jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「置き配保険」は本末転倒

日本郵便/置き配の盗難保険導入、保険料は日本郵便が負担 ─ 物流ニュースのLNEWS (lnews.jp) 2021/6/28。「注文者からの指定に基づいて置き配された荷物」が対象という。

 変な話だなぁと思うのは筆者だけではないのではないだろうか。「置き配指定」の言葉の定義に対する解釈の違いだと思う。置き配については,つい先日コメントした 「置き配」の責任問題をコメントする - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/6/25。

 「注文者が置き配を指定すれば,玄関先にそのまま置いておけば,それがなくなれば配達者の責任」なので,保険料は今回の配達者である「日本郵便が負担」する,ということらしい。

 そもそも,配達業側が,置き配をしてモノがなくなれば配達業側の責任ではあるが,「置き配指定」するのは注文者なので,責任は注文者側にある。配達業側は,モノがなくならないように,呼び鈴を押して置く場所を指定して,すぐに家にモノを取り込めばモノはなくならない。そのように運用すれば,置き配でもモノがなくなることはない。逆に,注文者側が不在の時には盗まれないように「置き配ボックス」を用意して,カギがかかるようにして,容易に盗られないように工夫する必要がある。

 いずれにしても,配達側も注文側も,モノがなくならないような手段を講じてさえいれば,保険で補償しようなどという発想は起きないと思うのである。保険というのはあくまでも不可抗力のものに対して設定すべきであって,窃盗という犯罪に対して設定すべきではないのではないか。

 窃盗に対する保険であれば,たとえば自転車の盗難保険と同様ではないか,という考えもある。たしかに,カギもかけずに放置した自転車を盗られても仕方がないのだが,それを保険で補償するというのも変な話である。カギをかけて,十分に対策をした上でカギを壊されて盗まれたということになれば,保険の意味はある。

 同様に,置き配保険でも,注文者側がきちんと宅配ボックスを用意した上で,配達側が置き配してカギもかけた状態で,ボックスを破られたり,カギを壊されたりしてモノが盗まれる,という犯罪に対しては,保険が成り立つかもしれない。

 しかし,盗られてもいいような置き方をするのは,そもそも「置き配」ではないと思うのである。盗られてもいい置き方をして,なくなったら配達側が補償する,というのは,どう見ても変だし,そもそも宅配1件あたりいくらという保険料を保険会社に支払うのが日本郵便だとすると,盗まれるような置き方をして,保険料を日本郵便が払い,盗まれれば保険会社が保険金を払う,という,なんだかマッチポンプみたいな仕組みである。正直,よくこんな保険を設定したものだとあきれてしまうのである。

 まず,犯罪を誘発しないような運用方法を実施することと,注文者が置き配指定する場合は,置き配ボックスなどの設定を確認して置き配をすることを,きちんと双方が守った上で,置き配すべきだろう。

 最近の配送は,受け取り印も押さない。配送側は注文者が受け取った,ということをどうやって確認するのだろう。配達員が「配送完了」とサーバーに登録すれば,注文者が受け取った「ことになる」という今の状況は,本当に危険である。

 一刻も早く,受け取り印の仕組みをもう一度復活させて,きちんと運用してもらいたいものである。