相撲は,基本的に嫌いである。小学校4年生のころ,クラスメートと相撲をしたとき,筆者は押し相撲だけだったが,相手は土俵際で「うっちゃり」を決められて負けた。正直,そのときの悔しさは今も覚えているから不思議だ。そのクラスメートの名前も覚えている。
「ガチンコ勝負」という言葉がある。「本来は相撲界の隠語で、語源は力士同士が激しく立合いを行った際、「ガチン!」と音がするところから、真剣勝負を表す隠語として使用されるようになった」とWikipediaにあった。本来,相撲というのは真剣勝負である。したがって,「うっちゃり」,「肩透かし」,そして「はたき込み」は,相手の力を使って自分が勝つ技であり,ガチンコ勝負にふさわしくないと思っている。
「うっちゃり」はまだある程度,力技である。相手を持ち上げて土俵の外に投げる技だからである。どちらが先に土に着くか,そのガマン比べの部分もある。
ところが,「肩透かし」と「はたき込み」は,相手のスキをついた逆転技である。相手の力を利用し,相手の意表をつく作戦である。筆者はこの技に対しては“卑怯”という考え方を持っている。
幕下が横綱に対して「はたき込み」を仕掛けて金星を取る。横綱ぐらいになると,あらゆる攻撃に対して対応できるだけの能力を持っているから,幕下のはたき込みなどものともせず,ガチッと抱えて押し出してしまう,というのが唯一許されるパターンである。
ところがこの「はたき込み」を,よりによって横綱や大関が格下の力士に対して頻繁に仕掛ける。格下の力士は当然のように,「はたき込み」に対応できる能力は持ち合わせていないので,簡単に負けてしまう。
筆者は,格上の力士が「はたき込み」や「肩透かし」を使うのは,卑怯だと思う。特に立ち会いで「はたき込み」を使うと,取り組みが一瞬のうちに終わってしまう。つまらない。
「はたき込み」「肩透かし」は,逃げの手である。相撲でこの手を使った場合は,ファウル扱いにし,勝ちをなくす必要があると思っている。