jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

脱マスクを実現した国の人にとって,日本入国時の隔離政策はどう映るのか

五輪取材で来日したロイター記者が体験した「厳格な隔離」3日間(ロイター) - Yahoo!ニュース 2021/7/6 というニュースが,気になっていた。その前日に筆者の娘が海外留学から帰国し,同じような3日間のホテル隔離を経験したからだ スペインからの子女帰国の顛末--差し入れもデリバリーもホテル内には入れず【追記】 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/7/10。

 ただこのニュースの気になるところは,「これから11日間はMPC(メディアセンター)とホテルの間を行き来して、その後は東京の街に出ることができる」というくだりである。PCR陰性の証明ができ,しかもおそらくワクチン接種も受けての来日だと思われる。これだけ動画で自分の「厳格な隔離」を報じている,ということは,裏返せば「厳格な隔離が終われば,開放されるから自由だ」と言っていることと同じように映るからである。

 アメリカでもイギリスでも,ワクチン接種がそれなりに進み,これに伴って屋外での脱マスクが実現している。街に繰り出す人の数も戻り,店舗も飲食店も普通に営業している。屋外が中心のテラス飲食では,パーティションもなければマスクもない。そういう生活をようやく取り戻した,という実感を持っている。

 そのような脱マスクを実現した海外の人が,訪れた日本で目にするのが,ほぼ100%のマスク着用で室内でも屋外でも飲食店でも過ごしている日本人の姿である。おそらく「え? 無観客にはなっちゃったけど,日本の感染者数って桁違いに少ないのに,なんでまだマスクをしているの?」という実感を覚えるのではないだろうか。そして,ワクチン接種率がまだ10%,街を歩いている若い人はまだほとんど接種していない状態であることを知って,恐怖を覚えるのではないのか。「自分はワクチンは接種しているが,日本で取材をしている間に感染させられるのではないか」という恐怖である。

 一方,この「厳格な隔離」から開放されて,マスクなしで軽い気持ちで街に繰り出した海外メディアに対して,日本人はうらやましく思うと同時に,「ひょっとしてこの外国人から感染が広がるのではないか」という逆の恐怖を覚えるのではないか。

 「厳格な隔離」をしなかったのか,数カ国のオリンピック関係者が合宿地で陽性が確認される例が出ている。やはり水際対策はザルであると言わざるをえない。

 IOCバッハ会長は厳格(で豪勢)なホテル生活を終え,巷に放たれた。本人はともかくとして,その取り巻きの関係者の中に陽性者が出たらどうなるのだろう。おそらく発表することは止められ,ただ切り捨てるだけなのではないだろうか。

 海外メディアにとっても,どうやらオリンピック選手とのインタビューはリモート形式になるようで,記者会見やぶら下がりなどはできないようだ。しかし,そんな規制にめげるようなメディア関係者はどこにもいない。だれかがルール破りをし,その拡大を阻止することはできなくなるだろう。

 一方で,出国した自国でのデルタ変異株の急速な拡大が再燃しているのが実情である。東京も感染拡大しているが,デルタ株の割合はまだ半分ぐらい。一方,自国ではほぼデルタ株で感染確認者数は1桁上,ということになると,野に放たれたままの海外メディアがそのまま残るという選択もあるのかもしれない。

 オリンピックで来日した選手は,基本的にバブルから出られない。したがって街中を歩くことはできない。しかし,海外メディアは14日以降は自由に街を歩ける。海外から同時期に来日する観光客もそうである。これが日本にとってのさらなる拡大につながらないかというのも心配である。「ワクチンを打ったら感染もしないし,感染も拡大させない」という安易な気持ちで出歩かれる危険性が高い。

 改めていうが,「ワクチンをきちんと接種しても,COVID-19コロナウイルスに感染しない,ということはない。また感染すれば重症化や死亡のリスクは少ないが,それでも他の人に感染を拡大させる可能性は残っている」。さらに期間中の外出禁止なども含めた厳格な管理が必要なのではないだろうか。