jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

“予約替え”が,予約しづらさとワクチン廃棄の一因に

新型コロナウイルス対応ワクチンの接種券が,2021/5/25に自宅に届いた。実は「発送は5/25」だったので,届くのは5/26になると思っていた。たまたま出勤日だったため,接種券を確認したのが帰宅後。そこからの予約開始となった。そのプロセスで,タイトルのような問題点があるのではないかと気づいたので,コメントしたい。

 予約を開始して,最終的に確定するまでに2時間かかった。正直,途中で方針を何度も変更して対応することになった。これまでもこれからも,誰でも同じような憂き目に遭うことになるのかと思うと,ウンザリする。

 まず,注意書きを読んでみると「かかりつけ医のところで接種できる場合は,かかりつけ医の診断を受けて,かかりつけ医で接種予約をしてください」とあった。筆者の場合,既往症で診療を受けていないのと,普段お世話になっている医院が直接予約を受けない体制だったので,集団接種会場も含めて市内どこでも接種できるところを予約することにした。これがまず最初に迷ったところである。

 電話予約は最初から考えてなかったので,あらかじめセットした予約Webサイトを見てみた。ところが,最短で予約できるのが7月初めだった。え,1ヶ月も先になるの?というのが正直な感想だった。その予約も「残りわずか」という表示が1ヵ所か2ヵ所の時間枠しかなく,ちょっと見ているとその枠もすぐに消えて,その翌日の空き枠にどんどんシフトしていく様子が見えた。焦った。

 東京都と大阪府で5/24に接種が始まった大規模接種センターだが,筆者はその周辺県に住んでいるため,予約できるのが5/31からになる。地元で予約できなくても,大規模接種センターなら枠が多いのでたぶん6月中の接種の予約がしやすいのではないかと思ったので,地元で予約するのを一時あきらめる気持ちになった。

 ところがしばらくWeb予約画面を見ていると,6月前半に空き枠が一つできたのが見えた。慌ててクリックすると,予約プロセスが動き始めた。接種番号を入れ,誕生日をスクロールして選び,氏名,電話番号,メールアドレスを入れて次の画面に移ろうとすると,「2回目も一緒に予約しますか」というフローティング画面が出てきた。「ああ,これは1回目と2回目を同時に申し込めるシステムなのね」と思って「はい」を押すと,次の予約枠が出てくる。最初は,自動的に3週間後の予約日を出してくれているのかと思ったら,そんなことはなかった。いちおう自分で3週間の間があるかどうかを確認した。会場の医療機関は1回目とは違ったが,自宅からの距離的にも問題なさそうなので,2回目として選択し,「予約確定」しようかと思ったら,「1回目の予約枠がなくなりました」とメッセージが出た。「あれっ,1回目の予約枠を押さえてくれていたわけではないわけ?」と愕然とした。結局この予約プロセスはすべてムダになってしまった。

 空き枠画面に戻って見てみると,もう6月の枠は消えていた。「予約負け組になってしまった」と思った。夕食も取らずにパソコンの画面に向かっていたが,先に夕食を取ることにした。筆者の自治体では,パソコンのWeb予約とともにLINEでも予約できると書いてあった。パソコンから離れる間,スマホで様子を見ながら夕食を取ろうと思ってLINEからも予約サイトに入ることにした。ところが,予約画面はパソコンで見たWeb予約画面とまったく同じだった。数秒の差で予約を逃す可能性のあるWeb予約で,スマホでの手入力は心もとない。慌てて,夕食をトレーに載せて部屋に持ち込み,食べながらパソコンの画面とにらめっこすることになった。

 予約を開始して1時間半経ったころ,そろそろあきらめムードが漂ってきた。大規模接種センターの予約が始まるまで待つか,と再度思い始めたとき,突然,なんと1週間後の空き枠が画面に出てきた。場所も確認せず,慌てて予約ボタンを押した。とにかく1回目を押さえようと,「2回目予約」はスルーして,個人情報を入力して予約確定すると,予約できた。予約完了メールも届いた。

