IOCバッハ会長の東京2020オリンピック,パラリンピックでの行動について,さまざまな意見が飛び交っている。「テレコンダクト」できないヤツはリーダーにはなれない--政治を「政治屋」に任せては国が滅びる - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/8/26 とコメントした。考えてみれば,現時点でリーダー,トップと言われる人はすべて,リアルでしか行動していない。
リアルの価値は高いのは当たり前である。会議も授業もリアルが当たり前だったが,リアルが難しくなった途端にその価値が再評価されていると思われる。みんなリアルに戻りたいのである。それを1年半以上もガマンしているのが国民である。
その中で,自分が主催者でありトップであるという理由だけで,「リアルに行動するのは当たり前」とばかり,大名待遇で移動し,予定時間を延長して挨拶をし,さらにポロシャツで銀座観光までした。パラリンピックはIPCのパーソンズ会長が主催者であるにもかかわらず,IOCのバッハ会長も8/23に来日し,8/24の開会式に参加した(らしい)。そして8/25に水泳競技を観戦し,8/25夜に離日したと報じられている。
開会式に参加した状況も,水泳競技の観戦の状況も,報道されていないように思う。メディアもバッハ会長の行動を批判している割に,フォローするつもりもないのかもしれない。
そりゃあ,誰だってリアルが一番いいに決まっている。教育上も重要だから,学校連携観戦も一部で行われるし,修学旅行も海外旅行も,現地に行かなければその空気感を感じることはできない。それが今は世界中の人々ができない中で,リアルを続けるのは,もはや「わがまま」「権力の濫用」でしかない。
しかし考えてみると,リアルで人が集まるのは「密室」を作ることである。密室だから外部に情報が漏れるのを恐れる。オンラインなどもってのほか,ということになる。政治家が裏でコソコソ「会食」をしているのも,密室が必要な話だからである。したがって,リーダーはリアルを選ぶのである。
一方,オンラインは密室にならないリスクがある。就職面接がオンラインで行われるケースが多くなるにつれて,適性検査などの回答を代理で行うケースが増えていると聞いて,これも愕然とした。
オンラインで情報漏えいをなくすには,単にVPNなどの暗号化ネットワークの構築やシン・クライアントの利用によるコピー防止以外に,物理的な「密室」を用意する必要がありそうだ。天皇陛下でも総理大臣でも知事でもバッハ会長でも,トップに立つ人は「密室」となる執務室という個室が簡単に準備できるのだから,個室からオンラインでどこにでも行ける。オリンピックの開会宣言も,会長あいさつもすべて,自分の執務室からオンラインで実施すればよかったのではないか。陛下のお言葉を,と一般人としてのお願い--せめてリモートでの開会宣言をご提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/7/22。
「テレワーク」ではなく「テレコンダクト」 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/8/26 で,社長や部長などのリーダーが率先してテレコンダクトしなければ,社員はテレワークできない,とコメントした。問題は,社員などの一般人にとっての「個室」である。
筆者の場合は,自宅の1室を自分用に確保している。オンライン会議の場合はドアに札を掛け,ドアを閉める。自分の理性の範囲で「密室」に仕立てることはできる。会社側が,この状況をどう判断するか,信頼されているかによって,密室と認められるかどうかが分かれる。実際,筆者も顧客情報を社外で扱える状況にあり,悪いことをしようと思えばいくらでもできる。しかしそれは,テレワークでなくてリアル出社においても,情報のコピーや持ち出しはできないわけではない。現実でもドラマでも,そのような状況はいくらでも想定できる。
家に1室を確保できない社員も多い。電話でのやり取りが必要な場合は,音による情報漏えいを防ぐために会社側あるいは社員が自腹で自宅に防音ボックスを用意する必要があるだろう。市販品で10万円ぐらいから20万円ぐらいとなるが,あとは双方の本気度によるだろう。
プライバシーを確保できるリモートオフィスを会社側が用意することも,今後は必要なことだろうと思われる。
リアルを要求するリーダーは,わがままである。現在のCOVID-19感染状況では,自分のわがままによって社員や部下を感染の危険に晒している。いつどこでクラスターが発生してもおかしくない状況で,リアルを求めるリーダーの気が知れない。