jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

インフラは大丈夫か--電車の異常振動や道路の陥没

大きめの地震や,大雨の影響で,道路や橋,鉄道線路などの被害が相次いでいる。もう17年も前になるが,阪神淡路大震災(1995/1/17)で阪神高速道路がものの見事に倒れたのを受けて,東京の首都高速の補強がおこなわれた。地下鉄も,地震への補強とともに,大雨による水の流れ込みを防ぐ対策が取られている。はたしてまだ起きていない首都圏直下型地震に耐えられるかどうかは,だれも判断できない。仮に倒壊は免れたとしても,ヒビ割れなどにより,使用に堪えるかどうかはわからない。

 地球温暖化の影響と考えられる線状降水帯による大雨や大型台風の上陸など,風雨による被害も大型化している。生き物の命を守る水が逆に生命の脅威になるとは,何とも皮肉だが,この風雨から逃れる方法もなかなか決定策がない。

 河川の堤防の決壊や,橋の流失は,建設当時の設計をはるかに超える水量が原因の1つだが,それ以上に30~50年経過してのインフラとしての劣化が引き金になっている。堤防も,それまでの洪水の経験などから「スーパー堤防」などで増強もされているが,さらにそれを上回る自然の猛威にはひとたまりもない。特に堤防は,「まず崩さない」対策を早急に進めるべきで,矢板をどんどん打ち込む方法を筆者は支持している 矢板方式の河川堤防はいいアイディア。どんどん打ち込んでみてはどうだろうか。 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/8/27。

 一方で最近気になっているのが,電車の異常な揺れである。単に左右に揺られるのではなく,ガガガガガといった線路と車輪がうまく接触していないような振動を何度も経験している。しかも同じ場所だけでなく,異なる路線でも同様な振動を経験しているのである。身体にもその振動が伝わり,脱線するのではないか,と思うぐらいの揺れである。

 これが,電車側の台車(車輪で車両を支える部分)の不具合なのか,それとも線路側の不具合なのか,判断はできないので,振動を感じた場所,車両の位置,車両番号を電鉄会社に伝えて注意喚起している。

 正直言って,車両整備や線路整備の質は落ちていると思う。かつて筆者が追い回していた国鉄蒸気機関車は,運転士が出発前にすべての接続部をハンマーで叩いて,その音から異常がないか判断していた。機関車の整備不良で何らかのトラブルがあったということを聞いたことがない。

 その後,大きなところでは新幹線の台車に大きな亀裂が見つかった例がある。事故に至らなかったのは幸いである。通勤電車の整備点検もおこなわれているはずだし,ハンマーで叩いて異常を見つけるといった職人技も受け継がれていると思っているのだが,どうも近年の不具合を見ていると,的確な整備点検がおこなわれていない,あるいは不具合を発見できていない,と感じるのである。

 地震でパイプが壊れた給水橋にしても,目視点検はしていたというが,結果を見るとあちこちにサビが浮いており,おそらくボルトの腐食も進んでいたことが想像される。点検も危険作業である。おざなりになる可能性もあるだろう。新技術としてドローンによる画像撮影とAIによる画像診断,歪みセンサーによる常時監視なども開発されているが,実際の投資と適切な運用がされるかどうかはかなり疑問が残る。

 計測器やセンサーを使って常時監視し,異常をいち早く見つける,というのは,すでに確立した手順である。ただその異常に本当に気づけるのか,またアラートに対して的確に対応して避難指示などが出せるのかなど,インフラ管理側の人々には信念を持って業務にあたっていただきたい。

 大学の研究室で,たとえば地盤の微小な移動を観測できるセンサーで地滑りを事前に察知する,といった報告があった。危険と思われる場所にセンサーを埋め込んで監視する,という方法だが,どの地域を対象とするのか,だれが監視するのか,など,最終的に使えないシステムのような気がする。正直,ここは人工衛星からの高解像度画像のAIによる継続的な解析で30分単位ぐらいで変化を抽出するといった大規模プロジェクトが必要なのではないだろうか。人海戦術は日本では運用はもう無理になっていると思う。宇宙ベンチャーは,高額所得者向けのエンタテインメント以外に,こういう重要な役目を果たしてほしい。