2021/5/6 IOCのバッハ会長が，東京オリンピック2020の参加選手全員のワクチンを確保するとコメントした バッハ会長、ワクチン提供「東京五輪を安心安全とする手段の一つ」 | 毎日新聞 (mainichi.jp) 2021/5/6。
筆者の感覚からすると，この措置は開催国，あるいは開催都市が表明すべきことであり，IOCが手配することではないと思う。東京大会を安全に開催するのなら，東京都や組織委員会が手配して確保し，実際の接種プログラムまで示すべきだろう。
IOCがこれを表明することで，東京都も組織委員会も，そして政府ももはや「オリンピックを中止する」と言えなくなってしまった。完全にIOCバッハ会長の手玉に取られた印象を受ける。
ワクチン接種によって，選手の安心安全が向上することは確かだが，保証されるわけではない。東京都は組織委員会は，ワクチン接種や会場運営も含めてトータルで選手の安心安全を守れるかをまず提案すべきなのではないか。いまだに，海外からの観客をなくすことを表明しただけで，国内の観客をどうするかは来月まで結論を出さないと言っている状況では，選手の安全確保について具体的な施策がないのではないか。看護師500人を回せと要望しただけではないか。
なんだか，おこぼれや施しにペコペコしているような印象で，日本の主体性がまるで見えない。「新型コロナウイルスが広がらないよう頑張ってきましたが，残念ながら第四波を招いてしまい，抑えきれていません。オリンピックは中止します」と宣言する段階に来ているのではないのかと感じる。
ワクチンの数が確保できても，それを接種する体制の手配を日本ができるのか。
本来は，ワクチン接種なしで大会を迎えられるのが正しい。というのも，ワクチン接種によって体調不良を起こしたり，筋肉に異常を起こしたり，表立った影響がなくても，100％の力を出し切れないかもしれない。かといって，仮にワクチン接種をせずに参加した選手から感染が広がったり，逆に選手が感染してしまった場合，その場合の競技の判定をどうするのか，など，オリンピックの競技の判定にも課題が出てくる可能性がある。それについて，具体的な議論がされているのだろうか。
オリンピックを開くことをグイグイ押してくるIOCに押し負けしているのではないのか。日本は，東京は，組織委員会は，毅然として，中止を宣言すべきではないのか。筆者は，その決断が世界中から評価を受けると信じている。
