jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

メタバース=それはまさに“パラレルワールド”--だがリアル社会以上に無法地帯である

メタバースが急速に進行している 「メタバース」--クラウドに続いてまたまたネーミングで先を越されたと感じるIT - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/1/7。筆者はメタバースの定義について当初,VRバーチャルリアリティ)という仮想空間がさらに高解像度になり,リアルな空間の境が曖昧になった世界,という解釈をしていた。

 しかしよくよく考えてみると,これはもう“パラレルワールド(並行宇宙)”であると言えることに気づいた。

 現在のリアルな世界の秩序を保っているのは,国際連合(国連)という各国がフラットな立場で議論できる場があるからである。アメリカと中国・ロシアとの対立,北朝鮮の独断などの摩擦はあっても,いちおうそれを解決しようという人類の知性が生んだ機関が国連である。結論は出なくても議論する場を設け,交渉を重ねるうちに少しずつでも歩み寄りができるチャンスを作り出している。

 ところがメタバースは,完全な無法地帯である。個人情報もなければ,モノの価値を公平に評価する金融機関もない。国際機関もない。そして,現時点ではおそらくGAFAという,GoogleAmazonFacebook(Meta),Appleの4社の営利企業が,その概念を独占している。ルールがあるとすると,それはGAFAが儲かるようにルールが決まっているということである。新しい呼び方はGAMAになるのだろうか。

 リアルな世界の経済を支配しているのが自由競争主義だとすると,メタバースではプラットフォームを持っている営利企業およびその企業の株式を所有する数名の個人による独占主義になる。独占禁止法もないし,対立する相手もいない。まさに1社独占の世界になるのである。

 法律はないが,金融資産はある。仮想通貨という流通価値である。これを制御する中立的な機関,リアルな世界でのアメリ中央銀行日本銀行が,メタバースにはない。このため,リアルな世界でいう為替レートが際限なく膨張する。金融市場や株式市場におけるバブルが常に起きている状態である。

 その一握りの支配者が善人であればいいが,これがもう天才とも呼ぶべき発想で自分に富が集中する仕組みしか描かない。社会還元などまったく思わない。何しろ,自分たちは地球を捨てて月や火星に移住しようという発想まで出している。他の人をすべて踏み台にして,自分たちが生き残るための仕組みを作ろうとしており,とても社会還元などしそうにない。

 おそらく,現在はリアル社会の資産が100だとして,メタバース社会の資産は10ぐらいなものだと考えられる。しかし,おそらくあと10年でリアル社会の資産が10,メタバース社会の資産が100いや1000になるのではないだろうか(いや,しかもあと2~3年で実現してしまうことかもしれない)。

 リアル社会は,地球温暖化がさらに進み,台風,海面上昇,津波,竜巻などの自然現象が猛威を振るう。これに伴って食料不足がさらに加速し,飢餓による死者数もさらに増える。GAFAは,平和的独占主義によってリアル社会の富をすべて吸い尽くそうとしている。リアル社会がどうなっても関係ない。要は,リアル社会の資産をすべて吸い取って,パラレルワールドに移管するだけである。

 麻薬という自由な価値のプラットフォームで大儲けしているマフィアは,リアルな世界におけるパラレルワールドを作っている。これは現在も機能している。しかし,リアルな世界の中の現象なので,リアルの世界の法律によって規制されるという現実がある。

 しかし,メタバースにおける仮想資産は,リアルな経済からの規制がまったくない。いくらでも財産を築くことができるのである。きれいごとを言ってはいるが,現代版マフィアと言っても過言ではない。仮想資産によるロンダリングも,見えないところで堂々と行われているに違いない。

 新たな暗黒時代がやってくる。これは,多くの人間にとっては不幸なことだと思うのである。すでに,働いても働いても給料が上がらない,国の最高学府に入れても,大学教員のポストはほぼ任期付きの契約教員しかなく,うだつの上がるのは学歴を看板にしたタレント業だけ,私腹を肥やす政治家,家族内ですら安心できない貧困によるDVや虐待,搾取される高齢者など,リアル社会は崩壊の一途をたどっている。GAFAはすでにメタバースの中での展開しか,頭にないのではないだろうか。これにTesraが加わって,「GAMAT」が世界を支配するのだろうか。

 そういえば,東大生が選ぶ「世界を変える人」の中に東大卒が1人しかいない件--東大出身では世界は変えられない - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/1/13 には,このGAMATのイーロン・マスクマーク・ザッカーバーグが入っている。さらに恐ろしいことに,習近平も入っている。まさかとは思うが,中国版GAFAバイドゥ(Baido=百度),アリババ,ウェイボー(微博),ファーウェイ(Huaway=華為)など)を支配したり,あるいはGAMATとどこかで手を組んで世界征服に乗り出すなどの可能性もないわけではないと筆者は思うのである。

 かつて,ヤマト運輸ロジスティクスの民営化を実現し,日本電気NEC)や富士通が国産パソコンのOSを開発した。しかし,こういうソフト面での戦略は,日本は極めて弱い。すでに国産では,ソフト面でもハード面でも,世界を支える企業も人物も存在しない。クルマのナビも自動運転もGoogleバイドゥがもはや先行しているし,タクシー配信アプリもGO(旧ディー・エヌ・エー),S.RIDE(ソニー子会社)が日本製だが,Uber(米国製),DiDi(中国製)が先行した形で入っている。食べ物の出前のサービスも,Uberが先行し,日本側のアプリが後追いをしている形である。Eスポーツも,プラットフォームは海外製である。仮想貨幣も,すでに市場は海外勢に押さえられている。Facebook社が仮想通貨「リブラ」を実現しようとして,国際世論が反発したのも記憶に新しい。その後,名称をDiem(ディエム)に変更した。これもMetaという社名変更に伴ってまた支配に転ずるものと思われる。

 バイオテクノロジー関連の特許は,欧米がほぼ独占状態。電気自動車の特許は,中国がダントツに多い。科学立国日本などと言っているだけに恥ずかしい。将棋の藤井聡太棋士は日本にはいるが,日本自体の「持ち駒」が水素エネルギー関連ぐらいしかないのではないか。

 太陽パネル発電の分野で世界を牛耳っている中国は,その製造のために必要な多大な電力エネルギーを石炭火力発電で賄っている。これは大いなる矛盾である。世界最大の石炭輸出国であるインドネシアが,国内電力の確保のために石炭輸出を一時期止めて再開したことが最近話題になったが,裏側を見れば,インドネシアも石炭火力がメイン,そしてその輸出先は,中国が約3割、これにインド、日本、韓国が続くという。中国,インドというそれぞれ世界人口の2割を占める国と,日本,韓国というアジア地域で,まだまだ石炭火力による電力に頼っていることは,二酸化炭素排出制限をするという観点からは矛盾だらけである。

 リアルもバーチャルも,ますます混迷が深まっているのを感じる。正直言って,イーロン・マスクマーク・ザッカーバーグも常人とは思えない。どこかで方針転向して「いい人」になってくれることを期待したいのだが,習近平もトランプも金正恩安倍晋三も,だれも方針転向した人に会えていないことを考えると,地球破滅にストップをかけることはもはや無理なのかと思ってしまうのである。