗車し、混雑の度合いが一気に高まる。この乗車を実現するために、乗車時間がかかり、結局、所要時間は予定よりもかかる。各駅停車はその間待たされるので、こちらも普通に走るよりも時間がかかる。
全部の編成を各駅停車にすると、乗車が集中することがなく、平均化される。乗客が多い時間帯は電車の間隔を詰めるだけでいい。
根拠は、最近言われるようになったエスカレーターの乗り方にある。一方を明けて歩くことを許した場合、単位時間当たりの搬送数は、歩かない方が多くなる。これと基本的な考え方は同じである。
もう一つのメリットは、キセル乗車が減ることが期待されることである。始発駅で座って行こうとするために、数駅戻って乗車する人が少なからずいる。これは明らかなキセル乗車である。始発駅からの電車が各駅停車であれば、戻るのに要する時間的な損失が大きくなり、キセルをしないという意識も働きやすくなることがある程度期待される。
さて、お客様からの反応は、かなり反感を買うかもしれないが、一種の専用レーンを持っている交通手段のメリットとしてトライしていただきたい。