jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

日本製ワクチンがなぜ生産されないかの考察

先進国で,新型コロナウイルス用のワクチンを量産していないのは,日本だけである。関連発表も,2020年4月14日に,大阪大学ベンチャーアンジェスがワクチン実用化研究を始めたと打ち上げたきり。田辺三菱製薬のカナダ子会社で治験開始を発表したのが7月15日で,その後,開発完了や治験完了のニュースを聞かない。

 米ファイザーとモデルナ,英アストラゼネカ,独ビオンテックが,億個単位での量産と供給を始めている。日本企業は,開発できても量産設備があるのかどうかも疑問である。量産設備のある企業と契約し,契約ができてから量産準備にかかる,ということだろうが,すでにその時には欧米各社のワクチン接種が日本でも始まっているだろう。政府や厚生省はすでに欧米のワクチン購入を決めて,配送・配布の仕組みは,河野太郎大臣が陣頭指揮を執る体制を発表している。いまさら日の丸ワクチンの出番はないのかもしれない。

 それでも,アメリカ,フランスなどでは,ワクチンに対する疑問を持つ人がかなり多いらしく,ワクチン接種が進んでいない。日本でも,現時点で受けたい希望者が48%,受けたくない人が41%で,ほぼ半々というところらしい。今回のワクチンが,世界初の「遺伝子ワクチン」(DNAワクチン,RNAワクチン)ということもあり,今後国内で副反応が出ると,これをまたマスコミやワイドショーがワイワイと報じて危険性を煽り,接種者が進まなくなる,という事態が考えられる。欧米でのワクチン接種で,1万人に5人程度のアナフィラキシーショックが出たという話で,「アジア人には実績がない」として受けない人もあるだろう。

 では,日本人向けに日本人で治験して安全性を確認したワクチンがいつできるかというと,仮に開発や治験が順調にできていたとして,承認も含めると2025年になってしまうだろう。一般の薬でも承認に4年はかかるからだ。

 新型コロナウイルスの広がりを火事に例えた。日本でも第三波でとうとう燃え広がり始めた。火事は初期消火のタイミングを逃すと,消防車が10台も20台も駆けつけても周囲への類焼を防ぐのが精いっぱいで,発火元の家は最終的には「全焼」してしまう。それも消化を始めてから2時間も時間がかかっての結果である。時間が経てば経つほど,消火ができなくなる。高温になった建物が,水をかけてもまた可燃点を超えてしまうからだ。

 新型コロナウイルス対策も,とにかく早ければ早いに越したことはない。今は,「消火」のためのワクチン接種を「一斉放水」するしかないと思っている。

 しかし,一般医院に人が集中してワクチン切れを起こすなど,インフルエンザワクチン接種と同じような混乱がまた予想される。アメリカでは,インフルエンザワクチン接種を近くのドラッグストアで,しかも薬剤師さんが接種してくれるそうだ。日本は現在のところ,全く無策である。計算すると,日本人の16歳以上全員に接種するのに9カ月もかかるという。「ロジ」に努力すると言っている河野大臣だが,現状の壁をとにかく打破して,1カ月以内に関係者への接種をどんどん進めてほしい。「あとは神頼みのみか」と書いたが,有事対応という気持ちでできることは何でも実施してほしい。