jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

火事と水害--予測できても逃れられない継続的な被害

自然災害が頻発している。地震,台風,火山の噴火,津波,河川氾濫,山火事,崖崩れ,落雷,竜巻など,昔からあるものもあれば,近年急増しているものもある。

 台風は,人工衛星の開発によって,進路や被害がかなり予測できるようになった。1ヵ所における滞在時間もおおむね24時間以内で,ピークをやり過ごせれば被害を食い止めることができる。もっとも,近年はハリケーンクラスの巨大台風が頻繁に日本を襲うようになり,複合的な災害の規模は拡大し続けている。

 地震も,1回の継続時間は最大で30秒ほどである。最初の大きな一撃や,その後の複雑な揺れによって被害は大きくなり,また余震もバカにはできないが,それでもその30秒を持ちこたえられれば何とか生きられる。地震の後の町並みも,瓦礫にはなるものの比較的乾燥しており,復興作業はしやすい。

 これに対して,町並みが弱点をさらけ出したのが,水系の災害である。海の津波,川の氾濫,山の鉄砲水,そしてゲリラ豪雨のあっと言う間の冠水などである。

 水系の災害が厄介なのは,身体の自由が効かず逃げ場がないこと,ほとんどのものが水を吸って重くなることと使用不可能になること,そして災害後の衛生環境が極端に悪化すること,そして影響が長期間に及ぶことである。

 地震の場合,家が持ちこたえられれば,電気,ガス,水道が回復するまで避難せずに生活することはできる。しかし,水系の災害では,家が持ちこたえたとしても家財道具はほぼ使えなくなる。床上から床下まで土砂で覆われ,モノが腐る。さらに時間が経つと,乾燥しても土ボコリが上がり,カビが生え,さらに感染症が広がりやすい。避難を余儀なくされる。

 火災も厄介である。1軒の火災でも。消防車数台がかりで消火に1時間~2時間もかかってしまう。消火しても,家から家財道具までほとんどが灰になるか,使い物にならなくなる。隣近所の家も,熱によって焦げたり変形したり,消防活動のダメージを受けることもある。地域で火事が起きた場合は,消火作業がほとんど効かない。

 自然災害である山火事では,数ヶ月も燃え続けることが多い。熱,有毒ガスなどにより,消防活動も命がけである。鎮火しても,広大な森林が焼けることで,元の自然に戻るのに何十年もかかったり,その地域の生物が絶滅したりする。

 継続的な被害が比較的少ないのが,実は地震や台風,竜巻,落雷などで,その瞬間を耐えられれば復興は比較的早い。そこに,水系,火系の災害が複合的に加わると,災害の規模が一気に拡大し,また被害が継続的になってしまう。

 昨今の自然災害が巨大化しているのは,一つは地球温暖化の影響があるだろう。海水温が上昇して台風の規模が大きくなり,また大気の状態が不安定になって線状降水帯を伴った大雨が降る。一方で,気温の上昇によって山火事の自然発火の危険性も上がっている。

 地球温暖化で世界全体の平均気温が上がり,これに対応するために大量のエネルギーを消費して冷房を効かせる。するとエネルギー消費による温暖化ガスの排出,熱交換による排熱の排出などで,ますます外気の温度が上がる傾向にある。何か根本的な解決法を考えなければ,人類はおろか地球全体の破滅につながる心配もある。

 新型コロナウイルスは,まだ“鎮火”しない。鎮火のためのワクチンや特効薬の開発が急ピッチで進められているが,開発できてもこれで鎮火するとも限らない。地球温暖化に対するワクチンや特効薬は,果たしてできるのだろうか。

 山に逃げては山崩れ,平地に逃げては川の氾濫,海岸に近づけば津波と,いまや安全な場所はどこにもないような印象である。政府による援助も心もとない日本だが,それでもまだ暴動が起きない,助け合い精神がどこかにある日本は,ありがたい国なのかもしれない。できるところから少しずつ準備をして自衛するしかないかもしれない。