サッカーのワールドカップでいろいろと番狂わせが起きた。日本とスペインが,それぞれクロアチアにPK戦で敗退した。強豪と言われるドイツ,ポルトガル,アルゼンチンなども負けた試合がある。
実力比較だけでは試合の結果は予想できない。試合の面白さはそんなところにあるのだろうが,2022年の試合では,選手や監督に対するSNS上での誹謗中傷がかなり酷かったようである。
サッカーやにはもともと,フーリガンと呼ばれる熱狂的,いや狂信的なファンが存在している。試合のあとに大騒ぎをしたり,暴力行為に及んだりしてきた。勝てば大騒ぎ,負ければ破壊行為など,極端な行動に走る。これにネット上での無記名の誹謗中傷が加わる。選手も純粋に勝つこと以外に,精神的なプレッシャーを受けるような環境にある。
選手側も,勝つために違法な行動に走る場合もある。かつては八百長が横行した。筋肉増強剤などのドーピングも行われていないとは限らない。
それ以上に,どうしても勝ちを決めなければいけない方法として,サッカーではPK戦という方法が取られるのだが,どうもこの方法は筆者にはすっきりしない。
野球では,正々堂々と戦う以外に,バッターとの勝負を避ける敬遠という手法が許される。塁に出た選手をタッチアウトするための隠し玉という手法も許されている。これもすっきりしない。
今回のサッカーワールドカップでは,ゴール前に残った選手がゴールキーパーが地面に置いたボールを横取りする場面があった。許される方法らしいが,これで勝負が決まったとしても,すっきりしないのではないだろうか。
カーリングでは,相手のコース上にストーンを置いて邪魔をするのも作戦という。相手のストーンをはじき出すのも作戦なのだが,これも筆者にとってはなんだかすっきりしない。
将棋や囲碁では,何手も先を呼んで,相手をその罠に落とすのが作戦になっている。残念ながら,筆者はこういう駆け引きができないので,理論的に考えることは好きだが,相手と対戦することはできない。
サッカーのワールドカップを前に,スマホアプリでどうやら賭け事をするアプリが登場した。単なる応援ではなく,勝てば掛け金が何倍にもなって戻ってくるような仕組みだろう。これでは,純粋にスポーツを応援することにはならないのではないか。今回のような番狂わせが起きた場合,その反応は一層エスカレートすることが予想される。
勝負は,実力で決めるのが望ましい。決まらなければ引き分けにするか,サドンデスで決まるまで続ける仕組みにすべきではないか。PK戦のような駆け引きをなくすこと,敬遠のような勝負を避ける仕組みにはペナルティーを課すことを提案したい。
最後に,一番嫌いなのが,相撲の引き技である。特に,横綱や大関が格下相手に引き技で勝つ場面を見ると,情けなくなってくる。堂々と押し切り,寄り切り,投げで勝つべきだろう。本来なら,相手を勝ちにすべきだと思うが,仕切り直し,あるいは賞金なしとすべきではないだろうか。
タイムレース,自分の記録との闘い,そういうスポーツが美しいと感じる。