北京冬季オリンピックの競技が進行している。日本の選手の演技の様子で一喜一憂するのもスポーツ大会らしい。
しかし,観客は中国政府から招待された人だけで,一般市民は観ることができない。海外からの観客もない。会場と選手村,ホテルを結ぶバブルの中に,選手と関係者,マスコミが閉じ込められた形であり,東京オリンピック2020と違って,一切このバブルの外に出ることが許されていない。デリバリーもなければ,ボランティアもいない様子である。
報道によると,北京市民もこのオリンピックにはあまり関心がないらしい。会場に入ることも近づくこともできない。テレビで観るだけ,というだけのようである。
もちろん,無観客観戦になったのは,新型コロナウイルスが原因で,開催の直前に隣接する西安市で大規模な感染拡大があったことによるロックダウン,開催地北京における感染確認で,一般市民へのチケット販売は中止された。観客席にいるのは,中国政府からの招待者,つまり共産党員という構図になっている。
東京オリンピック2020の際,COVID-19感染拡大の第5波の拡大局面で,緊急事態宣言も発せられた。筆者は開催直前まで「中止にすべきだ」と主張してきた。それでも開催できたのは,ボランティアを中心とした市民の力があったように思う。海外からの観客はなかったが,選手のサポートをボランティアが行ったことで,選手にとっては気持ちのいい大会になったと思う。
北京冬季オリンピックは,選手が空港に到着してから,PCR検査,ホテルへの移送,大会中の移動などがすべてバブルの中で政府の監視下に置かれる。選手同士の交流はあっても,開催都市での行動はできない。中国の人との交流は一切できない,というわけだ。
選手にとっては,競技がすべてだろうが,メンタル面では,自国からの応援のほかに,開催地でのサポートも重要ではないだろうか。結局,開催期間中,出会うのは中国政府関係者だけということになる。
そもそも,北京オリンピックへの招致に北京市が市を上げて盛り上げた,という感じがない。あとから考えてみると,IOCと中国政府の密接な関係がどこかにあったのではないかと疑わざるをえない。
東京オリンピック2020でのIOCの暴挙はすでに散々指摘されている。筆者も,オリンピックは別の組織で開催すべきだと考えている 開会式前の総括:「誰のための東京オリンピック2020」 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/7/23。