 実はその直前に,翌日つまり今日5/26の午前中の空き枠が表示された。これまでの経緯で,この1回目接種後3週間で2回目を接種できる可能性は極めて低い。それで,この空き枠は魅力的だったがパスした。

 さて,1回目の予約が1週間後に確定したので,その日から3週間先の2回目の予約を取ろうと,また画面とのにらめっこが始まった。やはり,空き枠は7月に入ってからしかなく,これだと4週間あいてしまうことになる。もう少し手前に空き枠が出ないか待っていると,3週間の直前の枠が空いた。思わず手が出そうになったが,これでは適正な3週間のあきがないため,接種そのものができなくなる。これも残念ながらパスすることになった。

 その後,3週間+2日というベストな空き枠が現れた。ここは躊躇なく予約ボタンを押した。1回目の予約とまったく同じプロセスで個人情報を入力し,予約を確定させた。1回目と同じようにメールが届き,確定できた。予約作業を開始してから2時間が経過していた。

 不思議な気持ちだった。これで良かったのか,という思いである。

 一つは,このプロセスを電話でするのは,「とても無理」ということである。というのも,まず電話がつながらないのと,ようやくつながったタイミングで予約できるのが,その時のいちばん近い日付でしか依頼できないことである。それが1ヶ月先であろうと,「空き枠がここしかありません」とオペレーターに言われれば,ここで予約するしかない。ヨーイドンでスタートした予約レースは,当然早い枠から埋まっていく。電話がつながらなければ,枠はどんどん後ろに下がってしまう。遅い時期でも,予約せざるをえなくなるのである。

 ところが二つ目の疑問は,同じ接種番号で複数の予約ができる仕組みになっていることである。筆者の場合は,2回分の予約をするという目的でまったく同じプロセスで予約した。これを3回以上でも予約できるのではないかと推測する。本人だけでなく,家族や親戚,孫まで総動員で,電話とWeb予約を一斉にかけたとして,仮に5人がそれぞれ別の予約が取れたとする。2回目も同時に予約したとすると,10個の枠を確保したことになる。必要なのはこのうちの2個なので,残りの8個の枠はキャンセルすることになる。するとキャンセル枠が出てくることになる。

 もし,最初に予約した人が,このことを知ってWeb予約画面で前倒しできる空き枠を予約し直したとすると,最初の枠はキャンセルによって空き枠になる。これをみんなが繰り返すと,基本的にどんどん前倒しになって接種のムダがなくなるような気がするが,先にあったように翌日の枠など直近の枠が突然予約可能になる。たまたまそこに予約が入ればいいが,キャンセルのまま当日を迎えると,医療機関側は「直前まで予定していた予約数より少なくなる」ということになる。場合によっては,接種当日になってもキャンセルできる可能性がある。すると,予定していたワクチンが余り,廃棄につながることも予想される。これが毎日すべての個別医療機関や集団接種会場,大規模接種センターで起こる可能性がある。これほど簡単にキャンセルできてしまうシステムも不思議な運用だと感じる。廃棄しなければならないワクチンを他の人に回す,といっても限度があるし,その登録システムもないから,結局こっそり廃棄されているか,マニュアルを守らずに翌日回しにしたりしているのではないかという疑問も出てくる。

 テレビのワイドショーのMCやコメンテーター,ゲストコメンテーターはみんなまだ若く,当然のことながらまだこの予約システムのからくりまで経験できていないのではないか。ガサッと大取りしてから,いらない予約を簡単にキャンセルするこの“予約替え”によって,予約枠が一気に埋まって予約しづらくなるのと,キャンセルの山によってワクチン廃棄の可能性が高まるのを危惧する。

 今後,65歳以下の若い人はどのような運用でワクチン接種をすることになるのか,今の65歳以上の高齢者の2回目の接種管理もきちんとできるのか(いや,筆者の予約方法が適切だったのかも含めて)正直言って不安なままである。